卵を食べるのは朝・昼・夜のどれが正解? 時間栄養学の大切な話

時代を問わず、優秀な栄養食として人々から支持されている卵。低価格で手に入り、調理しやすく、何よりおいしい。まさに私たちの健康生活に欠かせない強い味方です。
この卵を、栄養面でより効果的に食べる方法があるのはご存知ですか? 今回ご紹介するのは、食事と時間の大切な関係"時間栄養学"のお話です。


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卵は朝? 夜? 食べる時間で健康効果が変わる!

突然ですが、あなたは卵を朝・昼・晩のいつ食べていますか? キユーピー株式会社が2018年に行なった卵に関する意識調査(20~69歳の男女 計2,060人対象)によると、4割以上の人が「朝食」と答えました。実は、卵を朝に食べるのは、栄養学上でもよいことがわかっています。

「朝食はしっかり食べよう」「夕食は控えめにするのがよい」というのは、聞いたことがあるでしょう。これは、私たちの体内時計を考慮した「時間栄養学」にも関連しています。

時間栄養学は、食べるものとその量を気にするだけでなく、"食べる時間帯"についても考慮する比較的新しい栄養学です。実は、食物の栄養は食べる時間帯や順番、食事のスピードなどによって体に与える効果が変わります。時間栄養学は、この考え方を踏まえているのです。

時間栄養学研究の第一人者である早稲田大学先進理工学部教授の柴田重信氏によると、朝食を大切にするのは時間栄養学的にも証明されているとのこと。

人間の体内時計は1日24.5時間のリズムですが、実際の1日は24時間なので、合わせるために調節が必要です。体内時計は、脳にある「主時計」と、臓器などにある「副時計」に分かれており、主時計は朝の光によって、副時計は朝食によって動き出すことが、近年の研究でわかってきました。そのため、健康的に過ごすには朝から活動するのが望ましく、朝食が大切であると、柴田氏は説いています。

また、時間帯によって栄養素の代謝が変化し、体内時計を動かす食材は朝に、動かさない食材は夜にとるのがよいと解明されてきました。

朝にとるのがよい栄養素は、炭水化物とたんぱく質。炭水化物は朝が最も消費されやすく、たんぱく質も朝にとると筋肉を大きくして基礎代謝を上げます。

柴田氏は、朝食に卵を食べることを推奨しています。卵には、たんぱく質と脂質を中心に、リン・鉄分・亜鉛などミネラル、ビタミン各種が含まれています。特に、たんぱく質のアミノ酸のバランスがよく、人間の体内でつくることができない必須アミノ酸もすべて含まれています。よって、ご飯やパンなどと一緒に卵を食べると、体をしっかりつくりつつ、一日元気に活動できるエネルギーも確保できるのです。

 

食べる時間を意識するともっと健康になれる

朝食が大切なもうひとつの理由は、食物の栄養素の吸収率です。実は、栄養素が吸収されやすい時間帯は、朝から昼ごろまでと言われています。ですから、起床後はできるだけ1時間以内に食事をすると、栄養がしっかり吸収され、体内時計もリセットしやすくなって活動的に過ごせるのです。

ちなみに、夜に食べてもよいものは、前述のとおり"体内時計"を動かさないもの。具体的には、食物繊維やカルシウムなどです。特に、カルシウムは夜に吸収率が高くなるので、骨粗しょう症対策などで牛乳を飲むなら夜がよいでしょう(ただし、夜は脂肪が蓄積されやすいので、脱脂乳などを選ぶと安心)。

さらに、女子栄養大学副学長の香川靖雄氏によれば、朝食・昼食・夕食を12時間以内にとると、よりベストとのこと。すべての食事を12時間以内で収めると、正常な生体リズムで過ごせます。夕食は寝る2~3時間前には済ませ、しっかりと睡眠をとり、翌朝きちんと朝食を食べましょう。

卵をはじめ、あらゆる食物の栄養素は、食べる時間帯で効果が大きく変わります。ぜひ、その栄養素を効率よくとって、日々を健やかに過ごしましょう!

 

文/白神雅子

 

 

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