あなたは健康診断の検査項目の数値、正しく読めていますか?
数値の変化にただ一喜一憂するのではなく、その意味を知ることが大切。数値の見方について確認しておきましょう。
※「判定基準値(正常の場合)」は女性の数値です。検査機関や方法により、異なる場合があります。
身体計測
【体格指数(BMI)】
判定基準値>>BMI18.5~24.9
体重と身長から肥満度を判定します。BMI25以上になると、高血圧症や糖尿病、高脂血症などのリスクがアップします。
疑われる病気など:肥満
【腹囲】
判定基準値>>腹囲90cm未満
へそ周りのサイズから内臓脂肪の蓄積を判定。腹囲が判定基準値以上で、さらに中性脂肪、血圧、血糖値のうち2項目以上が基準を超えるとメタボと判定されます 。
疑われる病気など:内臓脂肪型肥満
血圧
【血圧】
判定基準値>>上が130、下が85mmHg(ミリメートルエッチジー)未満。
血管の障害による病気へのリスクを調べます。高血圧が続くと脳卒中や心筋梗塞などのリスクが上昇。生活習慣を見直し降圧を心がけて。
疑われる病気など:脳卒中、心筋梗塞
脂質代謝
【HDLコレステロール】
判定基準値:40~119mg/dℓ
血液中の善玉コレステロールの量を見ます。値が低いと、動脈硬化が原因となる病気のリスクが上昇。メタボになりやすくなります。
疑われる病気など:動脈硬化、メタボリックシンドローム
【LDLコレステロール】
判定基準値>>60~119mg/dℓ
血液中の悪玉コレステロールの量を見ます。値が高いと動脈硬化のリスクが上昇。糖尿病や高血圧があると、さらにリスクが増します。
疑われる病気など:動脈硬化、甲状腺機能低下症
【中性脂肪(TG、トリグリセリド)】
判断基準値>>30~149mg/dℓ
血液中の中性脂肪の量を見ます。メタボになると値が上昇。中性脂肪が多すぎると、動脈硬化が原因の病気のリスクが上昇。
疑われる病気など:メタボリックシンドローム
血液の検査
【白血球数(WBC)】
判定基準値>>3200~8500/μℓ(マイクロリットル)
細菌やウイルスなどから体を守る血液中の白血球数で、感染症の有無を調べます。基準値より高いと病気が疑われますが、程度が軽く、一年の中で変化がなければ心配は低めです。
疑われる病気など:細菌感染症、腫瘍、ウイルス感染症、再生不良性貧血
【ヘマトクリット】
判定基準値>>35.5〜43.9%
血液全体の容積中で赤血球が占める割合(血液濃度)から、貧血の有無を見ます。
【ヘモグロビン】
判定基準値>>12.1〜14.6/dℓ
血液中で酸素を運ぶ役割を担っているヘモグロビンの量から、貧血状態を確認します。基準値より低い場合:貧血が疑われます。女性に多い鉄欠乏性貧血のほか、消化管出血などの慢性貧血、ビタミンB12・葉酸の不足、骨髄の異常などのリスクも。基準値より高い場合:赤血球が増えてしまうことで起こる多血症のリスクが高まります。大量発汗などによる脱水症状を起こしている可能性もあります。
疑われる病気など:貧血、多血症
腎・尿路系
【尿たんぱく】
判定基準値>>陰性(−)
尿の中にたんぱく質が含まれているかどうかを判定します。陽性の場合は、腎・尿路系の疾患の疑いが。ただし、激しい運動や疲労、発熱、起立性のたんぱく尿一時的に陽性になることも。
疑われる病気など:腎炎、ネフローゼ症候群、尿路感染症
【クレアチニン】
判定基準値>>0.70mg/dℓ以下
腎機能の状態を判定します。アミノ酸の一種であるクレアチンが分解されたあとの老廃物で、通常は腎臓でろ過され尿として排出。腎臓機能が低下すると値が上昇します。
疑われる病気など:腎臓機能低下
糖尿病
【空腹時血糖】
判定基準値>>100mg/dℓ未満
空腹時の血液中のブドウ糖の量から糖尿病の疑いがあるかを確認。血糖を一定に保つインスリンの働きが不十分になると血糖値が上昇し、糖尿病のリスクが高まります。
疑われる病気など:糖尿病
【HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)】
判定基準値>>5.6%未満
過去1〜2カ月の血糖値の平均を確認。ヘモグロビンとブドウ糖が結合したものがHbA1c。基準値より高い場合は血糖値と合わせての診断によって、糖尿病も疑われます。
疑われる病気など:糖尿病
肝機能
【AST(GOT)、ALT(GPT)】
判定基準値>>AST:30u/ℓ(ユニットバーリットル)以下。ALT:30u/ℓ以下
肝機能の状態を見ます。高値であるほど、採血した時点での肝臓のダメージが甚大なことを示します。そのほか、心筋梗塞や筋肉の疾患、溶血性の疾患などでも上昇することがあるので注意が必要です。
疑われる病気など:肝炎、肝硬変、脂肪肝、肝臓がん
【γ-GTP(ガンマ・グルタミルトランスペプチターゼ)】
判定基準値>>50u/ℓ以下
肝機能の異変が分かります。γ-GTPは特にアルコールに反応するため、アルコール性肝炎の診断の指標に。そのほか、薬剤による肝障害や肥満による脂肪肝、胆管閉塞などでも上昇することがあります。
疑われる病気など:アルコール性肝炎
髙谷典秀(たかや のりひで)さん
1971年、広島市生まれ。順天堂大学医学部卒業。医学博士。日本人間ドック健診協会理事、医療法人社団同友会理事長。