すぐに疲れてしまう、おなかにガスがたまる、生理前に太りやすい...病院では原因が特定されづらい「なんとなくの不調」に悩まされていませんか? そこで、年間2000人以上の悩みに応えてきた漢方カウンセラー・大久保愛さんの著書『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)より、「漢方×栄養学×腸活」の考え方をもとにした「食薬」のエッセンスをご紹介。ぜひ、自分の「体の状態」に合わせて食事を選び、体調を整えてみてください。
冷えやすい体質とは?
漢方では、冷えやすい人は「脾(ひ)」が弱っていると考えます。
そして、「脾」にダメージを与える行動を「久坐(きゅうざ)」と呼び、長時間座りっぱなしでいることを表します。
当然、姿勢はくずれて骨盤はゆがみます。
猫背になり内臓を圧迫することで、代謝や血流が低下して体が冷えます。
普段から座位の姿勢に気をつけましょう。
食事では、温かいスープで消化を助けながら栄養補給を。
また、消化を促進するため、よく噛んで食べましょう。
漢方で考える
「脾」の働きは、脾臓ではなく、胃の働きに膵臓の働きが加わった感じだと考えていただけるとよいと思います。
食べ物は、消化された後にインスリンが膵臓から適正に分泌されることで有効利用できる形となり、貯蔵されます。
そしてエネルギーがつくり出されます。
冷たい飲食物による「寒邪(かんじゃ)」の影響やエネルギーがうまくつくれないことにより、「脾気虚(ひききょ)」や体が冷える「脾陽虚(ひようきょ)」となります。
「脾」が弱ると冷えやすい体質になる!
冷えやすい体質にお勧めの「食薬」は、温かいスープや汁物など食材のうまみを引き出した味わい深い料理です。
食材のうまみを楽しむには、ゆっくりと噛んで、よく味わって食べることが基本です。
また、出汁がきいたスープは吸収しやすい栄養素を豊富に含みます。
体を温めて代謝を上げたいときにぴったりです。
冷えが大敵な理由
私たちの体には、エネルギーをつくる仕組みが2種類あります。
1つ目は約37℃で働いて持続的なエネルギーをつくるミトコンドリアを使ったもの。
2つ目は32~36℃の低い温度で瞬発的なエネルギーをつくる解糖系(かいとうけい)です。
このため、体が冷えていると、ミトコンドリアがうまく働かなかったり、消化の働きが低下したり、さらに冷えやすくなったりと、すぐにエネルギーが切れる「脾陽虚」や「脾気虚」を招きやすくなります。
すると、すぐにエネルギーとなる糖質たっぷりの甘いものが欲しくなってしまいます。
これにより優位に働くのが、ミトコンドリアではなく解糖系なので悪循環に陥ります。
また、膵臓からインスリンが過剰に分泌されて血糖値のコントロールができないと、低血糖症状が現れ、食後に眠くなったり、集中力が低下したりします。
幸せを感じるドーパミンなどの分泌も促されるため、甘いものの依存にも注意しましょう。
冷えと女性ホルモン
男性と女性の生殖器は、エネルギーの仕組みに違いがあります。
それは、ミトコンドリアの量です。
ミトコンドリアは、1つの細胞につき数百から数千個存在するといわれ、重さにすると体重の10%にも及ぶ量が存在するようです。
ミトコンドリアは、精子の運動率を維持するために100個程度、卵子には成熟して妊娠・出産まで活躍するために10万個程度のミトコンドリアが存在します。
卵子のミトコンドリアは、精子のミトコンドリアより1000倍も多いのです。
そのため、ミトコンドリアのエネルギー切れを起こさないために、女性は男性よりも冷えに弱く、生殖器を温めておく必要があることがわかりますよね。
食べ物で温めるほか、防寒対策も意識してください。
さらに、冷えると欲しやすいのが、すぐに解糖系のエネルギーになる甘いもの。
甘いもののとりすぎは、血糖コントロールの不調を招き、それが原因で排卵障害を起こすこともありますので気をつけましょう。
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とにかくわかりやすい!「漢方×栄養学×腸活」をかけ合わせて、日々の食事を中心に、心と体を整えて不調を解消する55のメソッドが収録されています