放置すれば失明同然!? 正しい診断が難しい「まぶたのけいれん」セルフチェック

ストレスや睡眠不足、スマホやパソコンなどの見すぎなどから、軽いまぶたのけいれんを経験した人もいるのでは? しかし、似たような症状でも、放置すれば失明同然の状態に陥ってしまうような要注意な疾患もあるんです。今回は、清澤眼科医院 院長の清澤源弘(きよさわ・もとひろ)先生に、「まぶたのけいれん」についてお聞きしました。

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まぶたのけいれんのなかで一般的なのは、片目の下が数秒ほどぴくぴくする軽いけいれんで、「眼瞼ミオキミア(眼輪筋波動症)」と呼びます。

一時的なもので、ほとんどが自然におさまります。

原因は不明ですが、ストレス、睡眠不足、スマホやパソコンなどによる眼精疲労などが引き金に挙げられます。

引き金となる生活習慣を改善すれば防ぐことが可能です。

似たような疾患で要注意なのは、「眼瞼けいれん」と「片側顔面けいれん」です。

前者はまぶたの開閉に関わる筋肉が過度に収縮して目が開けづらくなり、まばたきがうまくできなくなる病気です。

後者は顔面神経が過敏になり、顔の右半分または左半分の筋肉が勝手にけいれんする病気です。

進行すると口の筋肉にまで症状が出て、顔の半分に強いひきつれを起こした表情を示します。


[主な種類]
・眼瞼ミオキミア
・眼瞼(原発性、薬物性)けいれん
・片側顔面けいれん

[主な対処法]
・ボツリヌス毒素療法
・クラッチメガネや遮光メガネの利用
・抗てんかん薬などの内服による薬物療法
・手術療法

[顔に表れる特徴]

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眼瞼けいれん
・まばたきが多い
・伏し目がち
・眉間に縦じわがある
・額と鼻の付け根に横じわがある

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片側顔面けいれん
・顔の半分がひきつっている
・ウインクをしたような表情が発作的に表れる


上の図のような特徴があり、どちらも40歳代後半以降の女性に多く見られる病気です。

原因の詳細は明らかではありませんが、まばたきをコントロールしている脳(大脳基底核や視床、脳幹など)の機能低下や活動の異常が考えられます。

またパーキンソン病や薬物の服用(抗不安薬や抗うつ薬などの向精神薬、睡眠導入薬)などとの関連性も指摘されています。


まぶたを動かす筋肉はどれ?

上まぶたの眼瞼挙筋とミュラー筋がまぶたを開け、目の周りを取り巻く眼輪筋がまぶたを閉じる。

神経や筋肉が正常に働かないとまばたきの異常が起こる。

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こんな症状がでたら要注意!

セルフチェック表

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※チェックの数が0:正常、1~2個:眼瞼けいれんの疑い、3個以上:眼瞼けいれんの可能性が高い。
※セルフチェックの結果を受診時に持参するとよい。


心の病を患うことも

ひとりで悩まず相談を

診断は、特徴的な症状の確認と瞬目テスト(※)で総合的に行われます。

ドライアイや眼瞼下垂などまぎらわしい病気があり、正しい診断に数年かかることもあります。

専門医が限られているので、受診前に調べることをおすすめします(下の連絡先参照)。

現在のところ、根本的に治す方法はなく、症状を軽減することが目的になります。

最も効果が高いのはボツリヌス毒素療法(ボトックス注射)で、保険が適用されます。

筋肉を収縮させている神経の働きを一時的に抑えます。

重症度や改善度によって量を調整します。

効かない場合は、抗てんかん薬などの内服薬を検討します。

クラッチメガネや遮光メガネの利用も役立ちます。

ドライアイの治療で症状が和らぐこともあります。

重篤な場合は、形成外科による眼瞼皮膚切除、眼輪筋切除などの手術を検討します。

進行するとまぶたを全く開けられなくなり、失明同然の状態に陥ることもあります。

心の病を患う方も多いので、ぜひ上記の患者の会や相談室の扉をたたいてください。

※いくつかの条件下で意識的にまばたきを行ってもらうテスト。その様子を観察しながら、まばたきの異常を発見できる。

《クラッチメガネってどんなメガネ?》

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シリコンカバーを付けたワイヤーを適切な角度で通常のメガネに取り付ける。一部のメガネ店で販売されている。2106_P091_03.jpg

まぶたを持ち上げるように装用する。

《ボトックス注射の効果は?》

・筋肉の異常な緊張をゆるめる効果
・効き始めは3~4日後から
・効果の持続期間は3~4カ月(年3~4回注射)
・両目の眼輪筋に6カ所(上下に3カ所ずつ)筋肉注射
・注射針はごく細く、強い痛みはない
・治療は10分ほど
※治療する医師は注射の部位や量の決定に 習熟している必要がある。

《ひとりで悩まないで!お役立ち連絡先》

●日本神経眼科学会(神経眼科相談医が分かる)
http://www.shinkeiganka.com/consult/index.html
●眼瞼・顔面けいれん友の会(患者の会)
メール:tomonokai@gankenganmen.jp
●目と心の健康相談室
メール:metokokoro@gmail.com

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取材・文・構成/古谷玲子(デコ) イラスト/片岡圭子

 

<教えてくれた人>
清澤眼科医院 院長
清澤源弘(きよさわ・もとひろ)先生
1978年東北大学医学部卒業。84年同大学大学院修了。医学博士。東北大学講師、東京医科歯科大学眼科助教授などを経て2005年より現職。神経眼科分野専門。

この記事は『毎日が発見』2021年6月号に掲載の情報です。
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