胃が痛い!でも病院は面倒...「市販の胃薬」との付き合い方

食後の胸やけやゲップ、胃もたれが多くなってきた・・・。そんな悩み、かかえていませんか? そんな「胃の不調」の原因や症状、予防や治療法について、戸田中央総合病院外科消化管部長の立花慎吾先生にお聞きしました。今回は「市販薬との付き合い方」についてです。

胃が痛い!でも病院は面倒...「市販の胃薬」との付き合い方 pixta_48239185_S.jpg前の記事:早期は無症状の場合も多い!「胃がん」の早期発見&治療方法/胃の不調(7)はこちら

 
病院に行く前にできること、知っておきたいこと

過度なストレス、いつもより多い量の飲食などで「胃が痛い」「胸やけがする」といったことは起こりがちです。原因が分かっていて市販薬で症状が軽減すれば、様子を見るのが一般的です。でも、強い痛み、これまで感じたことのない症状、原因に心当たりがない症状があるときには、医療機関を受診した方がよいでしょう。痛みの感じ方には個人差がありますが、狭心症など別の病気でもみぞおち辺りに痛みが生じることがあるからです。原因を知るためにも受診した方が無難です。

 

病院に行く時間がない人のために

ストレスなどで胃が痛むときには、胃酸の分泌を抑える成分などが配合された市販薬が役立ちます。それで症状が治ればよいのですが、薬が合っていないと症状がひどくなることもあります。何度も症状が繰り返される場合には病院に行く時間を作りましょう。適切な治療を受けないことが、胃食道逆流症や胃・十二指腸潰瘍などの病気を悪化させることもあります。

 

なんとなく病院が苦手な人のために

胃の不調を抱えている人の中には、病院そのものが苦手だという人もいますね。また、「胃がんといわれたら怖い」と受診を先延ばしにする人もいます。症状がひどくなって病気が進行すると、治療が大変なことは分かっていても病院に行きたくないという気持ちが受診の意欲をそぐことはあるでしょう。

病院を避けたいならば、まずはご自身の生活習慣を見直して健康管理を心がけましょう。胃や食道などの消化管は、常に食べ物や飲み物に触れています。偏った食事や飲酒によってダメージを受けやすいのです。また、過度なストレスで自律神経の働きが乱れてホルモン分泌が異常になると、やはり消化管に悪影響を及ぼします。規則正しい生活習慣を心がけると同時に、定期的な健診でご自身の状態を把握することが大切です。

それでも、胃の不調を感じたときに頼るのは市販薬といえます。いろいろなタイプがあるので、ご自身の症状や状態に合わせて選ぶとよいでしょう。市販薬を服用しても症状が治らない、繰り返されるときには、勇気を出して病院へ。早期発見・早期治療が病気克服のカギです。

 

市販薬と処方薬との違いとは

近年、病院で処方される薬の成分が市販薬として発売されるケースが増えています。代表的なのは、胃食道逆流症や胃・十二指腸潰瘍の治療薬H2ブロッカーです。ただし、一般用医薬品は医療機関の処方薬と比べて、薬にもよりますが成分含有量が少ないことがあります。また、使用方法や副作用の対処法など、医師のさじ加減が必要なことも。自己流で長く市販薬を使うのではなく、一時しのぎとしての活用を考えましょう。

 

■知っておきたい市販薬のタイプ別分類

・胃痛、胃もたれなどに「胃酸の分泌を抑えるタイプ」
胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬(PPI)やヒスタミン H2受容体拮抗薬(H2ブロッカ ー)、胃酸を中和する制酸薬が代表的な薬です。胃食道逆流症などで広く使用されています。

・胃もたれ、胸やけなどに「胃の粘膜を保護するタイプ」
胃の粘膜を保護する粘膜保護成分は、スクラルファートやグリチルリチン酸ジカリウムなどがあり、市販薬にも含まれます。制酸成分と併せて配合されている市販薬もあるので成分チェックを。

・胃もたれ、食欲不振などに「その他」(漢方薬など)
加齢のほか飲み過ぎや食べ過ぎで弱った胃の働きを整える健胃薬は、市販薬として広く流通しています。胃の働きを整える制酸成分を組み合わせた漢方薬もあります。薬剤師さんに相談して選びましょう。

 

取材・文/安達純子

 

 

<教えてくれた人>

立花慎吾(たちばな・しんご)先生

戸田中央総合病院外科消化管部長。東京医科大学病院消化器外科・小児外科派遣准教授。東京医科大学卒。米国留学、愛知県がんセンター中央病院などを経て2018年より現職。

この記事は『毎日が発見』2019年5月号に掲載の情報です。

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