あなたのおなかの脂肪、厚みがなくて手でつまむことができなかったら要注意! この内臓脂肪は落としやすい反面、病気を引き起こす物質を分泌することが分かっているんです。今回は、医師、医学博士の福田千晶(ふくだ・ちあき)先生に「内臓脂肪を減らすコツ」についてお聞きしました。
内臓脂肪から分泌される物質が病気を誘発する
年齢とともに代謝が落ちると、体に脂肪が付きやすくなります。
「健康診断で、腹囲が女性は90cm以上、男性は85cm以上だった場合は、内臓脂肪が多いと推定できます」と福田千晶先生。
体に付く脂肪は「内臓脂肪」と「皮下脂肪」の二つに分けられます。
「内臓脂肪」が多い人は、おなかがぽっこりと出やすいことから「りんご型」体形と呼ばれています。
この脂肪は内臓の周りに付きますが、体のエネルギーに使われるので、落ちやすいのが特徴。
「皮下脂肪」は下半身に付きやすく、皮下脂肪が多い人は「洋なし型」体形と呼ばれます。
皮下脂肪がたまると、その重さのために、ひざや腰を痛めやすくなります。
【りんご型】内臓脂肪は普通預金(増減しやすい)
[カンタンにやせられるかも]
内臓の周りにたまる脂肪。脂肪に厚みはなく、手でつまむことができません。
【洋なし型】皮下脂肪は定期預金(減りにくい)
[なかなかやせない]
皮膚のすぐ下にたまる脂肪。触ると厚みがあり、ぶよぶよしていて手でつまめます。
福田先生は健康指導などで、この二つの脂肪をお金に例えながら説明するといいます。
「内臓脂肪は増減しやすい普通預金、皮下脂肪は減りにくいので定期預金に例えられます。気を付けなくてはいけないのが、普通預金である内臓脂肪。内臓脂肪から分泌される物質が、病気を引き起こすことが分かっています」
上のように、体に内臓脂肪が増えることで、病気のリスクとなる悪い物質が増えて、体の健康を維持する良い物質が減ります。
「内臓脂肪から分泌される物質は、高血糖、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病の要因になります。そのまま放置することで、血管が老化して動脈硬化が進行するため、注意が必要です」
動脈硬化が進行すれば、脳梗塞や心筋梗塞などの命に関わる病気に発展しかねません。
そうならないためには、内臓脂肪を減らして血管を若く保つことが大事。
りんご型体形の人は、生活習慣や食生活の見直しが必要です。
内臓脂肪が付くと体の中の悪い物質が増え、良い物質が減ります
●悪い物質が増える
体に良くない働きをする悪い物質が増加し、生活習慣病の要因につながります。
●良い物質が減る
体を健康に保つための良い物質が減少し、血圧や血糖値を下げる働きが低下します。
血糖値が高くなる
(高血糖/糖尿病)
インスリンの働きを高める良い物質の「アディポネクチン」が減り、働きを妨げる悪い物質の「TNF-α」が増えるため、血糖値が上がります。
血圧の上昇
(高血圧)
血管を収縮させてしまう悪い物質の「アンジオテンシノーゲン」。この物質が増えると、血管の内部が狭くなるので、血液が流れにくくなり血圧が上昇。
善玉、悪玉コレステロールの数値が悪化
(脂質異常症)
血液中の善玉コレステロールを減らす悪い物質の「FFA」が、善玉と悪玉のコレステロールのバランスを悪くして、脂質異常症を誘発します。
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血管の老化=動脈硬化が進む