部屋の中でも熱中症になるってご存知ですか? 熱中症発生場所の約4割は住居(敷地内すべての場所を含む、総務省消防庁「熱中症による救急搬送状況(平成29年~令和2年)」)であり、さらに熱中症により亡くなる方の約8割が65歳以上の高齢者です(厚労省「熱中症による死亡数人口動態統計(確定数)より」」。
年齢とともに暑さや渇きを感じにくくなるため、熱中症予防には適切な水分補給が必要ですが、実は意外とできていないことが実態調査で明らかになっています。そこで、日本コカ・コーラ株式会社による調査結果と、熱中症予防における水分補給のコツをお伝えします。
熱中症対策にしていることは何ですか?
日本コカ・コーラ株式会社が65歳~75歳208人を対象に行った「水分補給や熱中症対策に関するお悩み実態調査」によると、高齢者が熱中症対策として行っていることとして「定期的な水分摂取」が7割以上を占めました。しかし水分補給はこまめにすることが推奨されていますが、1日に数回に分けて飲む摂取方法について「知らなかった」と答えた高齢者は約4割に。定期的な水分摂取を心がけている人が多いけれど、正しい摂取方法を知らない人が多いようです。
また、必要な水分量を飲むのが難しいと感じる人が約3割に達し、その理由は上位から「飲みたいと思わない(47.6%)」「飲むとトイレが近くなる(44.4%)」「喉があまり乾かない(39.7%)」が挙げられました。
「汗をかかないため必要と思わない」という回答も。しかし渇きを感じる前に積極的な摂取が大切
年齢とともに暑さや喉の渇きを感じにくくなるために飲まなかったり、就寝中に途中で起きてしまうのが嫌で飲まなかったり。
しかし寝ているだけでも体は汗をかいており、気づかないうちに脱水状態になる危険性が潜んでいます。
脱水状態は熱中症の原因の一つです。
暑さによる吐き気やめまい、ふらつきなどは、自分では気づきにくい「隠れ熱中症」の状態かもしれません。
だからこそ"意識して"水分補給をすることが重要になります。
適切な水分補給のコツは「習慣」と「目安」!
では、どのように水分補給をするとよいのでしょう。
救命医であり、ふじみの救急病院 理事長・院長の鹿野 晃先生が熱中症対策と適切な水分補給について教えてくれました。
ふじみの救急病院 理事長・院長の鹿野 晃先生
適切な水分補給のコツは2つ。
1つめは「習慣をつける」こと。
「起床時、就寝前、毎食後、おやつの時間にコップ1杯(約200ml)の水分をとる習慣をつけましょう。これだけでも1200mlの水分を補給することができます。
あとは散歩や買い物、仕事など何か行動を起こす際にも水分補給をする習慣がつけば、かなり摂取不足を防ぐことができます」
2つめは「目安をつくる」こと。
「ペットボトルにメモリをつけたり、最近ではメモリ入りの水筒も手に入ります。それを参考にしながら飲むのもお勧めです」
また、コロナ禍特有のリスクもあります。
外出にはマスクの着用が欠かせませんが、「マスクをしていると口の渇きがあまり感じられない」と鹿野先生。
のどが渇いていなくてもこまめな水分補給を心がけ、屋外では周囲の人と2m以上の距離を保ちつつマスクを外して適宜休憩し、体への負担軽減を。屋外で体長に異変を感じたら速やかにエアコンの聞いた涼しい場所に移動しましょう。また、換気扇や窓を開けるなどして自宅でエアコンを使用しながら換気を行う場合は、室内温度が高くなりやすいため、エアコンの設定温度を下げるなどこまめに調整するのもポイントです。
大量の汗をかいたときにはミネラルを含むスポーツドリンクがおすすめ
このように水分補給を習慣づけることが熱中症予防には重要です。夏は屋内でも汗をかき、知らず知らずのうちにリスクが高まりますので、身体活動の強度にかかわらず、のどの渇きを感じる前に水分を摂りましょう。
特に大量に汗をかくと、体からは水分のほかにミネラルも失われてしまうため、水だけでは体に大切な栄養素が不足してしまいます。運動後などはミネラルを含むスポーツドリンクがおすすめです(塩分・糖分を含むため持病のある人は医師に相談を)。
気象庁の発表では、今夏も広い範囲で平年並みかそれ以上の暑さになるそう。熱中症を予防して暑い夏を安全に乗り切りましょう。