「最近、なんだか眠れない」と悩んでいませんか? 1万人を治療した睡眠専門医の白濱龍太郎さんは、眠りを妨げる原因の一つは「いびき」だと言います。その白濱さんが新提案する「いびき改善メソッド」が集約された著書『睡眠専門医が考案した いびきを自分で治す方法』(アスコム)から、いびきを治す方法をご紹介します。
日本人の5人に1人は睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群という言葉を聞いたことがある人は、多いと思います。
簡単に説明すると、眠っている間に一定時間(医学的には10秒以上)呼吸が止まったり止まりかけたりする状態が、起床するまでに何度も繰り返され、眠気などの症状をともなう病気です。
英名の「Sleep Apnea Syndrome」の頭文字をとって、「SAS(サス)」と呼ばれることもあります。
十分な気道が確保されなくなることによって起こるいびきは、睡眠時無呼吸症候群の兆候を示す重要なサインです。
正常ならいびきをかかない→気道が狭くなることによっていびきをかく→症状が悪化すると一時的に呼吸が止まってしまう→睡眠時無呼吸症候群になる。
そんなステップをイメージすると、理解しやすいでしょう。
眠っているときに起こることゆえ自分自身ではなかなか気付きにくいのが難点ですが、睡眠時無呼吸症候群は深刻な病気をまねいたり、日常生活に支障をきたしたりするなど、多くのリスクを抱えていますので、積極的に治療する必要があります。
現在、軽度の症状の人、自覚症状のない人などの予備軍も含め、日本人の5人に1人がこの病気を患っているといわれています。
そのうち、通院してしっかり治療を受けている人は推定40万人程度。
これに対し、治療が必要なのに受けていない重症患者は推定300万人。
危機的状況というとちょっと大げさに聞こえるかもしれませんが、我々のような専門家からすると、この現実は非常に深刻なものです。
睡眠時無呼吸症候群は、深睡眠(ノンレム睡眠)を妨げます。
睡眠には、大きく分けて「レム睡眠(浅い睡眠)」と「ノンレム睡眠(深い睡眠)」の2つがあります。
眠りにつくとまずノンレム睡眠が訪れ、続いてレム睡眠が訪れるという繰り返しが、約90~120分間隔で起こります。
ノンレム睡眠は、眠りの深さによってステージ1~3に分かれており、なかでも最も深い深睡眠の状態がステージ3です。
睡眠時無呼吸症候群の患者さんの検査をすると、このノンレム睡眠のステージ3というレベルに、一度も到達せずに朝を迎える人すらいるほどです。
要するに、眠ってはいるものの、脳がまったく休まっていない状態が続いているということ。
これでは、前日に蓄積された疲労を十分に回復することができません。
当然、翌日は注意力が散漫になり、日中に強い眠気に襲われることもあります。
判断力が鈍り、物事に対する反応が遅れることもあります。
集中力が続かず、仕事がはかどらず、時にミスを犯してしまう。
そんなケースが出てくるわけです。
バス、タクシー、トラックなどのプロドライバーはとくに注意が必要。
気の緩みが思わぬ大事故をまねいてしまう可能性さえあります。
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