16時間の空腹が決め手!細胞を生まれ変わらせる「オートファジー」とは

「食べるとすぐ眠くなる」「疲れやすくなった」。こうした症状、もしかしたら「食べすぎ」のせいかもしれません。そこで今回は、医学博士・青木厚先生による話題の著書より、「空腹」の力を活用した食事法や、そのメリットについてお届けします。

※この記事は『「空腹」こそ最強のクスリ』(青木 厚/アスコム)からの抜粋です。

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アメリカの研究で明らかになった、「空腹」の効果

食べすぎによる害から体を守り、健康や若さを維持する、シンプルな方法。

それは、

「ものを食べない時間(空腹の状態)を作ること」

です。


近年、アメリカの医学界では、空腹(断食)と健康に関する研究がさかんに進められ、数多くの論文が発表されています。

以前から、「カロリー摂取を控えることが、さまざまな病気を遠ざけ、長生きにつながる」ことはわかっていましたが、これらの論文には、断食をすることが体重や体脂肪の減少につながること、そして、

・糖尿病・悪性腫瘍[がん]
・心血管疾患[心筋梗塞や狭心症など]
・神経変性疾患[アルツハイマー型認知症やパーキンソン病など]

などの予防に効果的であることが述べられているのです。

睡眠時間8時間+8時間の空腹で、効果を最大限に享受できる!

では、具体的にはどのくらい、空腹の時間を作ればいいのか。

たどりついたのが「16時間以上、空腹の時間を作ると、最大の効果が得られる」という結論でした。「16時間は長い」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、睡眠時間とうまく組み合わせることで、無理なく実行していただけるはずです。

たとえば、「一日8時間眠っている」という方であれば、あと8時間、「週末はいつも、10~12時間くらい寝てしまう」という方であれば、あと4~6時間食べずに過ごせば、ものを食べずに16時間すごすことができます。

いかがでしょう。
それなら、なんとか実行できそうな気がしませんか?

もちろん、「いきなり16時間は難しい」「平日は難しい」という方は、まずはできる範囲で始めていただいてかまいませんし、週末だけチャレンジしてもかまいません。

 

最新研究でわかった「オートファジー」という奇跡

さて、私が「16時間」にこだわるのには、理由があります。

まず、最後にものを食べて10時間ほどたつと、肝臓に蓄えられた糖がなくなって脂肪が分解され、エネルギーとして使われるようになります。

そして、16時間たつと、今度は体の中で「オートファジー」が機能し始めるのです。

ここで、「オートファジー」というあまりなじみのない、でも非常に重要な言葉について、簡単にお話ししましょう。

私たちの体は、約60兆もの細胞でできており、細胞は主に、タンパク質で作られています。

日々の生活の中で、古くなったり壊れたりしたタンパク質の多くは体外に排出されますが、排出しきれなかったものは細胞内にたまっていき、細胞を衰えさせ、さまざまな体の不調や病気の原因となります。

一方で、私たちはふだん、食べたものから栄養を摂取し、必要なタンパク質を作っています。

ところが、なんらかの原因で栄養が入ってこなくなると、体は生存するために、なんとか「体内にあるもの」でタンパク質を作ろうとします。

そこで、古くなったり壊れたりした、細胞内のタンパク質を集め、分解し、それらをもとに、新しいタンパク質を作るのです。

なお、各細胞の中には、「ミトコンドリア」という小器官が、数多く(1個の細胞に数百から数千個)存在しています。

ミトコンドリアは酸素呼吸を行っており、食べものから取り出した栄養と、呼吸によって得た酸素を使って、「ATP」(アデノシン三リン酸)という、細胞の活動に必要なエネルギーを作り出します。

新しく元気なミトコンドリアが細胞内にたくさんあればあるほど、たくさんのエネルギーを得られ、人は若々しく、健康でいられるのですが、オートファジーによって、このミトコンドリアも新たに生まれ変わります。

つまり、オートファジーとは、古くなった細胞を、内側から新しく生まれ変わらせる仕組みであるといえます。

細胞が生まれ変われば、体にとって不要なものや老廃物が一掃され、細胞や組織、器官の機能が活性化し、病気になりにくく若々しい体になるのです。

さらにオートファジーには細胞内に侵入した病原菌を分解・浄化する機能もあり、健康であるために欠かすことのできない仕組みなのです。

 

空腹が、細胞の生まれ変わりのスイッチになる

ただ、オートファジーには、ある特徴があります。
食べものによって得られた栄養が十分にある状態では、オートファジーはあまり働かないのです。

なぜならオートファジーは、体や細胞が強いストレスを受けた際にも生き残れるよう、体内に組み込まれたシステムであり、細胞が飢餓状態になったときや低酸素状態になったときにこそ、働きが活発化するからです。

具体的には、最後にものを食べてから16時間ほど経過しなければ、オートファジーは活発化しません。

つまり、空腹の時間を作らない限り、オートファジーによって細胞を生まれ変わらせることはできないのです。

逆に、たとえ週に一度でも、睡眠時間に加えて何時間か「ものを食べない時間」を作れば、「内臓を休める」「脂肪を減らす」「血液の状態を改善する」といった効果に加え、オートファジーによる細胞の生まれ変わり効果を享受することができるのです。

なお、2016年には、東京工業大学の大隅良典栄誉教授が、オートファジーの研究でノーベル生理学・医学賞を受賞しています。

オートファジーは今、世界中の注目を集めているといえるでしょう。

 

次の記事「空腹と睡眠による究極の食事法「8時間+8時間」ルールとは」はこちら。

 

青木 厚(あおき・あつし)

医学博士。あおき内科 さいたま糖尿病クリニック院長。自治医科大学附属さいたま医療センター内分泌代謝科などを経て、2015年、青木内科・リハビリテーション科(2019年に現名称に)を開設。糖尿病、高血圧、高脂血症、生活習慣病が専門。糖尿病患者の治療に本書の食事術を取りいれ、インスリン離悦やクスリを使わない治療に成功するなど成果を挙げている。自身も40歳のときに舌がんを患うも完治。食事療法を実践してガンの再発を防いでいる。ライザップの医療監修ほか、「行列のできる法律相談所」(日本テレビ)などメディア出演多数。

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『「空腹」こそ最強のクスリ』

青木 厚/アスコム

最新医学のエビデンスに基づき、食事の方法を「何を食べるか」ではなく、「食べない時間(空腹の時間)を増やす」という簡単なルールだけで提唱。医学博士の著者が、自身が舌がんを患った経験から食事方法を見直し、炭水化物や甘いもの、お酒も我慢せず、ストレスなく健康になることを目指す、話題の一冊!

この記事は書籍『「空腹」こそ最強のクスリ』からの抜粋です

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