胸やけ、おなかの張り、胃もたれ、げっぷ...こんな症状がある人は逆流性食道炎かもしれません。実は、年齢に関係なく、若い人にもこの病気が増えているそうです。そこで、逆流性食道炎の手術を500例ほど手掛けた外科医・関洋介先生の著書『胸やけ、ムカムカ、吐き気、胃痛、げっぷ・・・・・・それ全部、逆流性食道炎です。』(アスコム)より、症状のチェックから、治療法まで、知っておきたい「逆流性食道炎」の情報をご紹介します。
Q.病院に行くときは、何科に行けばいいのでしょうか?
胃腸の具合が悪い場合、内科を受診する人が多いと思いますが、より正確な診断を求めるなら、診療科目に「消化器」を掲げている病院に行くといいでしょう。
医者も一種の職人ですので、経験豊富な事例にはうまく対処できるものです。
その点、消化器病を専門的に診ている医師なら安心できます。
問題は、患者さんの訴える症状が定型的でなく、本人が「どこが患部かわからない」場合です。
逆流性食道炎は症状が多彩です。
例えば「喉にピンポン球が詰まっているような感じ」で耳鼻科に行ったり、「咳が止まらない」で呼吸器科に行ったりすると、正確な診断にいたらないことがあります。
実際にあった例として、咳が止まらずに呼吸器科に行ったら喘息と診断され、薬が処方されたのにちっともよくならなかったという患者さんもいます。
Q.病院ではどうやって診断するのですか?
胃カメラで食道を観察し、食道粘膜に炎症が起きていたら逆流性食道炎です。
ただし、症状があっても食道粘膜に炎症が見られないことも少なくありません。
この場合、胃食道逆流症の中の「非びらん性胃食道逆流症(NERD)」である可能性が考えられます。
そのほかの診断方法としては、食道の酸性度を調べる「ペーハーモニタリング」、食道内圧測定検査などがありますが、これらは胃カメラ検査に対して専門的な検査となります。
胃カメラを嫌がる人、怖がる人が少なくありませんが、逆流性食道炎の診断には欠かせない検査です。
がんなど、ほかの病気が隠れていないかを確認するうえでも有効です。
勇気を出して受けてください。
胃カメラ検査の前日夜の夕食から、固形物の摂取が禁止になります。
うっかり忘れて食べてしまうことのないようにしましょう。
また、一部の薬が禁止になることもあります。
よく医師と相談してください。
Q.軽症から重症までの診断と治療法を教えてください
逆流性食道炎の疑いで患者さんがやってくると、一般的には次のような流れで診断し、治療の方針を決めます。
●胃カメラによる検査
→食道粘膜に炎症あり→逆流性食道炎→治療開始→食道粘膜に炎症なし→非びらん性胃食道逆流症→治療開始
●生活習慣改善治療
●薬物治療(PPI投与)
→症状改善→長期管理
→症状持続→薬剤変更・投与方法変更①
●長期管理
●薬物の漸減または中止
●オンデマンド療法
●維持療法
●手術療法
①で症状が持続する場合は、ペーハーモニタリングなどによる病態評価を行い、胃食道逆流症と他疾患との見極めをします。
この流れを図示しますので、参考にしてください。
【まとめ読み】『それ全部、逆流性食道炎です。』記事リストはこちら!
逆流性食道炎の症状、自己対処法、診察、治療など全4章にわたって詳しく解説しています。