保有者の8割は無症状ながら、発症すると耐えられない激痛が襲うという「胆石」。今回はこの「突然の激痛リスク」を減らすために、胆石の基礎知識や、発見、治療方法などを、日本赤十字社医療センター消化器内科副部長の伊藤由紀子先生に伺いました。
胆石保有者のなかで、治療が必要なのは約2割
ある日突然、右の脇腹に鋭い針で突き刺されたような激しい痛みが起こり、吐き気や発熱などの症状が伴う「胆石(胆のう結石)」をご存じでしょうか。
胆のうの中にできた石(胆石)が胆汁の通り道を塞ぐことで激烈な症状に結びつくのです。国内の胆石保有者は推計1000万人以上。胆石が生じやすいのは、女性、40代以上、太り気味の人です。とはいえ、胆石を持っている誰もがすぐに症状に結びつくわけではありません。
「胆石保有者で症状が出るのは約2割というデータがあります。大多数の人は健康診断の超音波(エコー)検査で胆石が見つかっても、無症状で治療の必要はありません。治療は症状が出たときに行います」と伊藤先生は説明します。
胆石は、無症状ならば無治療でも基本的には問題はないそうです。一方、痛みや発熱の症状が出たときには、胆石が胆のうの出口や胆管を塞いで炎症が広がるために治療が必要になります。手術で胆のうを取り除くことで、胆石による症状を改善・予防するのです。
「症状がいったん治まっても、一度胆石発作を起こした人は再発する可能性が高いです・症状が出たときには治療が必要です」
【知っておきたい「胆石」の基礎知識】
■こんな人は要注意!胆石になりやすい人の特徴とは?
胆石は胆のう内の胆汁の成分が結晶化して生じます。なりやすいのは40代以上の女性、脂質異常症を抱える人などです。ただし、遺伝にも関係するため、若くて脂質異常症でなくても胆石になることがあります。
□ 女性
□ 40代以上である
□ 体形は小太りだ
□ 朝食を抜くなど、食生活が不規則
□ 自己流のダイエットをしている
□ 両親や兄弟に胆石と診断された人がいる
■胆石の痛みが現れる部位とは?
最も多いのはみぞおちの右脇辺り(右季肋部)。ここに激しい痛みを引き起こすのが特徴的な症状です。通常は30分から2時間ほどで治まります。38度以上の発熱や吐き気、排出されない胆汁による黄疸などの症状にも見舞われます。また、右肩や背中の右肩甲骨付近などに痛みが放散することもあります。
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取材・文/安達純子 イラスト/堀江篤史