専門医が伝えたい「膣を整えること」が「赤ちゃんの免疫力」につながる理由

生理痛がひどくて動けない、婦人科疾患が治らない...こうした悩みや不安は、なかなか人には聞けないものだと思います。そこで、こうした多くの相談に答え、5万人の膣を診てきた婦人科医・駒形依子さんの著書『膣の女子力 女医が教える「人には聞けない不調」の治し方』(KADOKAWA)より、人には聞けない不調を解決するカギとなる「こまがた式セルフケア」についてご紹介します。

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子宮内フローラと膣の深い関係

膣の状態に関する大切なキーワード、3つ目が「常在菌」です。

「菌」というと、バイキンをイメージして毛嫌いする人もいますが、あたしたちは菌と共存することで生きています。

まさに、あたしたちの健康を守ってくれているものこそが、常在菌と言われる菌なのです。

常在菌とは、人の体に日常的に存在する微生物のこと。

乳酸菌やビフィズス菌、大腸菌も常在菌の一種で、これら常在菌が腸や皮膚など、体のさまざまな場所に定着することによって、食べた物を消化したり、外から侵入してくる細菌やウイルスの感染を防いだりします。

膣にも常在菌はもちろん棲んでいて、膣内のpHバランスを保つことで、雑菌や病原菌などの侵入を阻んでくれています。

それだけではなく、膣の常在菌バランスを保つことは、子宮の状態をよくすることにもつながっています。

これまで、子宮の中は無菌と言われてきたのですが、2012年以降くらいから、子宮には「子宮内フローラ」という常在菌がいることが判明し、それが妊娠・着床に関係があることもわかってきました。

子宮に細菌が入り感染を起こすと、高確率で入院・抗生剤の点滴が必要になります。

それなのに、性感染症のクラミジアに感染しても、無症状のまま、おなかの中で炎症・癒着を引き起こし続けるのがなぜなのか、ずっと疑問でした。

いっそのこと、すぐ症状を起こしてくれたほうが治療もスムーズなのにと思いつつ、常在菌ががんばってくれていたから症状を抑えられていたのかもしれないと思うと、いいのか悪いのかは別として、常在菌の働きぶりに感動します。

ふかふかで温かい膣を目指そう!

子宮が炎症を起こしにくくなっていることが体にとっていいか、悪いかはいったん置いておいて、この子宮内フローラと呼ばれる菌はどこから子宮内に入って定着したのでしょうか?

あるデータによると、「子宮内フローラは、膣の中の常在菌のバランスに反映される」とあるように、子宮とつながっている器官は膣しかないのですから、「膣から」と考えるのが妥当でしょう。

つまり、膣の状態が子宮の状態に反映します。

膣を整えることは、子宮の状態を整えることにつながるというわけです。

さらに、膣の常在菌の状態は、腸の常在菌とも連動しているので、便秘や下痢をなくすことが子宮の状態を整えることにつながっています。

常在菌は、皮膚や口腔内、膣などさまざまな場所に棲みついていますが、実はその70%が腸に集まっていると言われています。

だから、腸内細菌の働きが低下するということは、当然、免疫機能も低下するということ。

これは、常在菌が外からの細菌やウイルスの侵入・感染を防ぐ役割をするから、という理由もありますが、前述したように血は腸でつくられます。

その「血」の中には、免疫細胞と言われるものも含まれています。

つまり、腸の状態が、全身の免疫機能に関与してくるのです。

腸の常在菌の機能が低下すれば、膣内の常在菌の機能が低下するし、子宮内フローラ(細菌)の機能も低下します。

ちなみに、腸の常在菌の機能低下は、腸そのものの機能低下につながりますので、むやみやたらに抗生剤を内服することは、あまりおすすめしません。

必要な常在菌までいなくなってしまいます。

どうしても必要で内服する場合は、いなくなった常在菌が回復するまで胃腸を休ませるために、消化のいい食事をとっていただければと思います。

子宮の状態を見るには生理の状態を見るのが一番ですが、それだと月に1回しかわかりません。

でも、膣や腸の状態は、おりものや排便の状態で毎日確認できるので、状態を見ながら整えることで、最終的に子宮の状態をよくすることにもつながります。

では、常在菌やおりものの状態を整えるには、どうしたらいいかというと、やっぱり膣をふかふかで温かくして、働きをよくすることが一番。

そのために、あたしは「膣トレ」や「骨盤ストレッチ」をおこない、骨盤全体の血流を増やすことが必要だと考えているわけです。

膣は整っていないけど子宮の状態だけはいいなんてことは、ないと思っています。

膣が整い、子宮内フローラが整い、子宮の筋肉から内膜組織を溶かす酵素がしっかり働いていたら、生理痛も過多月経もないはずです。

妊娠をすると、赤ちゃんはお母さんの血液内の栄養、酸素、水分、そして免疫細胞によって守られて育ちます。

ですから、妊娠前から女性が膣を整え、骨盤内を流れる血液量を増やすことは、赤ちゃんの免疫力・生命力にもつながります。

妊娠してからでは、できることが限られてしまいます。

だからこそ妊娠前から、骨盤内を流れる血液量を増やしておく。

これは女子のたしなみ、未来の自分へのたしなみではないでしょうか。

自分の膣を、腸を整えることは、未来につながるんです。

膣を大事にすること、膣を整えることが子宮を整えることにつながっています。

だから、無意識に、当たり前に膣を意識することができるくらいまで、膣を大事にしてほしい。

そこまで膣に意識を向けられるのが、本当の女子力ではないでしょうか。

大事にすればするだけ効果はあるし、女子力はアップします。

【まとめ読み】人には聞けない悩みがある人に。『膣の女子力』記事リスト

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生理や婦人科疾患などの悩みを解決するカギや、セルフケアの方法について、5章に渡ってわかりやすく解説

 

駒形依子(こまがた・よりこ)
東京女子医科大学医学部卒業。2018年、山形県米沢市に婦人科・漢方内科のこまがた医院を開業。高校生の頃から生理痛や過多月経に悩まされる。婦人科での研修医時代、患者よりも自分の生理のほうがひどい状態という矛盾を痛感し、生理痛や過多月経をなくす方法を追求し始める。その後、東洋医学を基礎から学び、自分の体を使って実験をくり返し、最小限の努力で最大限の効果を発揮するセルフケアを考案。自称「子宮が大好きすぎる産婦人科医」。ブログや講演活動を通じて、患者が自分で自身を治すための「グレない子宮の作り方」を提案している。

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『膣の女子力 女医が教える「人には聞けない不調」の治し方』

(駒形依子/KADOKAWA)

生理のトラブルや、婦人科疾患、不妊、セックスの悩みといった多くの相談に答え、5万人の膣を診てきた婦人科医が、人には聞けない不調を解決する自身考案の「こまがた式セルフケア」について紹介しています。なかなか人には聞けない悩みや不安をスッキリ解消するヒントになる、話題の一冊です。

※この記事は『膣の女子力 女医が教える「人には聞けない不調」の治し方』(駒形依子/KADOKAWA)からの抜粋です。

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