「足に謎のボコボコができる」「青い血管がウネウネする」など下半身の見た目に大きく影響してしまう「下肢静脈瘤」。足の静脈の弁が壊れて起こる病気ですが、推定患者数は1000万人以上とされ、とても多くの方が悩んでいます。そこで、血管の病気に詳しい医師・広川雅之先生の著書『血管の名医が教える 下肢静脈瘤の治し方』(毎日が発見)より、「下肢静脈瘤のセルフケアと最新治療」を連載形式でご紹介します。
里見さんは60代の主婦。足に血管が浮き出ていることを娘に指摘され、テレビで見た下肢静脈瘤では? と思い、広川先生のクリニックにやってきました。
むくみやだるさ、見た目の悪さはどうして起こる?
広川先生「今日はどうされましたか?」
里見さん「娘に『お母さんの足、血管が浮いてあざみたいになってるよ』といわれたんです。前にテレビでやってた『下肢静脈瘤』じゃないかと思って心配で」
広川先生「血管が浮いているのはいつ頃からですか?」
里見さん「わかりません 。自分の足の後ろ側なんて見たことがないので、気がつかなくて」
広川先生「足のむくみやだるさなど、気になる足の症状はありますか?」
里見さん「足はむくみますね。重だるいときもあります。パートでレジ打ちをしているから、立ち仕事のせいかなと思って。それと、関係ないかもしれませんが、ときどき寝ているときに足がつって、目が覚めてしまうこともあるんです......」
広川先生「それは辛いですね。立ち仕事の方のむくみのお悩みは多いんですよ。では、足を触らせてください。けっこうむくんでますね」
里見さん「はい。靴下の跡がくっきりつきます」
広川先生「血管が浮いているのは下肢静脈瘤ですね。触ったところ、けっこうむくんでいます。これも静脈瘤のせいだと思います」
里見さん「やっぱり下肢静脈瘤なんですか」
広川先生「下肢静脈瘤は間違いありませんが、どの静脈が問題なのか、今感じていらっしゃる足の不快な症状が静脈瘤のせいなのか、詳しく検査をする必要がありますね」
里見さん「どんな検査ですか?」
広川先生「超音波検査、エコーと呼ばれている検査です。おなかの検査でも行う、ゼリーを塗って、皮膚の上から機械を当てる検査です。まったく痛みはないので、心配いりませんよ」
里見さん「どのくらいの時間がかかりますか?」
広川先生「見落としがあってはいけないので、専門の検査技師が30~40分ほどかけて、両足をじっくり診断します」
おもな診療の流れ
【問診】
・どのような症状があるか
・どうしたいか(見た目や症状の改善)
・生活状況
【視診】
・足のむくみや静脈瘤の状態
・湿疹や色素沈着など皮膚の状態
【触診】
・足のむくみの程度
・皮膚の硬さ
・熱感
・痛みがあるか
【超音波(エコー)検査】
・弁の異常の有無
・静脈の走行や太さ
【下肢静脈瘤を診断】
・下肢静脈瘤があるか否か
・下肢静脈瘤の場合、軽症・中等症・重症のいずれかを診断
【セルフケアor根本治療】
・軽症であればセルフケアを指導。根本治療(血管内治療等)は医師の判断のもと、患者の意向にそって行う
〜エコー検査後〜
広川先生「下肢静脈瘤はありますが、軽症ですね。むくみや足のつりの原因は、静脈瘤によるものかもしれませんが、セルフケアでよくなると思いますよ」
【次回】足がむくんでだるい下肢静脈瘤。悪化すると痛みやかゆみが生じ、皮膚の変色も!/下肢静脈瘤の治し方
命にかかわる病気? 血栓がとぶ? 手術しないと治らない? など下肢静脈瘤への疑問が解決します。