ガンになる前に・・・今から始められる「免疫力アップ」5つの方法

いつの時代も怖い病気の代表に挙げられる「がん」。たとえ自分や家族が患ってしまったとしても、心の準備と備えがあれば、少しは気が楽になるかもしれません。そこで、1000件を超えるがん手術に携わった専門医・佐藤典宏さんの著書『手術件数1000超 専門医が教える がんが治る人 治らない人』(あさ出版)から、がんに対抗するために知っておくべき「5つの力」について、連載形式でお届けします。

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ガンが治る人 免疫力を高める生活習慣を実践する/ガンが治らない人 免疫力を高める生活習慣を実践しない

日々の生活でも、免疫力を高めることができます。

規則正しい生活

まずは、早寝早起きを心がけましょう。

睡眠時間は7~8時間が理想的です(長すぎてもよくありません)。

大腸ガン患者さんを対象とした研究によると、睡眠時間が5時間未満であった人は、大腸ガンによる死亡率が54%も上昇していたといいます。

夜更かしや睡眠不足が続くと免疫のはたらきが低下し、体内時計が乱れると、ガンを抑える作用があるメラトニンというホルモンの分泌が低下します。

夜勤をする人に乳ガンが多いことがわかっていますが、これは夜起きていることで、メラトニンの分泌が低くなることが、原因の1つであると考えられています。

また、長時間(2時間以上)の昼寝は、ガン死亡のリスクを高めることが報告されており、昼寝の時間は30 分以内にとどめることも大切です。

体温を高めに保つ

体温を上げることで、免疫力も高めることができます。

逆に、体温が下がると免疫力が低下します。

ガンに対する治療法の1つに「全身温熱療法」があります。

体温を上げることによって免疫力が高まり、その結果、ガンに対する治療効果が発揮されると考えられているのです。

ですから、まずは、部屋の温度を高めに設定し、夏でもクーラーの効いた建物や部屋にいるときは、ジャケットやカーディガンなどを1枚多めに用意し、少し肌寒いときには羽織るようにしましょう。

汗をかいたらすぐにタオルでふき取り、体温が下がりすぎるのを防ぎましょう。

お風呂では、少し熱めのお湯にゆっくりつかりましょう。

あるいは、岩盤浴やサウナで体を温め、汗を流すのもいいでしょう。

ただし、しっかりと水分補給をしてください。

冷たい飲み物はできるだけさけ、常温や温かい飲み物をとりましょう。

バランスのとれた食事をする

体の免疫力を維持あるいは高めるためには、栄養バランスのとれた食事をとる必要があります。

特にタンパク質は、免疫細胞や免疫グロブリン(抗体)の主原料になるため、タンパク質が不足すると免疫力が低下します。

また、ミネラル、特に亜鉛が重要です。

食事からの亜鉛が足りなくなると、T細胞などの免疫細胞のはたらきが落ち、免疫力が下がることが明らかになっています。

腸の環境によって薬の効果は変わる

最近、腸内環境(腸内細菌叢)と免疫との関係がクローズアップされてきました。

腸内細菌は、善玉菌、悪玉菌、そして日和見菌に分類されますが、このバランスのことを腸内環境といいます。

この腸内環境は食べ物の消化・吸収だけでなく、免疫力やさまざまな病気に深く関係していることがわかっています。

さらに、腸内環境はガン患者さんの免疫にも重要な役割を果たしています。

たとえば、腸内環境の違いによって、免疫チェックポイント阻害剤による治療効果が大きく変わることが報告されています。

また、大腸ガン患者における研究では、腸内に特定の善玉菌が豊富にいる患者では、腫瘍内へのT細胞の浸潤(腫瘍のまわりや腫瘍内へ入り込んだリンパ球)が増え、生存期間が明らかに長くなっていました。

つまり、腸内環境が免疫力を左右し、ガン患者さんの回復を左右するということです。

腸内環境を整えるためには、乳酸菌やビフィズス菌など、善玉菌(プロバイオティクス)をとることです。

プロバイオティクスは、ヨーグルト、チーズ(ナチュラルチーズ)、味噌、納豆、ぬか漬け、キムチ、塩麹などの発酵食品に含まれています。

同時に、善玉菌を増やす作用のあるオリゴ糖や食物繊維(プレバイオティクス)をとると、より効果的です。

プロバイオティクス+プレバイオティクスによって、善玉菌中心の理想的な腸内環境をつくり、ガンを抑制するための免疫力を保ちましょう。

さらに、食べ物(あるいはその成分)のなかには、免疫力を高める作用が報告されているものがあります。

下に、代表的なものを挙げます。

これらの食材を日々のメニューに上手に取り入れて、免疫力を高めましょう。

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「笑い」を取り入れる

より簡単に免疫力を高める方法としては、「笑い」があります。

古くより、笑いによって病気が治癒することが、経験的に知られていました。

実際の研究でも、笑うことで心理的ストレスが減少し、自然免疫力が高まることが証明されています。

1991年、吉本興業の演芸場「なんばグランド花月」で、笑いが免疫に与える影響について実験が行われました。

開演前後に、ガン患者を含む19人から採血し、3時間の漫談・漫才・喜劇による笑いの効果を調べました。

その結果、測定可能であった18例中14例が、笑い体験後にNK細胞の活性値が上昇しました。

特に、開演前にNK細胞の活性値が低かった人は、全員が正常範囲まで上昇していました。

同時に、免疫力のバランスを示すT細胞のCD4/CD8比も笑いによって正常化していました。

2015年に韓国で実施された、31人のガン患者を対象としたランダム化比較試験でも、笑い療法で、不安・うつ、およびストレスが明らかに減少したと報告されています。

ガン患者を対象とした研究では、笑い治療で免疫力(NK細胞の機能)が高まったと報告されています。

国内でも、笑いがガンの治療に与える影響についての研究がすすんでいます。

2017年5月には、大阪国際がんセンターで、ガン患者のストレス軽減や免疫機能に、落語などの「笑い」が与える影響を調べる実証研究がスタートしました。

コメディー映画やドラマ、漫才、コント、動画サイトなど、なんでもいいので、面白いものを見て思いっきり笑いましょう。

5.自然(森林)のなかへ出かける

天気のいい日は自然のなかへ出かけましょう。

緑にふれるだけで免疫力が高まります。

研究によると、森林浴をすると、森林から放出されるフィトンチッドおよびリラックス効果により、NK細胞の数および活性が高まるといいます。

日本は世界でも有数の森林大国です。

国土の67%を森林が占め、先進国ではフィンランドに次いで2番目に森林率が高いといいます。

月1回の日帰り森林浴でも免疫力が高まるといいますので、ぜひ試してみてください。

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068-ganga-syoei.jpg心構えや情報収集のやり方などが全5章で解説。治療法ではなく、がんを治すために自分でやれることがまとめられています

 

佐藤典宏(さとう・のりひろ)

1968年、福岡県出身。産業医科大学第1外科講師、外来医長。九州大学医学部卒。日本外科学会、日本消化器外科学会専門医・指導医。がんの分子生物学を研究し、外科医として膵臓がんを中心に1000例以上の外科手術を経験。ブログ「がんをあきらめない人の情報ブログ」は月間10万PVを超える。

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『手術件数1000超 専門医が教える がんが治る人 治らない人』

(佐藤典宏/あさ出版)

がんが「治る人」には傾向がある? 多くのがん患者にかかわってきた専門医が見いだしたのは、回復に結び付くために必要となる「5つの力」。著者が携わった症例や最新の研究結果を交えながら、がん克服に必要となる能力を高める方法を解説。「治る人」になるために必読の1冊です。

※この記事は『手術件数1000超 専門医が教える がんが治る人 治らない人』(佐藤典宏/あさ出版)からの抜粋です。
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