体の痛みや見た目の老けにつながりやすい「猫背」。慈恵医大リハビリテーション科の安保雅博さんと中山恭秀さんは、「背中がまっすぐになると、若々しく元気に見える」と言います。そこで、そんな2人の著書『丸まった背中が2カ月で伸びる!』(すばる舎)から、丸くなる原因と寝たままできる簡単トレーニングの一部を連載形式でお届けします。
基礎代謝、最大酸素摂取量が上がる
背中はまっすぐな状態が正常であり、健康であることとイコールでもあります。
まっすぐな背中なのは、肩の関節などの正常な関節可動域であることが多いですから、胸は広がりやすいということになります。
ぐるぐる肩を回すことができます。
要するに、肺活量が大きくなるということです。
大きく吸って、大きく吐くことができるわけです。
単純なことのように感じるかもしれませんが、大きく吸って吐けることで、肺循環を中心にした血液循環が良くなります。
簡単に、酸素を多くとり込めるのです。
基礎代謝も上がり、死亡率の指標でもある最大酸素摂取量も上がりやすくなります。
良い姿勢は長生きの秘訣と言ってもいいでしょう。
まっすぐな背中は肺活量が大きくなる
疲れにくくなる
立位、つまり立っている姿勢は背すじがピンと伸びて安定していれば、筋肉の活動はあまりいりません。
立っているだけで疲れるといったように、背すじが曲がればその分、筋肉で姿勢を保つために、始終がんばっていなければなりません。
どうしても疲れやすくなり、すぐ座りたくなってしまいます。
たとえば、疲れるために普段寝ている時間が増えがちな高齢の方であれば、どうしても不活動になりやすくなります。
本来、背すじが伸びていれば疲れないはずの立位も、背すじが曲がってムダに筋活動を要求されると、どうしても長い時間の活動ができなくなるのです。
寝ている姿勢が増えるのは非常に良くないことで、どうしても心臓の機能が低下しやすくなります。
背すじを伸ばすことは若さを保つために、とても重要なことです。
若々しさ、元気さの象徴
脊椎の椎体の連なりででき上がっている背骨が、生理的弯曲を保てていれば、効率よく体を回す、回旋という運動がきれいにできます。
体をひねって横を向いたりできます。
しかし、曲がってくる、つまり生理的弯曲が保てないような姿勢になると、椎体と椎体の間隔や角度などが整わなくなり、「回す」ことが非常に難しくなります。
ぜひ一度やってみてください。
変形していなくても、椅子に腰かけて背中を丸めた姿勢だと、体はうまく回せません。
お腹側はなんだか詰まった感じになり窮屈で、背中側は組織などが引っ張られてストレスを感じている状態になります。
健康上のメリットはもちろんのこと、まっすぐな背中は若々しさ、元気さの象徴です。
ぜひ本書でご紹介する運動や、ちょっとした日常の習慣で、颯爽とした姿勢をめざしましょう。
イラスト/中村加代子
寝たままできるズボラ筋トレや効果アップのストレッチなど、全4章で慈恵医大リハ式メソッド大公開