近年、高齢者に多く見られるようになってきた低栄養・栄養不足。厚生労働省の調査によると、65歳以上で16.4%、80歳以上では約2割が低栄養傾向にあるそうです。中でも、しっかり食べているのに低栄養に陥っている状態を新型栄養失調といい、70歳以上の5人に1人が該当するという調査もあります。
バランス良く食べて、栄養不足に陥らない体に
毎日しっかり食べているのにやせる、風邪をひきやすいといった不調を感じている人は、新型栄養失調かもしれません。新型栄養失調とは、カロリーは足りているのに、たんぱく質やミネラル、ビタミンなどの体に必須な栄養素が不足した状態です。
「新型栄養失調の多くは、偏った食事が原因です。肉や魚を食べずに野菜ばかりを食べる、歯を失ったことででんぷん系の柔らかいものばかり食べがちになるといったことから、栄養が不足します」と、柳澤幸江先生。
では、どんなことに気を付けたらよいのでしょう?まずは、主食と主菜、副菜がそろった食事を摂りましょう。3食しっかり摂ることができない人は1食でもよいので、栄養バランスの整った食事を摂ることが必要です。
「特に女性はカルシウム不足が深刻。放置すると骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の原因になります。毎日、さらにプラス1杯の牛乳を摂りましょう。また、年齢と共に摂取が減る肉類はたんぱく質だけでなく、鉄分や亜鉛などの栄養素も豊富です。なるべく、40 ~50 代の頃と同じ量を摂るようにしてください。肉が苦手な方は、卵や納豆などでたんぱく質を補 ってもいいです」(柳澤先生)。
高齢になると、家族が減ったり、料理を作るのがおっくうになったりして、食事の質が低下 しがちです。すると、栄養バランスは偏り、栄養失調に陥りやすくなります。同時に食べる力も衰え、フレイル(※)へのリスクも高まります。新型栄養失調にな らない食生活を維持しましょう
※フレイルとは、高齢者の身体機能や認知機能が低下して虚弱となった状態。
こんな症状があったら新型栄養失調かも!
□風邪をひきやすい
□髪が抜けやすくなった
□疲れがとれにくい
□何もしていないのにやせてしまう
体格(BMI)と死亡率(女性)
取材・文/笑(寳田真由美)