「最近、躓きやすくなったなぁ...」なんてショックを受ける前に、躓かないような体を作りませんか?「体操すれば健康は維持できる」と言う医師・中村格子さんの著書『カラダのおくすり体操』(ワニブックス)から、できない動作ができるようになる「機能的なカラダ」をつくるエクササイズを一部抜粋してお届けします。
疲れずに立てる力
年をとるにつれ、家事や立ち仕事をしているとすぐ疲れてしまい、すぐ座りたくなってしまうという人、多いのでは?
この「疲れずに立てる力」が衰えると、ただ「立ち続ける」という当たり前の動作ができなくなってくるものです。
実はこの原因は、5〜6kgもある頭を背骨の上にまっすぐにのせて、前後左右均等に体重をかけて立っていないからです。
こんな状態だと体のバランスが崩れて特定の筋肉が偏って使われ、そこに過剰に負担がかかり、肩こりや腰痛、ひざ痛などの痛みが起きたり、ひどいと頸椎症や脊柱管狭窄症などの病気になる場合も。
では、疲れずに立つために必要なことは何でしょうか?
それは「固有感覚」を鍛えることです。
私たちのカラダには、常に重力に対して、体の関節や筋肉をどの位置や角度にもっていくとよいかを瞬時に感知して脊髄に伝える、いわばセンサーのような「固有感覚」が備わっています。
私たちが自分の頭をカラダの中心で支えられるのもこの固有感覚のおかげなのです。
このセンサーは、カラダの各関節や足底などにありますが、悪い姿勢や運動不足が続いたり、足裏への刺激が少ないと衰えてしまいます。
すると姿勢を良い位置で保つことができなくなり、立っているときの姿勢が崩れ、疲れや痛みのもとに。
ですから、足裏や足首、足指などを刺激する体操で、衰えた固有感覚をよみがらせましょう。
もちろん立ち続けるには足腰の筋力も必要なので、これを鍛えることも大切。
そうすればカラダをバランスよく支えられ、「疲れずに立てる」ようになります。
「疲れずに立てる力」をつける<レベル1>
足裏を刺激して〝固有感覚〞を取り戻す
「足裏ふみ」<左右各10回>
足の固有感覚が衰えていると疲れずに立つ力が衰えます。
片方の足裏で、反対側の足裏をふんで刺激し、固有感覚を取り戻しましょう。
床に座って、片方のひざを立て、もう一方の足はひざを外側に倒して曲げます。
立てた方の足の裏で、もう一方の足の裏をふみます。
全体をまんべんなくふみましょう。
次に、左右の足を入れ替えて同様に。
足首を柔軟にして立ちやすくする
「足首回し」<左右各10回>
足首が硬くなっているとしっかりと立ちにくくなるので、回して柔軟性を高めます。
足の固有感覚も取り戻しやすくなります。
床に座って左脚をまっすぐに伸ばし、右足を太ももの上にのせます。
右の足の指の間に、左手の指を入れて握り、足首をくるくると回します。
内回し、外回し、各10回。
左右の足を入れ替えて同様に行いましょう。
【最初から読む】スポーツドクターが教える「機能的なカラダ」とは?
健康維持のためにオススメの10の体操が解説されています。自分の体の弱点が分かるチェックシートも