「咳が止まらない夜、寝やすい姿勢ってあるの?」咳の名医に聞いた5つのQ&A

ここ数年「止まらない咳」を訴えて病院を訪れる人が増えていると言います。咳が2週間以上続く場合、さまざまな病気の可能性があるので注意が必要です。

今回は「咳が出る時にどんな薬を飲んだらいいのか」「お風呂に入ってもいいのか」などの「咳を長引かせないための素朴な5つの疑問」について、池袋大谷クリニック院長の大谷義夫先生にお聞きしてきました。

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Q.咳がひどい時にはすぐに咳止めを飲むべきですか?

A.咳は鼻や口から体内に入ってきた風邪のウイルスやほこりなどの異物を、気道から取り除こうとする体の防御反応なので、「すぐに咳止め薬を飲んで止める」ことはおすすめしません。

Q.咳が出る時、お風呂に入ってもいいですか?

A.体力的につらくなければ、入っても大丈夫です。

咳や痰を出しやすくするにはお風呂の湿気はよいのですが、入浴時の湯気、浴室と脱衣所の温度差が原因となって咳が出てしまうこともあるので注意して入りましょう。

湯船につかると水圧で咳が悪化することもあるので、長時間は入浴しないほうがいいでしょう。

咳の程度によって入浴時間を短くしたり、シャワーだけで済ませたり、調整してみてください。

Q.夜、咳が止まりません。寝やすい姿勢を教えてください。

A.長引く咳で苦しんでいる場合、夜明けや明け方に咳が出て眠れなくなることがあります。

咳がひどい時には、枕やマットレスを利用して上半身を起こすと(半座位)、横隔膜が下がり、呼吸面積が広がることによって呼吸が楽になります。

上半身の角度は30~45度がベストです。また、椅子に座ってテーブルに前傾の姿勢で寄りかかる「起座位」になると、心臓に戻る血液が少なくなって、肺への負担が軽減されます。テーブルには枕などを置くといいでしょう。

ほかに、体を締め付けないパジャマや清潔な寝具を使う、マスクでのどの乾燥を防ぐ、加湿器で適度な湿度を保つといった工夫も、寝やすくするコツです。

Q.のどあめやトローチは咳を止めるのに効果がありますか?

A.のどあめには2種類あり、1つは薬局で販売されている医薬品扱いのもの、もう1つはコンビニエンスストアやスーパーで販売されている普通ののどあめです。

医薬品扱いののどあめには薬効成分が含まれていますが、これで風邪のウイルスを退治することはできません。

トローチも2種類あり、医師が出す処方薬と、一般の薬局で買えるものがあります。

処方薬には抗菌作用や殺菌作用がありますが、風邪のウイルスは「菌(細菌)」ではないので、風邪を治すことはできません。一般の薬局で買えるものはさらに殺菌作用が弱いので、もちろん、症状を治すことはできません。

そういった意味では、のどあめやトローチは、ウイルスをやっつけて咳を止めるというより、唾液の分泌を促すことで気道にある線毛(せんもう)の動きを高め、ウイルスや細菌を体外に排出することを助けるもの、と考えたほうがいいでしょう。

少しでも効果を高めたいなら医薬品扱いのトローチがいいのですが、コンビニで販売されている普通ののどあめも有効なのです。

Q.うがいをする時は、うがい薬が必要?

A.咳の原因となる風邪を予防するには、うがいが有効ですが、うがい薬を使う必要はありません。

「イソジン」などヨード液でのうがいは、体にとって必要な正常な細菌も殺菌してしまうと推察されています。

ヨード液のうがい薬は、風邪をひいてしまった時に使用します。「風邪の予防には水、風邪をひいてのどが腫れたり痛くなったりした時はうがい薬」と覚えておきましょう。

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取材・文/岡田知子(BLOOM)

 

<教えてくれた人>

大谷義夫(おおたに・よしお)先生

「池袋大谷クリニック」院長。日本内科学会総合内科専門医・日本呼吸器学会専門医。群馬大学医学部を卒業後、九段坂病院内科医長、東京医科歯科大学呼吸器内科医局長、アメリカ・ミシガン大学留学などを経て、2009年に「池袋大谷クリニック」を開業。呼吸器内科のスペシャリストとしてテレビや雑誌への出演も多い。著書に『長引くセキはカゼではない』(KADOKAWA)、『止まらない咳を治す!』(扶桑社ムック) 、『長生きしたければのどを鍛えなさい』(SB新書) 。

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