危険な病気を見逃さないで! 舌がんなどの深刻な病気とも間違えやすい「口内炎」とは?

口内のあらゆる粘膜に起こり、原因もさまざまな口内炎。中には、舌がんや白板症といった深刻な病気と見た目が大変似ているものもあります。そこで今回は、鶴見大学歯学部附属病院口腔機能診療科 学内教授の中川洋一(なかがわ・よういち)先生に「口内炎」についてお聞きしました。

口内炎はどこにできる?

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主な種類
外傷性口内炎
真菌・ウイルス性の口内炎
アフタ性口内炎

主な治療法
原因物質を取り除く
市販薬で痛みや炎症を和らげる
原因によって抗炎症薬、抗真菌剤、抗ウイルス剤を使い分ける


口内炎とは、口内の粘膜にできる炎症の総称です。

頬や唇の裏の粘膜、のどや舌など口内のあらゆる粘膜に起こり、痛みや不快感で生活の質(QOL)が低下します。

ひと口に口内炎といっても、外傷性、真菌性、ウイルス性など、原因はさまざまです。

特に私たち世代で増えるのが、真菌性の口内炎です。

「カンジダ」という真菌(カビ)が増殖することで起こります。

カンジダは常在菌(※1)の一種で、免疫力の低下、長期間にわたる抗菌薬の服用などによって、常在菌間のバランスが崩れることで発症します。

特に唾液の減るドライマウスの患者に多く見られます。

唾液の分泌量の低下は加齢による唾液腺の衰えのほか、血圧降下や抗アレルギー薬の副作用、入れ歯などの不具合による咀嚼回数の減少、強いストレスなども原因となります。

口内炎の多くは数日から10日ほどで自然に治りますが、2週間経っても改善しない場合は、舌がんや白板症など深刻な病気の恐れがあります。

口腔外科、耳鼻咽喉科、歯科などを受診してください。

これらの病気は口内炎と違って自然に治ることはなく、徐々に大きくなることもあります。

下に示した特徴がないか、良く観察することが重要です。

※1 人間の体の中に常在する菌。普段はある程度以上は菌数が増えないように他の菌と共存している。


あなたの口内炎はどのタイプ?

1.外傷性

【どういう形状?】

粘膜が腫れて表面が赤くなる(カタル)、粘膜の表面が削られ、ただれる(びらん)、粘膜より深い組織が削れる(潰瘍)

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【原因は?】

物理的な刺激が原因。口内をかむ、やけど、入れ歯の不具合によるものなど

2.真菌性(カンジダ性)

急性型の偽膜性と慢性型の萎縮性がある。前者は白いこけ状の膜ができ、触ると剥がれる。後者は赤い斑点ができ、ヒリヒリした痛みを伴う。口内全体に現れる

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【原因は?】

加齢による唾液量や免疫力の低下、長期間の抗菌薬の服用などにより、カンジダが異常に増殖する

3.ウイルス性(帯状疱疹性)

粘膜や皮膚に小さい水疱ができる。水疱が破れるとアフタ性と間違えやすい。舌や唇の裏の粘膜に現れる

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【原因は?】

加齢や疲労などで免疫力が低下したときに、神経節に潜んでいた水痘・帯状疱疹ウイルスが活動する

4.アフタ性

中心が白く、その周囲が赤い状態の直径数mmの円形の潰瘍ができる

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【原因は?】

慢性再発性アフタの場合は、原因が不明で再発する。過労、ストレス、睡眠不足などが誘引する

※1~3は原因別の分類。4は見た目の分類。アフタ性は原因が分からない場合も多いが、最も一般的な口内炎なのでここで紹介した。

間違いやすい危険な病気

白板症=カンジダ性口内炎に似ている!
・口内全体のあらゆる部位にできる
・舌の縁に現れた場合は舌がんに移行するリスクが高い
・こすっても白い膜が剥がれない
・徐々に大きくなることがある
・自然に治らない

舌がん=アフタ性口内炎に似ている!
・舌の縁に現れる
・赤と白が混在している
・初期は痛みがない
・表面がでこぼこしている

※2週間以上たっても改善しない、大きくなる、再発を繰り返すといった場合は、歯科や口腔外科を受診しましょう。


原因に合った治療と日頃のセルフケアが大切

外傷性の場合は、痛みの原因物質があれば取り除きます。

痛みや炎症を和らげたいときは市販薬が有効です。

パッチ(貼り薬)、軟膏、スプレー、トローチなどがあり、部位や状態に合わせて選びます。

ステロイド成分を配合したタイプも市販されています。

カンジダやウイルスによる口内炎では、抗真菌や抗ウイルスの処方薬が有効です。

ステロイド入りの薬は症状が悪化するので使わないようにします。

喘息のためのステロイド吸入薬も要注意です。

入れ歯は材質上、カンジダが付着しやすいので、毎日洗浄し、合わない場合は調整します。

口内炎を予防するには口内を清潔に保つことが大切です。

唾液の量が少ない人は口の中が不潔になりやすいので、ときどきうがいをすることをおすすめします。

うがい薬やマウスウォッシュも有効です。

また、口内の乾燥を防ぐことも大切です。

保湿ジェルや保湿スプレーなど、自分で改善するためのケア用品も市販されています。

口の健康は全身の健康につながります。

こまめな口腔ケアを実践してみてください。


予防・改善のためにできることは?

疲労やストレスをためない

口内を清潔に保つ
 ・こまめな歯磨きと入れ歯の洗浄をする

口内を傷つけない
 ・口内の粘膜をかまないように咀嚼する
 ・歯磨きのときに力を入れ過ぎない
 ・入れ歯や矯正器具の不具合を調整する

バランスの取れた食事を心がける
(効果的なビタミン類は以下)
 ・ビタミンB群(豚肉、レバー、牛乳、大豆製品など)
 ・ビタミンA(にんじん・かぼちゃなどの緑黄色野菜、 うなぎなど)
 ・ビタミンC(かんきつ類、ブロッコリー、パプリカなど)

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口内の潤いを保つ
 ・うがいをする
 ・かむ回数を増やして唾液分泌を促す
 ・保湿ジェル、保湿スプレー、マウスウォッシュなどを使用


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取材・文/古谷玲子(デコ) イラスト/片岡圭子

 

<教えてくれた人>
鶴見大学歯学部附属病院口腔機能診療科 学内教授
中川洋一(なかがわ・よういち)先生
1980年鶴見大学歯学部卒業。同大学附属専門外来(現口腔機能診療科)。口腔外科専門医・指導医。著書に『新版 チェアサイド・介護で役立つ 口腔粘膜疾患アトラス』など。

この記事は『毎日が発見』2021年9月号に掲載の情報です。

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