年齢とともにつらくなる人が多い腰、ひざ、足の痛み...。国民病ともいわれる「変形性膝関節症」など、ひざのトラブルを避けるためにはどうすればよいのでしょう? 整形外科医・カイロプラクターである竹谷内医院院長、竹谷内康修先生に聞いてきました。今回は「ひざの3つの機能」についてです。
ひざのトラブルは健康寿命を短くする
多くの方が、年齢が進むにつれて抱えるひざの悩み。ひざの機能が衰えることで起こる「変形性膝関節症」は、国民病といわれるほど患者数の多い病気です。
「ひざのトラブルに気をつけたいのは、ひざに古傷がある人、中年以降の女性、デスクワークなど不活発な生活の人、O脚やX脚の人など。これらの方々は年齢にかかわらず、普段から注意が必要です」
そもそもひざは三つの機能を果たしています。
一つは曲げのばしで大きく動くことができる「可動性」です。太ももの筋肉が働いて、ひざの安定性を保ち、関節のスムーズな曲げのばしを可能にします。
次の役目は全身の体重を支える「支持性」。衝撃を吸収して体重を支えます。普段なにげなく行う動作もひざには大きな負荷がかかっています。
例えば歩くときは体重の2~4倍、階段の上り下りでは4~7倍の負荷がひざにかかります。ですから、加齢によってひざに異常が起こるのは、人間の宿命ともいえます。
最後は「無痛性」で、日常生活の中で1日に何千回と衝撃を受けても痛みを感じない性質です。
「支持性」と「無痛性」のカギを握るのは関節軟骨。ここには血管がないので血液から栄養を取り込むことができず、傷ついたり擦り減ったりしても修復されにくい性質があります。成人すると軟骨を形成する成分も劣化し、関節軟骨の老化によってひざの機能も低下し、痛みも出ます。
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取材・文/細川潤子