生活習慣病やがん、難病も。処方箋は自宅に郵送の便利さ
2018年4月より、パソコンやスマートフォンなどを使い、離れた場所でも医師の診察を受けられる「遠隔診療(オンライン診療)」に健康保険が適用されることになりました。同じ医師が半年以上診療し、状態が安定している患者が対象。モニター画面を通じて診察、指導した場合に「オンライン診療料」(700円/月)(※)が発生する他、オンライン医学管理料(1,000円/月)(※)がかかります。
※患者の自己負担は1~3割です。
「原則は対面診療です。そのため遠隔診療は、初診の方は対象外で、同じ医師のもとに6カ月以上通院していること、3カ月に1回は対面診療を受けることが必須です」とは、新六本木クリニック院長の来田誠先生。対象となるのは、糖尿病などの生活習慣病をはじめ、てんかんなどで継続した治療が必要な人。がんや難病などで在宅療養中の人も該当します。
●遠隔診療が受けられる主な疾患
・脳血管障害
・高血圧
・脂質異常症
・糖尿病
・ぜんそく
・アトピー性皮膚炎
・認知症
・がん
・難病
・てんかん
・在宅医療を受けている人
●遠隔診療の受診方法(保健診療の場合)
【ステップ1】
病院で6カ月以上の対面診療
診察後、医師がオンライン診療可能と判断したら、遠隔診療を受診できます。
【ステップ2】
予約 パソコンやスマートフォンなどを使って、診察時間の予約を行います。
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オンラインで診察 インターネットを通じて医師が診察。予約制なので待ち時間はありません。
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支払い クレジットカードで会計。オンライン診療費、処方料などがかかります。
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薬や処方箋を郵送 オンライン診療でも薬の処方が可能。薬や処方箋は、指定の住所に届きます。
通院の負担を軽減。継続治療で重症化を防止
遠隔診療では、問診票や血圧の記録などを、パソコンなどで事前に医師に送ることができます。医師はその資料に目を通してから診察できるため、患者の生活習慣や心身の状態に目を向けやすくなります。「継続治療が必要な患者の重症化を防ぐことが遠隔診療の目的。対面診療では、予定通りに来院できなかったのを機に病院から足が遠のく人がいます。そのような人は、薬が切れて悪化し、治療が長引きがちに。そういったことを防ぐためにも、オンラインでつながっていることは重要です」
遠隔診療が認められるのは、おおむね30分以内で緊急の対面診療ができること、診療に占めるオンライン診療の割合が一定以下であることなど、医療機関にも要件を設定。そのため、一部の病気を除き、遠方の医療機関は利用できません。それでも、自宅に居ながらにして診療が受けられる遠隔診療は、通院の負担を軽減し、付き添いなど周囲の人の負担も軽くしてくれます。
パソコンなどの操作に不慣れでも、周囲の人の協力があれば遠隔診療は可能です。まずはかかりつけの医院が遠隔診療に対応しているか確認してみましょう。「対面」、「入院」、「訪問」に並び、「遠隔」が診療の柱に加わる日も遠くありません
取材・文/笑(寳田真由美)
来田 誠(きただ・まこと)先生
新六本木クリニック院長。京都大学医学部卒業。精神保健指定医、日本遠隔医療学会所属