何となく不調=未病かも。早期対応で元気な体に
国の健康・医療戦略として、新たに「未病」の定義が盛り込まれたのは、2017年2月のこと。早くから未病対策に注力する神奈川県は、未病センターの開設や未病サポーターの養成をはじめ、多彩な取り組みを推進。日本調剤では今年6月、倉敷中央病院内に未病を視野に入れたセルフメディケーション(※)を推奨する薬店を開業。各地でさまざまな取り組みが始まっています。
※自分自身で判断して市販の医薬品を購入・使用すること。
未病には、自覚症状はあるけれど検査では異常がない「東洋医学的未病」と、自覚症状はないけれど検査で異常が見られる「西洋医学的未病」があり、高血圧や糖尿病、脂質異常症なども未病の一つに含まれます。
●未病ってどんな状態?
2015年から未病・漢方外来を設けている相模原協同病院では、「何かおかしいな」といった体の変化に対し、早い段階から治療を行っています。「未病を漢方で治すことを目的に、未病・漢方外来は始まりました。漢方を中心とする東洋医学的な治療に、検査などの西洋医学を合わせることで、より的確な治療ができます」と、保刈岳雄先生。
現在、未病・漢方外来の受診者は、9割が女性。中でも50歳前後の人が特に多いそうです。これは、生理周期の変化による影響と考えられ、不眠や冷え、足のしびれ、血圧の上昇、イライラ、関節痛などの症状を訴える人が多く見られます。こういった「何となく不調」には、漢方治療が効果的です。
「多くの未病は、食生活の見直しで改善が見られます。中でも、甘いもの(砂糖)は制限が必要です。甘いものには糖質が多く、食べると急激に血糖値が上がります。その後、血糖値が降下するときには、体がだるくなります。こういった食後血糖値の乱高下は、不調を招く原因となります。未病の症状を感じたら、甘いものや果物、乳製品は控えめにする、和食中心の食事を心がける、ドリンクは温かいものにするといったことに気を付けてください」(保刈先生)
また、運動習慣のない人は、ぞうきんがけを1日15分行う。寝る時間が不規則な人は、夜は10時に寝る(起きる時間は何時でも可)などちょっとした生活習慣を見直すことで、未病の改善につながります。
生き生きと過ごすためには、病気になってから治療するのではなく、その手前の段階での早期対応が大切です。さまざまな症状は体からのサインと考えて、日常生活を見直すとともに、体調管理を心がけましょう。
●こんな症状ありませんか?
□顔色がよくない
□上半身がほてる
□風邪をひきやすい
□食後すぐに横になりたがる
□手足の先が冷えやすい
□物忘れが多い
□手足がしびれやすい
□喉に何かつかえている感じがする
□朝の目覚めがよくない
□むくみやすい
※相模原協同病院 保刈岳雄先生への取材を基に作成
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未病の可能性があります!
取材・文/笑(寳田真由美)