あなたは自分の平熱を知っていますか? 健康的な人の平熱は36.5~37.1度といわれ、日本人の平均平熱は36.9±0.3度(※)という報告もあります。ですが実はいま、平熱が36度未満という"低体温"の人が増えています。体温が低くなると免疫力が下がり、さまざまな病気を発症しやすくなります。そこで、救急医療のスペシャリストで血管の専門医である杉岡充爾先生に、体温を上げて免疫力を上げるコツを伺いました。
※出典:田坂ら:日新医学44:633,1957
「体温が1度上がると、血液の流れが良くなり、免疫力が30~40%高まります。血液は、全身の細胞に必要な栄養と酸素を送り届け、不要となった老廃物を持ち帰る働きをしています。ですが、体温が下がると血流が悪くなり、ウイルスや細菌に負けて病気を起こしやすくなってしまいます。ですから、まずは自分の平熱を知り、体温が低い場合は、血流を良くして体温を上げることが、免疫力のアップにつながります」(杉岡先生)。
●平熱の測り方(脇の下で検温の場合)
(1)体温計の先を、斜め下から脇下の最もへこんだところに当てます。
(2)体温計が上半身に対し約30度の角度になるようにして脇をしっかり閉じます。手のひらを上向きにすると、脇が締まります。さらに、体温計を挟んだ方のひじをもう一方の手で軽く押さえます。
(3)水銀体温計など実測式の体温計は10分以上、予測式なら電子音が鳴るまでじっとしていましょう。
●体温が低いとリスクがこんなに!
□風邪をひきやすくなる
□疲れやすくなる
□基礎代謝が低下して、太りやすくなる
□がんのリスクが上がる
□肺、心臓、肝臓などの内臓機能が低下する
□花粉症やアレルギーを発症しやすくなる
体温を上げるためには、筋力強化、血管の健康が基本
では、体温を上げるためには、何をしたらよいのでしょう?
「体温が低い原因の一つは筋肉量の低下です。筋肉が少なくなると、体温は下がり、基礎代謝も低下します。基礎代謝が落ちれば、カロリーは消費されにくくなり、内臓脂肪が増える原因に。ですから、スクワットのような筋肉トレーニングや、ストレッチなどを習慣にして筋肉量の減少を防ぎましょう」。
「運動不足は、血管の老化を早めます。定期的に運動をしていない人の血管は脆弱(ぜいじゃく)化し、詰まったり破れやすくなったりします。運動で血管に刺激を加えることで、血液の流れを良くして健康な血管を保ってください。また、体を温めることも免疫力の活性化に役立ちます入浴時間を上手に利用しましょう」(杉岡先生)。
体温を上げると、基礎代謝が上がり太りにくくなったり、新陳代謝が活発になったりすることで、細胞レベルから若々しく生まれ変わります。また、血行が良くなることで血管が健康になり、全身が十分な酸素や栄養素で満たされ、内臓機能も向上。当然、免疫力も向上し、病気になりにくい体が手に入ります。これから紹介する実践法で、いまより1度、体温ア
ップを目指しましょう。
●体温調節には血流の働きが重要!
血管の元気度をチェック
□パンやパスタが大好き
□食事時間が短い
□カロリーが高いから肉をあまり食べない
□以前と比べ、明らかに体重が増加している
□油を口にしないように心がけている
□お風呂はシャワーで済ませる
□便秘がちである。または下痢が多い
□体が硬い
□運動は相当量行っている
□責任感が強い方だ
□自分は病気にならないと思っている
[0~3個]
血管は元気です。健康的な生活を維持しましょう。
[4~5個]
血管の老化が始まっているかも。
[6~8個]
血管は老化しています。血管を若返らせる対策を!
[9個以上]
血管の老化が進んでいます。次の記事で紹介するストレッチをさっそく実践してみましょう!
次の記事「体が硬いと血管も硬い。実践!病気知らずの体をつくる「血管ほぐしストレッチ」(2)」はこちら。
取材・文/笑(寳田真由美)