白身魚フライやちくわなど練り製品の原料となるスケソウダラの「速筋たんぱく質」には、負荷運動をせずに食べるだけで筋肉を増やす効果があることが、愛媛大学や東京大学などの研究によって分かってきました。特に、年齢に伴い減少する「速筋」を増加させる効果があると明らかになり、注目されています。
白身魚で筋肉増加
スケソウダラは、練り製品の原料や総菜の白身魚フライなどでおなじみの食材です。
このスケソウダラ(※)に含まれる速筋たんぱく質を、65歳以上の女性が3カ月間毎日4・5g食べ続けたところ、下半身の筋肉量が1・5%増加しました。
特に増えたのが、筋肉内の瞬発力をつかさどる"速筋"であると考えられています。
「最近、つまずくことが増えていませんか? これは、速筋が減少し始めている証拠。速筋は20代をピークに減りますが、遅筋は大きくは減りません。年を重ねるにつれ動きがゆっくりになるのも、速筋が減って大半の動きを遅筋で行っているから。ゆっくりした動作の先には、転倒や寝たきりなどが待っています。それらの予防のためにも速筋は重要です」と、岸田太郎先生。
速筋は筋力トレーニングによって肥大し鍛えることができます。
しかし、スケソウダラを食べるだけで増えるとは、どうしてなのでしょう。
「スケソウダラの速筋たんぱく質は、運動と同様に、筋肉(特に速筋)を大きくさせる効果ももっています。
つまり、運動後に起きる筋肉再生による肥大メカニズムを刺激し、筋肉が増えるということになります」(岸田先生)
スケソウダラ原料製品は、手軽に食べられるのも魅力。
「最も手軽なのは、魚肉ソーセージの丸かじり。一般的に、朝食のたんぱく質摂取量が不足していると言われていますので、毎朝の食事に速筋たんぱく質4・5gを加えるのが最もおすすめです」(岸田先生)。
年を重ねるごとに減っていく速筋を増やすスケソウダラ原料製品。
毎日の食事に加えてみてはいかがでしょう。
※日本アミノ酸学会 第11回学術大会 日本水産株式会社
●速筋(そっきん)って知ってる?
筋肉には瞬間的に大きな力を出す速筋と、持久力などの遅筋があります。速筋が減ると、とっさに踏ん張る力が出ず転びやすくなったり、熱を生み出しづらい体になり冷えやすくなります。
●速筋が減少すると...
・転倒リスクが増す
・歩く速度が遅くなる
・冷えやすくなる
・階段をスムーズに下りられない
●筋肉増加にはスケソウダラを食べる!
魚肉ソーセージやちくわなどの商品を選ぶ際は、パッケージに「スケソウダラ」と明記されているか、食品原材料に「魚肉(スケソウダラ)」と記載されたものを選ぶのがおすすめです。
【速筋たんぱく質4.5gの目安は...】
ちくわ...1日2本
かに風味かまぼこ...1日55g
魚肉ソーセージ(スケソウダラ使用)...1日1本
白身魚フライ...1日1個(約60g)
取材・文/笑(寳田真由美) イラスト/坂木浩子