実は「背中を伸ばす」だけでも筋トレに! 体が覚えてしまった「悪い姿勢の治し方」

体の痛みや見た目の老けにつながりやすい「猫背」。慈恵医大リハビリテーション科の安保雅博さんと中山恭秀さんは、「背中がまっすぐになると、若々しく元気に見える」と言います。そこで、そんな2人の著書『丸まった背中が2カ月で伸びる!』(すばる舎)から、丸くなる原因と寝たままできる簡単トレーニングの一部を連載形式でお届けします。

実は「背中を伸ばす」だけでも筋トレに! 体が覚えてしまった「悪い姿勢の治し方」 pixta_62469682_S (1).jpg

体は姿勢を記憶する

体は姿勢を記憶します。

背中を丸めていると、それで体が固定されてしまいます。

体のゆがみというのも、ゆがんだ姿勢で座ったりを長期間続けることで、体がその姿勢を「覚えてしまった」結果と言えます。

たとえば力もしっかりあって、背筋も伸ばせるような若者でも、だらしなく丸い背中を長く続けていると、次第に脊椎を固定している靭帯の張りが低下し、円背でいることが基本姿勢というように変わってしまいます。

若いうちに直せば、筋活動によりまっすぐに保つことはできますが、ゆるんだ靭帯などはなかなか張りを戻せなくなるため、次第に円背が強くなるといったことにつながります。

疲れるからと、背中を丸くして座っていると、ますます姿勢が悪くなってしまいます。

ピンポイントで背筋に効く運動を

ではどうしたらいいか。

それには運動、ちょっとした筋トレをすることです。

筋力は年をとっても上がることは証明されています。

少しの運動でも継続することで、確実に上がります。

「筋力がある」とはどういうことかというと、筋肉を増やすという意味ではありません。

筋肉の数は決まっていて、増えたり減ったりすることはないのです。

そうではなく、1本1本の筋繊維を「太らせる」ことです。

筋力がある人は、つまり筋繊維が「太い」のです。

逆に筋力がない人は、筋繊維が「やせ細っている」ということになります。

では、どうしたら筋肉を太らせることができるか。

ひとつしか方法はありません。

それは、筋肉を「収縮させる」こと。

筋肉に負荷をかけることです。

背筋が衰えるのは、言い換えれば普段あまり収縮させていないから。

前項でも述べたように、人間の体は前に向かって動くようにできているため、前側の筋肉はよく発達しますが、後ろ側の筋肉はあまり活発には使われません。

そこで、背筋力をアップするには、背筋をピンポイントに鍛えられる運動、筋トレをするのが効率的です。

私の現場での経験では、筋トレを続けたら2ヵ月もすれば確実に効果が出てきます。

これまで鍛えていなかった分、効果が出るのも早いのです。

1日10回動かせば、365日で3650回の収縮をしたことになります。

1日30回を朝昼晩行えば90回、3万回以上になります。

何もしてない方の0回と比べれば一目瞭然、もちろん筋活動はくり返すことで、より効果があります。

そして、今後の衰えも圧倒的に防いでくれます。

1日の中で背中をまっすぐにする時間を増やす

また、実は「意識して姿勢をまっすぐにする」ことこそ、最大の筋トレなのです。

背中をまっすぐにすることが、重力に逆らう=負荷のかかることなのですから、それだけで筋肉を使っていることになります。

背中を丸くしている時間が長ければ、背筋は使われず、ますます衰えます。

そうなると、さらに背中をまっすぐにするのがつらくなり......と、悪循環に陥ります。

反対に、背中をまっすぐにする時間を長くすることで、背筋は鍛えられ、まっすぐにすることがつらくなります。

とはいえ、1日中背中をまっすぐに保つというのも、大変なこと。

まずは背筋を少しずつ鍛え、同時に日常の姿勢も気をつけるようにしてみてください。

猫背対策に!まっすぐ伸ばすべき「丸まった背中」リストを見る

実は「背中を伸ばす」だけでも筋トレに! 体が覚えてしまった「悪い姿勢の治し方」 107-H1-marumattasenaka.jpg寝たままできるズボラ筋トレや効果アップのストレッチなど、全4章で慈恵医大リハ式メソッド大公開

 

安保雅博(あぼ・まさひろ)

リハビリテーション科医/博士(医学)。東京慈恵会医科大学附属病院副院長。リハビリテーション科診療部長。リハビリテーション治療のパイオニア。脳卒中後遺症が専門。重度麻痺に対する筋肉注射のボツリヌス療法は有名。これまで1万5000回以上の施行を行う。

 

中山恭秀(なかやま・やすひで)
理学療法士/博士(リハビリテーション科学)。東京慈恵会医科大学附属病院リハビリテーション科技師長。広島大学医学部客員教授。2013年から分院技師長を経て現職。4つある附属病院の統括所属長として、多くの理学療法士や作業療法士等を束ねる。

shoei.jpg

『何歳からでも 丸まった背中が2ヵ月で伸びる!』

(安保雅博・中山恭秀/すばる舎)

慈恵医大のリハビリテーション科式メソッドを大公開!必要なのは2ヵ月間。寝たまま&座ったままできる簡単筋トレで、みるみる背中が、姿勢がよみがえります。「なんだか背中が丸い」「姿勢が悪くなってきた」と感じたら、すぐにご一読を。

※この記事は『何歳からでも 丸まった背中が2ヵ月で伸びる!』(安保雅博・中山恭秀/すばる舎)からの抜粋です。
PAGE TOP