実は、ひざの痛みは、下肢の筋肉を鍛え直すことで十分に予防や改善ができます。一生自分の足でスタスタ歩くために、ひざを守るためのトレーニングを始めましょう。戸田リウマチ科クリニック院長・医学博士の戸田佳孝(とだ・よしたか)先生に、膝痛の改善に役立つ食事について教えていただきました。
丸くてコロンとしたものがベスト!少しだけヘタが浮いている状態が食べ頃。
傷ついた軟骨を修復⁉ アボカドで、ひざ痛改善
ひざの痛みの予防や改善には、食事も大切。
中でも、ひざの痛みに効果的な食材を摂ることが重要だと、戸田先生は言います。
「アボカドに多く含まれているステロールという成分に、TGF-β(ティージーエフ-ベータ)という物質があります。このTGF -βは、軟骨の土台となる線維を作る働きをもち、すり減った軟骨の欠けた部分を修復して、ひざ痛の改善に役立つことが分かっています」。
ステロールは、アボカドのほか大豆にも多く含まれているため、アボカド大豆不鹼化物とも呼ばれます。
「アボカドにはさらに、痛みや炎症を誘発する酵素〝COX(コックス) -2(ツー)〟の合成を防ぐ作用を持つ成分も含まれています。この成分には、痛みをやわらげる効果が期待できます」。
ひざ痛の緩和や予防には、1日2分の1個のアボカドを、できれば毎日食べるのが効果的です。
「ひざに効くアボカドの成分は、空腹時ほど体への吸収が良くなるので、朝食や食前、おやつ時などに食べるのがベストです。特に、太り過ぎでひざが痛いという人は、食前に食べれば食べ過ぎの予防にもなります。ひざの痛みは、体重増加も大きな要因なので、賢く食べてひざ痛を改善しましょう。ただし、肺線維症など持病のある方は不向きの場合もあるので、かかりつけ医にご相談ください」。
食べ方はお好みでかまいません。
例えば、アボカドに納豆や豆腐をのせたり、ツナ缶とあえたり、サラダやスープに入れても手軽に食べられます。
生のままはもちろん、加熱してもおいしく食べられるので、野菜炒めに食べやすくカットしたアボカドをプラスしたり、オムレツの具材にしてもよく合います。
次回では、アボカドを手軽においしく食べられるレシピをご紹介しています。
毎日の献立の一つに加えてみては?
火を通しても成分はそのまま!
アボカドに含まれているひざ痛に効果のある成分は、加熱しても失われません。基本は生で食べ、時々調理をするといった具合に食べるのがいいでしょう。
大豆と一緒に食べると、さらに効果がアップ
ひざ痛の改善や予防に効果を期待できるアボカドの成分"不鹼化物"は、大豆にも多く含まれます。
そのため、納豆やみそなどの大豆食品と一緒に食べれば効果倍増!
アボカドは追熟が必要です
アボカドは、未熟の青い状態で収穫され、追熟してから店頭に並びます。熟し切っていない場合は追熟させてから食べましょう。
紙袋に入れて常温で
早く熟させるには、紙袋に入れて常温に置きます。バナナやりんごを一緒に入れておくと、熟成を手伝ってくれます。
ラップをして冷蔵保存
切ってまだ硬かった場合は、切り口をぴったりと合わせて切る前と同じ状態にしてラップで包み、冷蔵庫の野菜室で保存を。
電子レンジでチン!
切ってまだ硬かったけれど、すぐに食べたいという場合は、半分に切って種を取ったアボカドをラップで包み、電子レンジで約1分(600W)加熱します。
撮影/南雲保夫 スタイリング/片野坂圭子