日中に摂った水分を夜間に持ち越さないために
夜間頻尿の原因はさまざまですが、近年特に注目されているのが〝足のむくみ〟です。
「夕方になると足がパンパンになったり、重だるく感じることがあるでしょう。それは、本来なら尿として排出されるべき水分が下半身に滞っているからです。
ふくらはぎは〝第2の心臓〟といわれるように心臓とともにポンプの役割をして血液を全身に循環させています。血液中には水分が含まれていますが、私たちの体は体内の水分量を一定に保とうとするため、余分な水分があると腎臓で尿にして、膀胱を経て体外に排出します。
ふくらはぎのポンプ機能が正常であれば、血液が下から押し上げられて上半身へいき、余分な水分は尿に。しかし、ふくらはぎの筋力が衰えると血液がうまく循環せず、水分は血管から漏れ出してふくらはぎの皮下や筋肉の間にたまってしまうのです。これが足がむくむしくみです」(髙橋先生)
ふくらはぎに水分がたまるしくみ
[健康な人]
心臓やふくらはぎの筋肉などのポンプ作用により、血液は全身を循環しています。下半身から上半身に送られた血液中の余分な水分は腎臓でろ過され膀胱へたまり、排出されます。
[筋力のない人]
加齢などで筋力が低下すると、血液を押し上げる力が弱まります。余分な水分は上半身に戻らないので腎臓や膀胱に送られず、ふくらはぎにたまるので足がパンパンにむくみます。
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[夜]
横たわると重力の影響が弱まるため、血液と水分は足から上半身に移動しやすくなります。そして余分な水分が尿として膀胱にたまり、睡眠中の尿意につながります。
昼間の足のむくみがどうして夜間頻尿につながるのでしょう。
「夜、横になって体が水平になると、ふくらはぎにたまった水分が血管に戻って膀胱に送られるので尿意を感じるのです。
つまり昼間、特に夕方に足がむくまなければ夜トイレに行きたくなることも減ります。そのために有効なのが足のむくみをとるために開発された医療用の〝弾性ストッキング〟です。
弾性ストッキングで夜間頻尿を抑える効果はすでに認められており、2020年に発表された『夜間頻尿診療ガイドライン』でも推奨されています」(髙橋先生)