女性こそプロテインを。簡単なごはんが原因で「パニック発作」になった40代女性の栄養療法

心を蝕む「うつ」。それはストレスだけでなく「"質的な栄養失調"が引き起こすこともある」と栄養学に精通する精神科医・藤川徳美さんは言います。そんな藤川さんの著書『うつ消しごはん』(方丈社)から、実際に行ったサプリメントを用いる栄養療法「メガビタミン療法」で回復した症例エピソードを抜粋してご紹介します。

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※症例の血液検査が示す数値などについて......症例の中には、受診時の血液検査の数値が頻繁に登場します。栄養療法を実践するにあたり、タンパク質や鉄の充実度を測る指標にするためです。よく出てくる検査項目についてはエピソードの下で解説しています。

【症例】パニック発作に苦しむ女性がプロテインで回復

40代後半の女性です。平成18年に第一子を出産しました。

平成22年、電車に乗っているとき、エレベーターの中にいるときに、パニック発作が起こりました。

また発作が起きたらどうしようという不安(予期不安)も強くなり、近くの精神科を受診しました。

そのクリニックで、パキシル30~40mg投与を受け、症状はいったん落ち着きました。

平成27年、パキシル12.5mgに減量し、その後中止しました。

ところが、平成27年10月、パニック発作が再び起こってしまったのです。

息が苦しくなり、家事もこなせなくなりましたが、こうした体調不良を夫が理解してくれないため、さらに精神的にも追い詰められてきました。

平成28年1月、当院を受診し血液検査をしたところ、BUN12.1、フェリチン8でした。

極端な鉄不足であり、タンパク質も不足しています。

パニック発作のほかに、立ちくらみもあるということでした。

食事はもともとご飯と簡単な野菜のおかずだけという粗食だったそうです。

そこで、高タンパク/低糖質食を指導し、ジェイゾロフト25mg+ドグマチール100mg+メイラックス0.5mg+フェルム(鉄剤)1錠を処方しました。

平成28年3月の再診時には、卵や肉をしっかり食べているといってくれました。

パニックの発作もかなり落ち着いたということだったので、メイラックスを中止しました。

翌4月の受診の際の血液検査では、BUN10.6、フェリチン27までアップしました。

その2カ月後の6月は、調子がよくなり、電車にも乗れるようになったということです。

そこで、ドグマチールは中止しました。

しかし、ジェイゾロフトをやめる自信はないというため、25mgで継続しました。

平成28年10月の受診の際の血液検査では、BUN12.0、フェリチン67まで回復しました。

その後は悪化することなく順調でしたが、平成29年8月には、生理前にイライラする、立ちくらみがある、ということでしたので、ビタミンCとビタミンEを開始しました。

平成30年2月、血液検査ではBUN12.3、フェリチン65でした。

タンパク質の量の目安であるBUNが上がらないので、プロテインを開始しました。

その約5カ月後の受診ではプロテインを開始して、とても元気になったということ。

また、立ちくらみがなくなり、体力もついたそうです。

薬もジェイゾロフト25mgを1/2錠、隔日に減らしています。

平成28年ころは、当院でもまだプロテインを推奨していませんでした。

この女性はこれまであまり食べていなかった卵や肉をがんばって摂っていたのですが、それだけではタンパク不足はなかなか解消されなかったことがわかります。

女性こそプロテインが必要だということがわかる症例です。


※症例の血液検査が示す数値などについて

「一般的な基準値」というのは、健康な人の多くの検査データをもとにして、統計学的に求められた数値のことで、95%の人が基準値の範囲に該当しているといわれています。なお、BUN(尿素窒素)とMCV(赤血球恒数)、およびフェリチンについては、当院独自の基準で判断しておりますので、「当院の目標値」として記しておきます。

・BUN(尿素窒素)......血液中の尿素に含まれる窒素成分のことです。高い場合は腎機能障害、基準値未満はタンパク質摂取不足です(重症の肝機能障害のときにも低くなります)。一般的な基準値8~20(mg/dl)、当院での目標値15~20(mg/dl)。

・RBC(赤血球数)......赤血球の数で、基準値未満は貧血が疑われます。一般的な基準値 男性:430~570(万個/μl)女性:380~500(万個/μl)。

・HGB(ヘモグロビン)......血液中の鉄の量で、基準値未満は貧血が疑われます。一般的な基準値 男性:13・0~16・6(g/dl)女性:11・4~14・6(g/dl)。

・MCV(平均赤血球容積)......赤血球の大きさで、基準値未満では鉄欠乏性貧血が疑われます(鉄欠乏性貧血=小球性貧血)。逆に大きすぎる場合(大球性貧血)には、ビタミンB12不足、葉酸不足が疑われます。一般的な基準値80~100(fl)、当院での目標値95~98(fl)。

・フェリチン......鉄分を貯蔵しているタンパク質の量です。一般的な基準値 男性:20~220(ng/ml)女性:10~85(ng/ml)、当院での目標値100(ng/ml)。

・メガビタミン療法......ビタミンやミネラル、プロテインなどのサプリメントを活用した栄養療法の考え方。

・ATP......アデノシン三リン酸。生体内のエネルギーを貯蔵したり、供給したりする、生きるための「エネルギー通貨」とも呼ばれる。「ATPセット」は、ATPをつくるためのサプリメントの組み合わせ。


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113-H1-utsukeshigohan.jpg薬に頼らない栄養療法メソッドを全5章に渡って解説。著者が行う「メガビタミン療法」のサプリレシピも収録

 

藤川徳美(ふじかわ・とくみ)
1960年広島県生まれ。医学博士。1984年広島大学医学部卒業。2008年に「ふじかわ心療内科クリニック」を開院。うつ病の薬理・画像研究や、MRIを用いた老年期うつ病研究を行い、老年発症のうつ病には微小脳梗塞が多いことを世界に先駆けて発見。著書に『うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった』(光文社新書)などがある。

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『うつ消しごはん タンパク質と鉄をたっぷり摂れば心と体はみるみる軽くなる!』

(藤川徳美/方丈社)

やる気がない、目覚めが悪いなど体の不調は、あなたが摂っている「栄養の質」が悪いからなのかもしれません。何をどれだけ摂ればいいのか、どんな栄養が体にいいのか、薬に頼らず病を改善させる栄養療法をまとめた、心と体の処方箋です。

※この記事は『うつ消しごはん タンパク質と鉄をたっぷり摂れば心と体はみるみる軽くなる!』(藤川徳美/方丈社)からの抜粋です。
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