遺伝する? 間違えやすい病気って?「逆流性食道炎」知っておきたい「3つのQ&A」

胸やけ、おなかの張り、胃もたれ、げっぷ...こんな症状がある人は逆流性食道炎かもしれません。実は、年齢に関係なく、若い人にもこの病気が増えているそうです。そこで、逆流性食道炎の手術を500例ほど手掛けた外科医・関洋介先生の著書『胸やけ、ムカムカ、吐き気、胃痛、げっぷ・・・・・・それ全部、逆流性食道炎です。』(アスコム)より、症状のチェックから、治療法まで、知っておきたい「逆流性食道炎」の情報をご紹介します。

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Q.逆流性食道炎とは、どんな病気ですか?

テレビなどのおかげで「逆流性食道炎」という病名がよく知られるようになりました。

しかし、そこには少し誤解があります。

「逆流性食道炎」は、胸やけ、胃もたれなど胃液の逆流によって起きる病気の「一部」だということです。

「逆流」というインパクトのある言葉がマスコミ受けするために、この病名ばかりが有名になってしまったわけです。

実際に、私のクリニックに来る患者さんの大半が「私は逆流性食道炎でしょうか?」「逆流性食道炎がひどいのですが」などと最初に言います。

しかし、まず読者の方には、病名を表す用語を正しく理解していただきたいと思います。

胃液など胃内容物の逆流によって起こるわずらわしい症状のすべてが逆流性食道炎なのではなく、このような症状を起こす病気を総称して「胃食道逆流症(GERD=ガード)」といいます。

そのうち食道粘膜が炎症を起こして「びらん」や「潰瘍」があるものを「逆流性食道炎」(食道に炎症が起きている状態)と呼び、「びらん」や「潰瘍」のないものは「非びらん性胃食道逆流症(NERD=ナード)」と呼んで区別しています。

逆流性食道炎と非びらん性胃食道逆流症の患者さんの割合は、大まかにいって4対6です。

つまり、「私は逆流性食道炎では?」と言ってくる患者さんの半分以上は逆流性食道炎ではなく、非びらん性胃食道逆流症ということになります。

どうかこのことを頭の片隅に置いておいてください。

下の図は、胃食道逆流症と逆流性食道炎、非びらん性胃食道逆流症の関係をわかりやすく示したものです。

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右の円が食道粘膜が炎症を起こして損傷している患者さんを表していますが、この円が逆流性食道炎です。

左の円は胸やけなどの自覚症状がある患者さんです。

右の円と重なった部分が症状のある逆流性食道炎の患者さんです。

重なってない部分は症状のない逆流性食道炎の人です。

左の円の残りの部分が、症状があるのに逆流性食道炎でない人、すなわち非びらん性胃食道逆流症の人です。

そして2つの円を合わせた全体が、胃食道逆流症の患者さんということです。

ただし、今回みなさんに理解してもらいやすくするため、これらすべてをあえて「逆流性食道炎」と呼びます。

ご理解ください。

Q.逆流性食道炎と間違えやすい病気はありますか?

世の中に逆流性食道炎という病名が広く知られるようになってから、自己判断で「私は逆流性食道炎です」と言って来院される患者さんが多くなりました。

しかし、そのすべてが逆流性食道炎ではなく、実はほかの似た症状の病気の可能性もあります。

やはり正確な病名を知るためには、医師の診察を受けたほうがいいでしょう。

逆流性食道炎と似た症状で、勘違いしそうな病気の筆頭は、非びらん性胃食道逆流症です。

両方を合わせて胃食道逆流症という病気になるわけですが、後者は症状があるのに食道の炎症が見つからないものです。

逆流性食道炎とはまったく異なる病気なのに、よく間違えられるのがアカラシアです。

これは若い女性が多くかかるもので、胃と食道の間にある下部食道括約筋が締まりすぎて食べ物が落ちていかない病気です。

食べ物が胃に落ちていかないので食べても吐いてしまいます。

よく吐くから逆流性食道炎だと思い込んでしまうわけです。

同じように、食べ物が喉につかえる症状の病気で深刻なのが、食道がんです。

自覚症状が出てからでは手遅れのこともあり、命に関わります。

逆流性食道炎を放置していると食道がんに進んでしまうリスクもあり、定期的に胃カメラで検査することで早期発見が可能になります。

Q.父が逆流性食道炎です。この病気は遺伝するのでしょうか?

逆流性食道炎になる原因が遺伝しやすいという話もありますが、親がこの病気だからといって、必ずしも子どもも発症するわけではありません。

遺伝子の病気ではありませんが、生活習慣など、親子で環境要因が似るので、「リスクが増す」というだけです。

その意味では、近視や糖尿病と同じです。

発症を抑えるためには、まず生活習慣に気をつけることです。

規則正しい生活をして適度な運動を行い、食べ過ぎを抑えて肥満にならないようにします。

食事では胃液の分泌を促すような脂っこいメニューを避け、過度の刺激物も控えるようにします。

また、食べたら2時間は横にならないようにしましょう。

日常生活では腹圧の高くなる服装(ベルトや帯で締めつける)を避け、前かがみの姿勢が長時間続かないように気をつけます。

ストレスもこの病気の原因になるので、ストレスを溜めないようにリラックスして毎日を過ごしましょう。

お父様の苦しんでいる様子を見て、自分もそうなるのではと心配されるお気持ちはよくわかります。

しかし、この病気は日本人の3人から4人に1人がかかるものですから、特別な病気ではありません。

逆流性食道炎がただちに命に関わるということはないのですが、ほかの病気が隠れていたり、深刻な病気に発展する可能性はありますから、定期的に検診でチェックしておいたほうが安心でしょう。

【まとめ読み】『それ全部、逆流性食道炎です。』記事リストはこちら!

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逆流性食道炎の症状、自己対処法、診察、治療など全4章にわたって詳しく解説しています。

 

関 洋介(せき・ようすけ)
四谷メディカルキューブ「きずの小さな手術センター外科(胃・食道外科)」の臨床研究管理部部長/日本外科学会認定医・専門医・指導医/日本内視鏡外科学会技術認定医・評議員/大阪大学医学部を卒業後、同大学附属病院、医学部消化器外科を経て、豪州フリンダーズ大学消化器外科、米国ミネソタ大学外科、2009年より現職

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『胸やけ、ムカムカ、吐き気、胃痛、げっぷ・・・・・・それ全部、逆流性食道炎です。』

(関 洋介/アスコム)

逆流性食道炎を軽く考えている人もいるようですが、リスクが高いそうです。眠れなくなる、集中力が低下して仕事の効率が落ちる、声が出しにくくなる、食道がんのリスクなど、放っておくとさまざまな症状が起こるそうです。「逆流性食道炎」に関する正しい知識、症状や治療法、自己対処法など、500例ほどの手術を手掛けた外科医が患者の声をもとに「Q&A形式」で執筆したわかりやすい良書です。

 

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※この記事は『胸やけ、ムカムカ、吐き気、胃痛、げっぷ・・・・・・それ全部、逆流性食道炎です。』(関洋介/アスコム)からの抜粋です。
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