朝日を浴びる、逆の手で歯磨き、散歩。朝の3習慣であなたの脳を覚醒させろ!/脳ストレッチ

気分が浮かない、やる気がでない、自信が持てない......こんな自分を変えたい!と思っているのに変えられないあなた。もし「目を動かすだけ」「手を動かすだけ」であなたの脳が「できる脳」へと覚醒することができたら嬉しいと思いませんか?

自分で「イヤだ」と思い込んでいるあなたの性格は、「脳を動かすこと」で変えられるかもしれません。脳科学の第一人者が教える、ラクに自分を好きになれる、そして今からできる簡単な脳覚醒法を伝授します!

※この記事は『イヤな自分を1日で変える脳ストレッチ』(加藤 俊徳/KADOKAWA)からの抜粋です。

朝日を浴びる、逆の手で歯磨き、散歩。朝の3習慣であなたの脳を覚醒させろ!/脳ストレッチ pixta_38118013_S.jpg前の記事「質の良い「オン・オフ」の習慣が脳を覚醒! 悩みから解放してくれる/イヤな自分を変える脳ストレッチ(3)」はこちら。

 

朝起きたら、散歩をしよう

覚醒を上げるために最適なのは、早起きをして仕事に出かける前に散歩に出かけてみることです。

私の場合は、毎朝最低でも1.5キロメートルは歩くようにしています。朝はどうしても時間が取れないという人は、出勤する際に駅もしくは仕事場まで歩くようにしてください。駅まで10分歩くだけでも、脳は確実に覚醒されていきます。毎日の通勤が面倒だと感じている人は多いと思いますが、脳のことを考えると悪いことばかりではないのです。

歩くことは、色々な情報を仕入れることでもあります。少しずつ前に進むにつれて景色が変わり、見えてくるものが変わります。そのたびに、脳は刺激を受けながら、情報を整理して記憶していくのです。

朝の時間帯だけでなく、私は昼も夜もできるだけ歩くようにしています。これまでは毎日5000歩(約2.5キロメートル。1歩=50センチメートル)を目安にしていましたが、最近、7000歩をこなすようになったら、生活のリズムがそれまで以上によくなりました。アメリカで研究していたころ、どうしてアメリカ人は忙しいのにわざわざ時間を割いてまでジョギングをしているのだろうと不思議に思っていましたが、今ではその理由がよくわかります。ロサンゼルス在住の友人は、朝5時に起きて、屋外プールで2~3キロ泳いでから大学に出勤しています。

本や新聞を読んで新しい知識を仕入れるのと同様に、体を動かすことは脳にとって新しい情報を仕入れることを意味します。運動をしなければ、刺激が乏しくなり、脳の働きはどんどん鈍くなっていくでしょう。これを避けるには、体を積極的に動かすしかありません。

目安として、健康な人の場合、1日に最低6000歩、できれば1万歩を目指して1週間歩き続けると、次の週は体が生き生きしてくることに気が付くはずです。

反対に、1日に2000歩から4000歩しか歩かない人は、脳への刺激という意味では少な過ぎますし、このままの状態だと脳の劣化が始まると考えてください。

私の経験では、歩いている日ほど疲れが少なく、歩数が少ない日ほど体の疲れがひどくなる傾向があります。仕事が立て込んで歩くことができず、1日中オフィスにいた日などは、体が重いと感じるのです。

散歩をして運動系脳番地を刺激することで、オフィスワークで使い過ぎた脳番地を休ませることができるのです。

 

出勤前に脳を覚醒する方法

もう1つ、朝から簡単にできる脳ストレッチを紹介します。

出勤前、歯を磨く際に、脳を覚醒させる方法です。

朝日を浴びる、逆の手で歯磨き、散歩。朝の3習慣であなたの脳を覚醒させろ!/脳ストレッチ 脳ストレッチp57-001.jpgやり方は実に簡単です。利き手と逆の手で歯を磨いてみるのです。最初は慣れないのでうまくできませんが、そのうちにできるようになっていきます。脳を刺激して覚醒させるには、普段と違うことや、やりにくいことを行うのが効果的です。

これとは別に、片足立ちをするのもお勧めします。
こちらも最初はぐらつくかもしれませんが、慣れてくると上手に片足で立てるようになるはずです。

30秒ほど立てるようになったら、今度は目を閉じてみてください。それまでとは打って変わり、足元がぐらつくことになるかもしれません。こうした変化を加えることで、脳に適度な刺激を与えることができます。

しばらくしたら、目を開けて、視線を周囲に巡らせてください。人の重心は、周囲の状況を把握することで安定していくので、ぐらつきも収まってくるはずです。

片足立ちをしていて倒れるときは、絶対に前後に倒れることはありません。バランスが悪くなると、人の体は必ず横に倒れます。ということは、横に倒れないようにすれば、長時間、片足立ちをすることが可能になるということです。そこで、自分の左右に視線を移すようにしてください。こうすると、左右のバランスがよくなります。

人は、とかく前方にだけ意識を向けがちです。事実、前方に動くのは得意ですが、左右に動こうと思うと、モタモタしてしまいます。そこで、普段とは違い、視線を左右に動かすことで、視覚系脳番地(目で見たことを脳に集積させる働きをする脳のエリア。主に後頭葉に位置し、言語系は左脳、非言語系は右脳がつかさどる。)を刺激してみるのです。

何かに悩んでいる人の視線を見ていて気が付くのは、視線を前方にしか向けていないということです。視野が狭まり、眼球も真正面しか見なくなるのです。これでは脳の動きは固まる一方で、悩みという深みからは抜け出せません。悩みを解消するためにも、左右に視線を動かすことはプラスに働きます。

朝の時間、数分でいいので、片足立ちをしてみてください。それをしながら、視線を左右に動かす癖を付けるといいでしょう。

その後、家を出てからは、視線を左右だけでなく、上下にも振り向けてみます。そうすることで、目から視覚系脳番地を通じて多くの情報が入り、覚醒がさらに高まり、体の動きも軽快になるでしょう。

 

朝の満員電車の中で問題を解決する!

私は一時期、朝の通勤電車の中で問題を解決することを日課にしていた時期があります。朝の通勤電車は、インスピレーションが高まる最も重要な時間だったのです。

まず、家を出て、駅まで歩いて覚醒を高めていきます。このときに、前日、解決することのできなかった問題を頭の中にリストアップするのです。電車の中で見たい書類などがあれば、家を出る前にカバンから取り出しやすいようにしておきます。

電車に乗ってからは、1つの問題にしぼって、どうやって対処したらいいかを考えます。
電車の中にいると、外の景色や中吊り広告など、様々な情報が目に飛び込んでくると思います。これらを見ながらさらに脳を覚醒させ、問題解決力を研ぎ澄ましていくのです。

朝、家を出て覚醒を高め、電車の中で問題について考えていけば、問題の解決策やアプローチの仕方などが必ず頭に浮かぶはずです。そのアイデアを温存し、会社に着いたら実行すればいいのです。

よく「ひらめいた!」と言ったりしますが、これは、アイデアが空から降ってきたわけではなく、そこに至るまでに頭の中でグルグルと色々と考えてきたために起こる現象なのです。朝の時間はこの"ひらめき"を得るのに最適な時間帯と捉えてみるのです。

誰もが朝の満員電車を不快なものと感じていることでしょう。すし詰め状態で何十分も揺られているうちに、ストレスもたまる一方です。

この状況から逃れるには、発想の転換を図るしかありません。混雑からは避けられませんが、誰にも邪魔されずに考えることのできる貴重な時間であると理解してしまうのです。事実、会社の中とは違い、仕事の電話もかかってきませんし、上司や部下から呼び止められることもないので、「自分だけの時間」というのもあながち間違った考えではありません。

頭の中で色々な考えを巡らせ、そのうちにアイデアが浮かんでくると、早くそれを実行してみたいと思うようになるはずです。そんなことを考えているうちに、あっという間に目的地に着いてしまうことでしょう。ここまでの状態に持っていければ、出社してからの仕事を始めるスピードが画期的に速くなるのは間違いありません。

改めて感じますが、脳を刺激しつつ、色々なことを考えていく作業は、実に素晴らしいものなのです。

スマホであれば、毎日充電しなくてはなりませんが、脳は生きている限り、いつでもどこでもスイッチをオンにすることができます。体の一部ですから、どこかに置き忘れるということも絶対にありません。こんな優れた機能を持っている脳を、使わずに放置しておくのはいかにももったいない話です。

脳をフル回転させて考えていると、自分の探している答えが次第に見えてくるようになるものです。こういう状態のときは、貴重な情報がどんどん引き寄せられるように頭の中に入ってきて、それまで考えていたことに結び付いていきます。実に不思議なことですが、脳が力を発揮しているときには、こういうことが自然に起きるのです。ですから、脳が活発に働き始めたと感じたときは、私は意識的に刺激(主に情報)を与えるようにし、フル回転が起きるように仕向けていきます。

まずは手始めに、朝、家を出る瞬間を1つのスイッチとしてみてください。そこから脳を覚醒させ、力を発揮させるように心がけてみましょう。

 

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加藤 俊徳(かとう としのり)

新潟県生まれ。医学博士。加藤プラチナクリニック院長。昭和大学客員教授、株式会社「脳の学校」代表。14歳のときに「脳を鍛える方法」を知るために医学部への進学を決意する。

1991年、脳活動計測「fNIRS法」を発見。現在、世界700カ所以上で脳研究に使用され、新東名高速走行中の脳活動計測にも成功。1995年から2001年まで米国ミネソタ大学放射線科MRI研究センターでアルツハイマー病や脳画像の研究に従事。帰国後、慶應義塾大学、東京大学などで、脳の研究に従事。胎児から超高齢者まで1万人以上のMRI脳画像とともにその人の生き方を分析。2006年、株式会社「脳の学校」を創業。2013年、加藤プラチナクリニックを開設。ビジネス脳力診断、発達障害や認知症などの予防脳医療を実践。著書に『イヤな自分を1日で変える脳ストレッチ』(KADOKAWA)などがある。


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『イヤな自分を1日で変える脳ストレッチ』

(加藤 俊徳/KADOKAWA)

あなたが「ニガテ」と感じていることは、本当に「ニガテ」なのでしょうか?思い通りにならずイライラしたり、自信を失くしたり、他人をうまくコミュニケーションが取れなかったり……そんな悩みの原因はあなたの「脳の使い方」かもしれません。自らの「暗黒時代」を引き合いにしつつ、脳を覚醒し簡単に悩みを軽減する方法を、脳科学者である著者が惜しげもなく伝授!「イヤな自分」が今日から変わる!悩める現代人のための脳ストレッチ教本です。

この記事は『イヤな自分を1日で変える脳ストレッチ』からの抜粋です
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