いつの間にか足にできている魚の目やタコ。症状がひどくなければ、「ヒールを履いているから仕方ない」「そのうちに治るだろう」と、そのまま放置していませんか?
実は、魚の目やタコは健康な足にはできません。「あって当たり前」ではなく、「なくて当たり前」の症状です。小さな症状ではありますが、足のバランスが悪くなっていることを知らせる初期のサインなので、きちんと受け止めて治療することが必要です。
魚の目やタコ、また、それらと間違えやすいイボについて、それぞれの特徴や原因、治療法などを、足専門クリニック「足のクリニック 表参道」院長・桑原靖先生にお聞きしました。
前の記事「イボの疑いがあるときはまず皮膚科へ。治療法と感染の予防法は?/魚の目・タコ・イボ(14)」はこちら。
むやみにさわるとウイルスが飛んで伝染することも
ウイルスの感染によって発症する足のイボ。魚の目やタコと見た目は似ていますが、実は全く違うものなので、できたときの対処法にも注意が必要です。
Q.市販の塗り薬や貼り薬は使ってもいい?
A.よく知られている「イボコロリ」などの市販薬は、皮膚を軟化させるサリチル酸を使用した医薬品で、軽症であればこれで治ることも多いです。塗って使うものと、貼って使うテープ状のものがあり、どちらも厚く硬くなった皮膚を柔らかくする作用を持ちます。患部が広がってきた場合や、3カ月ほど使っても治らない場合は、皮膚科を受診したほうがいいでしょう。
Q.自分で削ったり、取ったりしてもいい?
A.イボは、ウイルスによる感染症の一種。タコや魚の目のように外から加わる力に反応して角質が厚く硬くなるものではないので、削っても全く意味がありません。そればかりか、さわったりすることでウイルスが他の場所に伝染してしまうことがあります。自分だけでなく、家族や周囲の人にうつしてしまう場合もあるので、むやみに削ったりさわったりしないようにすることが大切です。さわった場合は、手をよく洗ってウイルスが伝染することを防ぎます。
足専用のやすりなどで削った場合、もし赤い出血点が見えてきたら、それは魚の目やタコではなく、イボだと考えられます。セルフケアはすぐにやめて、皮膚科を受診しましょう。
Q.魚の目やタコ用の保護パッドなどで保護したほうがいい?
A.イボは魚の目やタコと違って体重や靴の圧迫などによって発症するものではなく、痛みがあるわけでもないので、保護パットなどを使う意味はありません。ただし、イボは体重や外圧がかかると完治も遅くなります。魚の目やタコと合併している場合、足専門の外来では、患部にかかる力を分散させるために医療用のインソールを使って治療することもあります。
取材・文/岡田知子(BLOOM)