「最近、人の声が聞き取りづらくて・・・」その悩み、加齢によるものとあきらめていませんか? 実は、耳が遠くなるのは年を取った証拠ではないそうです。そこで、「難聴は治らないものではない」と言う聴力回復のエキスパート・今野清志さんの著書『耳は1分でよくなる!』(自由国民社)から、難聴の仕組みと薬も手術もいらない耳がよくなるトレーニング法を連載形式でお届けします。
あなたももしかしたら難聴かもしれない
もしあなたが、「視力はどれくらい?」
と聞かれたら、
「両方とも0・1以下」とか「両目で0・8だから、なんとか車の運転ができるくらい」など、ある程度、具体的に答えられるはずです。
ところが、
「耳はどれくらい聞こえている?」
と聞かれても、
「う~ん、生活には困らない」「普通に聞こえていると思う」など、かなり曖昧な答しかできないのではありませんか?
健康診断で、耳に片方ずつヘッドホンをあて、「ピーッ」という音が聞こえるか聞こえないかの検査をしたことがある人も多いでしょう。
この検査では、たいていの場合、高音と低音、4000Hzと1000Hzの音でチェックします。
しかし、ほんとうの聴力を知るためには、125Hz、250Hz、500Hz、1000Hz、2000Hz、4000Hz、そして8000Hzと細かく調べなければなりません。
こうした健康診断での聴力検査では、あなたが今、どのくらい聞こえているかを、詳しく測定していません。
一般的に、大きな問題があるかないかを、ざっと確認するためだけのものなのです。
また、人間が相手の話を聞くときは、耳が言葉をキャッチしているだけではなく、相手の表情や口の動きを読んだり、話の流れから推測したりもしています。
そこで、少しくらい聞こえが悪くても、気づかないことが多いのです。
このように、どのくらい聞こえるかについては、私たちはあまり注意を払っていません。
そのため近年、自分がどれだけ聞こえているか知らないまま、気づかぬうちに、どんどん耳が悪くなる人が増えているのです。
あなたも日常生活で、次のような経験はありませんか?
・ テレビのアナウンサーが話すことは理解できても、バラエティタレントのしゃべりがわからない。
・知っている内容なら大丈夫でも、聞いたことがない話だと聞き取れない。
・早口で話す人は、声が大きくてもわかりづらい。
・呼びかけられたのに、気づかずにいることが少なくない。
・静かな場所なら問題ないが、まわりが騒がしいと何度も聞き返してしまう。
・きちんと聞き取れずに、あいまいに「そうだね」と返事することがある。
耳が遠くなるだけが、難聴なのではありません。
こうしたことに、ひとつでも思い当たれば、あなたの聴力は衰え始めているといわざるを得ないでしょう。
聞こえないのではなく、聞こえづらいのが難聴
ここでひとつ、誤解を解いておきたいのが、「難聴」とは、音がほとんど聞こえなくなる病気ではなく、音が聞こえにくい状態を指すということです。
近視や遠視などで、ものが見づらくなると同じように、何らかの原因で聞こえが悪くなるのが難聴です。
ですから、難聴は、特別な病気でも何でもなく、誰にでもなる可能性があるものなのです。
日本では、身体障害者として認められた、聴覚障害者の数は統計がとられています。
しかし、「障害」として認定されていない、難聴の人の数は把握されていません。
どのくらいよく聞こえるかの基準は、デシベル(dB)という単位で表されます。
日本で聴力障害者として認定されるには、
・両耳が70dB以上の音でないと聞き取れない
・片耳が50dB以上、そしてもう片方が90dB以上でないと聞こえない
などの基準があります。
ところが、欧米などでは、平均聴力が40dBを超えると聴覚障害と見なされる国が多く、世界保健機関(WHO)でも、「41dBを超えたら、補聴器の装用を推奨」とされています。
日本の基準は、世界に比べてかなり高い数字なのです。
そのため、多少聞こえが悪くても、人の声が聞き取れなくなるほど悪化しない限り、難聴ではないと考える風潮が広まってしまったのかもしれません。
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