コレステロールを下げれば心筋梗塞は避けられるのか?/9割の病気は自分で治せる!(36)【連載】

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健康であるためにはどうしたらいいのか? セルフメディケーションの時代と言われる今、私たちもそれなりの健康常識は身につけておく必要があります。
病気というものをどうとらえるか、医者との付き合い方、 病気にならない考え方――。ほかにも、食事の摂り方、ストレスの対処の仕方、あるいはダイエットを成功させるコツな ど、明るく元気に毎日を過ごしてもらえる有益な情報を連載でお届けします。今の生活をもう一度見直し、自己治癒力を高めるスキルを学びませんか?

 

1000万人近くが服用しているが必要性は疑問

コレステロールについて、90%くらいの方は「良いコレステロールと悪いコレステロールがある」という認識を持たれているようです。はたしてそれは真実なのでしょうか?

ここで1人例を挙げてみます。50代の会社員の男性は、この1年でだんだんと体重が減り、風邪も引きやすくなりました。心配になった彼は、毎年受けている健診結果をたずさえて、僕のところに相談に見えました。

今年の健診結果を見る限り、とくに異常を示す項目はなかったのですが、総コレステロール(TCHO)の130㎎/㎗という異常に低い値と、健診結果表の〝治療中〞の項目に印字してあった〝高脂血症治療中〞という文言が気になりました。

去年の健診結果を聞いてみると、去年の健診結果では総コレステロールの値は230㎎/㎗で、値の横のほうに、異常を意味する「☆」マークが印字してありました。もちろん〝治療中〞の項目には何も記載はありません。

彼は去年の健診でコレステロールの異常を指摘され、受診した医者に「コレステロールが高いと動脈硬化になり、心筋梗塞が心配されますが、いい薬があるのでのんでみましょうと、スタチン剤を処方されました。

しかし、コレステロールは細胞の膜やホルモンの材料になる、非常に大切な存在です。悪者呼ばわりなどはお門違いなのです。

コレステロールが作られるとき、生体活動のエネルギー源を作るコエンザイムQ10も一緒にできるのですが、それも薬で減少してしまいます。

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コレステロールが不足すると、細胞そのものが弱体化しますので、当然、生体の自己治癒力(防衛力)は著明に低下します。つまりスタチン剤によって、生体の維持が危うくなるということなのです。

コレステロールの善玉、悪玉をうんぬんする前に、スタチン剤をのむことが、小さく得して、大きな損をする典型とも言えます。

ちなみに、スタチン剤などコレステロール低下剤をのむ人は、今や1000万人近く。そして年々、その数は増えつつあるのです。

岡本 裕先生(おかもと・ゆたか)
1957年大阪生まれ。e-クリニック医師。大阪大学医学部、同大学院卒業。卒業後12年あまり、大学病院、市中病院、大阪大学細胞工学センターにて、主として悪性腫瘍(がん)の臨床、研究にいそしむ。著書に『9割の病気は自分で治せる』『9割の病気は自分で治せる2【病院とのつき合い方編】』『9割の病気は自分で治せる【ストレスとのつき合い方編】』(以上、KADOKAWA)、『22世紀。病院がなくなる日』(飛鳥新社)など多数。

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「カラー版 図解 9割の病気は自分で治せる」
(岡本 裕/KADOKAWA)

文庫で大好評を博したベストセラー『9割の病気は自分で治せる』3部作のエッセンスを抽出し、読みやすく再構成したベスト版。自分の力で健康を保つための考え方&方法が満載です。

 
この記事は書籍「カラー版 図解 9割。の病気は自分で治せる」(KADOKAWA)からの抜粋です

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