急にくる「下痢」や長く続く「便秘」に悩んでいる女性も少なくないはず。そこで、排便トラブルのスペシャリストである大腸・肛門機能の専門医による話題の書籍から「排便の正しい知識と対処術」をご紹介!目指すべき理想の便「するするバナナ」についてや、多くの人が誤解して陥りやすい「うんこトラップ(罠)」、またその予防・対処術としての「うんトレ」のエッセンスを、連載形式でお届けします。
※この記事は『うんトレ ― 誰にも言えないうんこのトラブル「スッキリ解消! 」ブック』(神山剛一・医療監修/方丈社)からの抜粋です。
「うーん」といきまないために
ヘルスケアの知識を全国に広めている一般社団法人グッドネイバーズカンパニーの理学療法士の児島満理奈さんによると、腹圧をかけるときに大切なのが、横隔膜、腹横筋、骨盤底筋、多裂筋の4つの筋肉だといいます。いい排便では、これらの筋肉を使い、じょうずに腹圧をコントロールしています。
トイレで長時間いきむ癖のある人や、息を止めて「うーん」といきむ癖のある人は、これがうまくできず、腹直筋などの大きな筋肉で無理に力んでしまうそうです。
たとえば、息を一気に吐こうとすると、腹筋や背筋などの大きな筋肉に力が入るのを自覚できるのではないでしょうか。細くゆっくり息を吐くと、体の中で静かな動きが感じられますが、おもに4つの筋肉が使われています。
無理な力のかけ方で強すぎる圧がかかり、血圧の急上昇をまねいたり、内臓に負担となる可能性があります。排便のたびとなると、ほぼ毎日負担がかかることになり、痔や子宮脱(子宮の一部または全部が膣から外に脱出する)につながることもあるといいます。
これらの筋肉は、インナーマッスル、体幹筋などと呼ばれる深い位置にある筋肉です。普段はあまり意識することはありませんが、体を中心部で4つの筋肉は袋状のユニットとなって、内臓を支えています。排便のときには、これらの4つの筋肉が中心となって、連携してはたらくことで腹圧をコントロールしています。
排便時の呼吸
腹圧を上手にかけるための呼吸をマスターしましょう。ポイントは、息を吐くときに大きい筋肉ではなく、腹横筋を使って内側から息を絞り出すようにすることです。とくに排便時に息を止めて力を込めてしまう癖がある人は、力み過ぎない力の入れ方を体で覚えていきます。
呼吸の方法はすべて同じですが、座ってうまくできなければ、まず床で、お腹全体で圧をかける感覚をつかみましょう。自分のいきみ方の癖もわかります。背中の筋に力が入りすぎない程度に背筋を伸ばすのがポイントです。
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