結果が出なくて不安。失敗してなかなか立ち直れない...。災害や社会情勢の変化など、最近トラブル続きのメンタルが整わないと思う人も多いはず! そんなメンタルを解消しようと元格闘家・大山峻護さんは運動プログラムを開発。その大山さんが明治大学の堀田秀吾教授とタッグを組み、そのプログラムを科学的なエビデンスとともにまとめた共著『科学的に証明された 心が強くなるストレッチ』(堀田秀吾&大山峻護/アスコム)から、「運動とメンタルの関係性」やそれぞれの心の状態にあったストレッチを一部ご紹介します。
落ち込み改善には、とにかく体を動かしてセロトニンを増やす
今回は、沈んだ気持ちを切り替えるストレッチを紹介します。
落ち込んで、何もやる気が起きなくなるのは、脳のストレス反応の最悪のパターン。
ストレスのせいで脳のはたらきが悪くなり、無気力、無関心になっているのです。
原因のひとつは、セロトニンの分泌量不足。
実は、セロトニンは、体を動かすだけで分泌されるようになります。
というのは、筋肉が動きはじめると、セロトニンの材料となるトリプトファンという物質が脳にどんどん送られるようになるからです。
ちなみに、うつの症状を改善する薬として代表的な「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」は、セロトニンの量を増やすのが目的です。
つまり、体を動かすことは、薬と同じくらい効果があるということなのです。
セロトニンを分泌するなら腹式呼吸
リズム運動がセロトニンを分泌するという話をしましたが、いつでもどこでも、座っていても、立っていてもできるリズム運動があります。
それが、腹式呼吸です。
呼吸には、肋骨の筋肉を使って空気を吸い込む「胸式呼吸」と、横隔膜を使って空気を吸い込む「腹式呼吸」があります。
心を落ち着かせる効果があるのは、腹式呼吸。
やり方のポイントは、吸うときにはおなかを膨らませるようにして、吐くときにはおなかをへこませることです。
何度か繰り返していると、それだけで体の力が抜けリラックス状態になります。
腹式呼吸には、ストレスで活発になっている交感神経をやわらげ、副交感神経を優位にする効果もあります。
「大の字脱力」や「ぐるーりほぐし」などの動きの少ない動作では、腹式呼吸を意識して行うようにしましょう。
▼心に効く「大の字脱力」
大の字になって寝転がるだけで、副交感神経は優位になり、セロトニンもどんどん出てきます。
あお向けになって全身脱力
床の上に大の字になってあお向けになり、目を閉じます。その姿勢を、1分程度キープしましょう。
※痛みなどがある場合は決して無理をしないでください。
【目安は1分】
▼心に効く「視線戻し」
瞬間的に気持ちを切り替える方法が、3秒でできる「視線戻し」です。呼吸と合わせて行いましょう。
視線を戻す
上を見て1秒経過したら、息を吐きながら視線を元に戻しましょう。
※痛みなどがある場合は決して無理をしないでください。
【目安は3秒】
1.いったん上を見る
イスに座っていても、立っていても、やばいと思ったら、その瞬間に息を吸いながら上を見ます。
2.視線を戻す
上を見て1秒経過したら、息を吐きながら視線を元に戻しましょう。
▼心に効く「ぐるーりほぐし」
ゆっくり呼吸しながら、遠くをぐるりと見渡すだけで、副交感神経が優位になってきます。
視線を止めながらぐるりと見渡す
少し目線を上げて遠くを見つめ、視線を移動させたらひと呼吸おき、30秒かけて右、左、上など、ぐるりと見渡します。
※痛みなどがある場合は決して無理をしないでください。
【目安は30秒】
▼心に効く「大山アキレス腱」
悪いイメージが頭から離れないときは、体を動かして気をそらしていると、徐々に頭から消えていきます。
顔を上げ、上を向いたままアキレス腱伸ばし
足を前後に開いて立ち、両手を腰に添え、顔を上げます。その姿勢でアキレス腱運動。10秒ずつ両足行いましょう。
※痛みなどがある場合は決して無理をしないでください。
【目安は左右10秒】
▼心に効く「邪念シャットアウト」
悪いイメージが頭から離れないときは、脳をだまして消す方法もあります。消えるまで続けましょう。
※痛みなどがある場合は決して無理をしないでください。
1.イメージ!
イスに座り、顔を上げ、心を弱らせている原因を思い浮かべます。このとき、片方の手を顔の横に上げておきます。
2.払う!
思い浮かべている悪いイメージを、息を吐きながら、顔の横に上げていた手でスパッと払います。
▼心に効く「大山バランス1」
目を閉じて、呼吸だけでなく、体の重心や重みにも意識を向けると、少しずつ冷静な気持ちが取り戻せます。
片足を上げて目を閉じて
立った状態で両手を左右に開き、目を閉じたら、片方の足を上げます。その状態を10秒キープしましょう。
※痛みなどがある場合は決して無理をしないでください。
【目安は10秒】
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6章にわたって、ストレスに悩む多くの企業が導入している「心が強くなる」運動プログラムをわかりやすく解説しています