最近増えているのが、必要なカロリーや栄養素が不足する「低栄養」といわれる状態です。この状態が続くと筋肉や骨の量が減ってしまう恐れがあります。筋肉や骨の維持に必要な栄養と、栄養たっぷりのレシピを管理栄養士で料理研究家の牧野直子さんに教えてもらいました。
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たんぱく質は元気のもと。しっかりとりましょう
「低栄養」を防ぐために何が必要なのでしょうか? 「大切なのは、たんぱく質の摂取です」と、牧野さん。1日に必要なたんぱく質量は体重1㎏あたり約1g。例えば体重50㎏の人なら40~50gのたんぱく質量が必要です。食材の量で考えると1日に肉約80g+魚約80g+卵1~2個+納豆1パック程度が目安。
さらに、筋肉をつけるためには適度な運動も欠かさず行いましょう。
あなたのたんぱく質、足りていますか? 栄養チェック
□ この3カ月で体重が5%(50㎏の人では2.5㎏)以上減少した。
□ 食欲がない。
□ 肉類を食べるのは、平均すると1日1回以下。
□ 魚介類を食べるのは、平均すると1日1回以下。
□ 牛乳・乳製品を摂るのは、週に3日以下である。
□ 大豆・大豆製品を食べるのは、週に3日以下である。
□ 主食を食べない、または減らしている。
□ 1日の食事が2回以下になることがよくある。
□ 同性の同年代と比べて、歩く速度が遅い。
チェックが多いほど筋肉のもととなるたんぱく質や、体が必要とするカロリーが不足している低栄養の状態。筋肉量を減らさないためにも、特にさば、豚ロース肉、鶏むね肉など、高カロリーで良質なたんぱく質を摂りましょう。
たんぱく質とビタミンB6、Dが豊富。和風味でご飯によく合う
「牛肉のエリンギ巻きソテー」
1人分301kcal 塩分1.2g たんぱく質14.7g
材料(2人分)
牛しゃぶしゃぶ用肉...150g
塩...少々
小麦粉...適宜
エリンギ...2本
A しょうゆ、みりん、酒...各大さじ1/2
サラダ油...大さじ1/2
青じそ...6枚
作り方
1. 牛肉を広げて塩、小麦粉をふり、縦に裂いたエリンギを芯にして巻く。
2. フライパンに油を熱し、1の巻き終わりを下にして焼き始め、全面焼きつけて、Aを回し入れ、絡める。
3. 器にしそを敷き、2を盛り付ける。
鶏むね肉は低脂肪で高たんぱくの優秀食材
「鶏むね肉とキャベツの回鍋肉(ホイコーロー)風」
1人分283kcal 塩分2.6g たんぱく質23.8g
材料
鶏むね肉...200g
塩...少々
片栗粉...適宜
キャベツ...1/8個
ピーマン...2個
しょうが...1/2かけ
豆板醤...小さじ1/2
A みそ、酒...各大さじ1
しょうゆ...小さじ1
砂糖...小さじ1/2
ごま油...大さじ1
作り方
1. 鶏肉はそぎ切りにしてめん棒でたたき、薄くのばす。塩をふり、片栗粉をまぶす。
2. キャベツはざく切りに、ピーマンは乱切りに、しょうがはせん切りにする。
3. フライパンに半量のごま油を熱し、1の両面を焼いて取り出す。
4. 残りのごま油、豆板醤、しょうがを加えて炒め、キャベツ、ピーマンを加えて炒め、油がまわったら水大さじ2(分量外)を加えて、水けをとばしながら炒める。
5. 鶏肉を戻し入れ、Aを加えて絡める。
卵とチーズでたんぱく質とカルシウムも十分
「スパニッシュチーズオムレツ」
1人分326kcal 塩分1.2g たんぱく質15.9g
材料
ブロッコリー...1/4個
パプリカ(赤)...1/2個
卵...3個
ピザ用チーズ...40g
塩、こしょう...各少々
オリーブ油...大さじ2
作り方
1. ブロッコリーは小房に分ける。パプリカは角切りにする。
2. ボウルに卵を割り入れてほぐし、チーズ、塩、こしょうを加えて混ぜる。
3. フライパンにオリーブ油を熱し、1を炒め、しんなりしたら2を流し入れる。大きくかき混ぜて半熟状にし、ふたをして弱火で5~6分焼いて、ひっくり返し、1~2分焼く。
※お好みでトマトケチャップを添えても。
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牧野直子(まきの・なおこ)さん
管理栄養士・料理研究家。雑誌、テレビの他、料理教室、講演会等で幅広く活動。生活習慣病改善の食生活・栄養指導に携わるとともに、体に良く、おいしい料理の提案も行う。
取材・文/細川潤子 撮影/原 務