「顔の右半分に痺れが。まさか脳梗塞?それとも...?」/高谷典秀先生「なんでも健康相談」

「病院に行くべきかどうか...」と悩むレベルの困った症状、いろいろありますよね。今回寄せられたのは、「顔の片側半分が痺れているけれど、手足には異常がない」という61歳女性のお悩み。医療法人社団同友会理事長、高谷典秀先生がお答えします。

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Q

顔の右半分が痺れていて心配

61歳の女性です。顔の痺れについて教えてください。

何日か前からなのですが、目の周りがピクピク痙攣するような症状がありました。目の疲れかと思い、そのまま様子を見ていたのですが、そのうち顔の右半分が痺れる症状が現れました。

まぶたや唇が動かしにくくなり、鏡を見ると顔の右側が垂れ下がっているような気がします。主人は脳梗塞かもしれないと心配するのですが、やはり脳の検査を受けたほうがよいのでしょうか。ちなみに両手、両足に痺れはなく、普通に動かせます。頭痛もありません。

A

顔面神経麻痺の可能性。ウイルス感染なら早期治療を

今回は顔の右半分が痺れて動かしにくいという症状で心配されている方からのご相談です。

お手紙に書かれている症状からすると、顔面神経麻痺かと思われます。

顔面神経というのは、顔の表情などを動かす筋肉を支配する神経ですが、その神経が何らかの理由で麻痺してしまうと、今回のご相談のように顔の半分が痺れて動かしにくくなります。

たとえば笑おうとしても口元を上にあげられなかったり、また目を閉じるのにも筋肉を使いますので、目を閉じようとしても完全に閉じられず、少し白目が開いた状態になったりします。

顔面神経麻痺が起きる原因はさまざまで、脳梗塞や脳腫瘍など、脳の病気によって引き起こされる顔面麻痺もあります。

ですがその場合は、ご本人がおっしゃるように、手足の麻痺も同時に起きることが多いため、今回の場合はその心配は低いといえます。あまり心配はいりませんが、気になる場合には念のため頭のMRI検査などでチェックすると良いでしょう。

今回のような顔面麻痺の場合、とくに注意をしなければならないのは、ウイルス感染が原因となっている場合です。

たとえば原因不明の顔面神経麻痺で「ベル麻痺」といわれる病気がありますが、その多くがヘルペスウイルスなどのウイルス感染によって引き起こされます。ほかにも「ラムゼイハント症候群」といって、いわゆる水疱瘡の原因となる帯状疱疹ウイルスが原因となっている場合もあります。

帯状疱疹ウイルスというものは、新しくウイルスに感染するというよりも、子供の頃に水疱瘡を発症した際に、神経節という部分にウイルスが入り込み、長期間潜んでいるものです。

それが、たとえばストレスなどにより免疫力が低下した際、ウイルスが再活性化して増殖し、炎症を起こします。通常は体の神経に沿って病状が進行し、帯状に疱疹が現れるのですが、ときに顔面神経の領域で再活性化し、その場合に顔面神経の麻痺とともに、耳に痛みを感じたり、水疱やかさぶたなどができたり、また一時的に難聴になったりという症状が現れます。

このようなウイルス感染によるものは自然治癒することも多いのですが、早期治療を行わないと、後遺症として麻痺の症状が残ってしまう場合もあります。

特にラムゼイハント症候群はベル麻痺に比べて自然治癒の可能性が低いので、付随する症状がある場合には、ぜひ早めに耳鼻科を受診して、抗ウイルス薬やステロイド剤などを使った治療をするようにしてください。(老友新聞)

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<教えてくれた人>
高谷典秀(たかや・のりひで)先生

医療法人社団同友会 理事長。順天堂大学循環器内科非常勤講師。日本人間ドック健診協会 理事。学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授。著書に『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』(株式会社法研)など。

この記事は『日本老友新聞』に掲載の情報です。

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