コロナ禍での外出自粛などで、いま全国のシニアがフレイル(要介護の前の虚弱状態)の危機にあります。そこで、東京大学高齢社会総合研究機構の教授である飯島勝矢さんの著書『在宅時代の落とし穴 今日からできるフレイル対策』(KADOKAWA)より、自宅でできる感染予防や、要介護予防についてご紹介します。
体や心の衰えにつながっている「ソーシャル・フレイル」に気をつけよう
人や社会とのつながりを途絶えさせないことがフレイル予防に!
「健康な状態と要介護状態の中間地点」と位置づけられるフレイル。
どのような症状が表れるのか、一人ひとり異なるため、非常に多面的なのが特徴ともいわれています。
健康な状態からプレフレイル、フレイル、要介護へと移行する際には、3つの虚弱がさまざまに絡み合います。
●身体の虚弱(フィジカル・フレイル)...サルコペニア、ロコモなど
●心/認知の虚弱(メンタル/コグニティブ・フレイル)...うつ、認知機能の低下
●社会性の虚弱(ソーシャル・フレイル)...閉じこもり、困窮、孤食など
なかでも特に気をつけたいのが、社会とのつながりを失った状態をさす「ソーシャル・フレイル」です。
ソーシャル・フレイルになるきっかけは、「定年で退職した」「けがや病気で外出できなくなった」「自分、または親しい友人が引っ越しをした」「スポーツジムや趣味の教室を退会した」など、だれの身にも起こることです。
人や社会とのつながりが希薄になれば、社会性が欠如し、それが認知機能の低下を招き、コグニティブ・フレイルにつながるケースも。
また、食事や口の健康への関心がなくなってオーラルフレイルにつながることや、体を動かす機会が減って身体機能が衰え、フィジカル・フレイルにつながってしまうこともあります。
ただし、忘れてはいけないのは、フレイルには可逆性があり、健康な状態に戻れることです。
それには、早く気づくことが大切!
感染症が流行しているときなど、外出や、直接人と会うことを控えなければならない場合もありますが、人とのつながりや社会参加を途絶えさせないことが重要です。
電話、メール、パソコンやスマートフォンのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などを上手に活用しましょう。
下のような人とのつながりをチェックするテストもあります。
社会性の維持はフレイルにならない生活習慣のカギになるので、参考までにやってみてください。
マメに連絡を取り合っていますか?「人とのつながりの維持チェック」
現在の家族や友人についてうかがいます。
各問いごとに、該当する人数の番号を1 つだけチェックしてください。
【判定】
12点以上
人とのかかわりを維持できているといえます。
0~11点
人とのつながりが少ないかもしれません。家族や友人とのコミュニケーションをもう少し意識してみましょう。
持ちつ持たれつの人が近くにいますか?「支え合いチェック」
周りの人との支え合いについてうかがいます。
「はい」か「いいえ」にチェックをつけてください。
【判定】
4点
周りの人とたくさん支え合えているようです。
0~3点
支え合いが少ないかもしれません。頼り合えるような関係づくりを始めてみてはいかがでしょうか。
イラスト/中村知史
要介護の手前の「フレイル」状態を防ぐために自宅でもできる健康法について、5章にわたって分かりやすく解説