加齢による足骨格の崩れにより生じる角質トラブルの「魚の目・たこ」。痛みを引き起こすなど足のトラブルにもつながります。今回は日本下肢救済・足病学会評議員で2013年に東京・表参道に足の治療を専門にするクリニックを開院した桑原靖(くわはら・やすし)先生に「いぼ」と「魚の目・たこ」の違いや、原因などの基礎知識を伺いました。
足のアーチが崩れ、皮膚の一部に圧力がかかる
「魚の目・たこ」とは、足の角質の一部が厚くなった状態のこと。
特に指の付け根や親指の側面にできることが多いです。
なぜ一部の角質だけが厚くなるのかというと、加齢によって足のアーチ(弓状になっている足の甲の部分)が崩れることで、歩いたときの圧力が一部にだけ集中してしまうからです。
「外反母趾」や足指が曲がった「ハンマートウ」などの足骨格のトラブルを抱えている人もなりやすいです。
つまり、魚の目・たこは、皮膚の病気だと思われがちですが、本当は「骨格のトラブル」だといえます。
たこは、比較的大きな面で角質が厚くなるのが特徴です。
魚の目は角質が硬い突起状になって、皮膚の深部に食い込むため、痛みも強くなります。
魚の目・たことよく似た症状に「いぼ」がありますが、これは異なる病気です。
ヒトパピローマウイルス(HPV)が、皮膚の小さな傷に入り、感染症を引き起こすのが原因です。
特徴的な症状
・一部の皮膚の角質層が厚くなる
・魚の目は痛みを伴い、たこは痛みを伴わない場合もある
・魚の目・たこの角質を取り除いただけでは、再発を繰り返すことがほとんど
魚の目・たこ・いぼの違い
肌は表皮、真皮、皮下組織で構成され、表皮は角質、穎粒層、有斡層、基底層で構成されます。
古い細胞は新しい細胞に押し上げられ、最終的には角質になります。
魚の目・たこは角質が厚くなっただけのため削つても出血しませんが、いぼは血管を引き込み腫瘍性に増殖するため出血します。
魚の目
魚の目は歩行時にねじるような力が加わることで生じます。硬い芯が神経を圧迫し、痛みが生じます。
たこ
たこは、強い圧力が加わることで角質の一部が厚くなります。痛みを伴わないこともあります。
いぼ
ヒトパピローマウイルス(HPV)は銭湯などで感染することが多い。液体窒素による凍結治療や漢方薬で治します。