1回のセックスが数十分のウォーキングに匹敵する? 性生活が健康長寿に関係する理由

男性ホルモンを維持して若々しさを保つ

「勃起には男性ホルモンが関係する」という研究報告(加齢男性性線機能低下症候群 診療の手引きより)もあります。
やはり男性ホルモンが低いと、勃起しなくなったり、男性としての魅力が下がってしまったりするのです。
高齢になっても常に男性ホルモンの数値が高い状態を維持することによって、認知機能を維持する、あるいは筋力を維持する、そして前向きになることにつながっていきます。
つまり、男性的なモチベーションが高くなるのです。

男性ホルモンは、セックスや射精をすることで分泌量が増えていくので、定期的なセックスを続けるのは大切なことです。
60代、70代であれば、月1~2回のセックスをすることが長生きの秘訣にもなるので、EDが原因でセックスしたくてもできない人は、改善を試みたほうがいいでしょう。

ただ、高齢の人が長生きしたいからといって、毎日のようにセックスをすると、持病が出てしまうことも...。心筋梗塞や狭心症などの持病がある人であれば、セックスすることによって、どうしても心拍数が上がってしまうので、頻度にはかなりの注意が必要です。
ですから、もちろん高齢者も含めて「全員セックスしてください」ということではありません。たとえば高血圧の人、透析が必要な腎臓の病気がある人などは、主治医に相談したほうがいいでしょう。

実際に泌尿器科には、このような相談をしてくる患者さんが、少なからずいます。ただ、高血圧で内科に通院している患者さんがオープンにそういった相談をするかというと、デリケートな話でもある分、聞きづらいかもしれません。
とくに日本人の場合は、なかなか自分から言う人は少ないでしょう。
たとえば、「マラソンなどの激しい運動は控えてください」と言われている患者さんの場合、体位によっては心拍数が上がってしまうことがあります。
こういった場合は、男性に負担がかからないような体位(女性上位の形やバックスタイルの形など)で行うほうが、カロリー消費も少なくてすむのでいいでしょう。
やはり、血圧が高い人や心筋梗塞の既往症がある人は、注意が必要なのです。

日々、多くの男性の性の悩みを聞くなかで、私は「男性を元気にするオンラインサロン」の開催を考えています。
そこでは、普段言えないような悩みを相談できる場にするつもりです。
ナイーブな話題をオープンに話せる場があるだけでも、気持ちが軽くなるのではないでしょうか。

 

窪田徹矢
1978年東京都出身。医療法人社団「思いやり」理事長。「くぼたクリニック松戸五香」院長。独協医科大学卒。専門は泌尿器科。日本泌尿器科学会泌尿器科専門医、指導医。年間2万5,000人を診察。近隣の総合病院でロボット手術などを手掛ける。元千葉西総合病院泌尿器科部長。

※本記事は窪田徹矢著の書籍『EDかな?と思ったら読む本――専門医が教える傾向と対策』(自由国民社)から一部抜粋・編集しました。

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