「白内障」という目の水晶体がにごってしまう病気をご存じでしょうか? 年間9000件以上の手術をこなす赤星隆幸先生によると、白内障は白髪のように「誰しもがなる老化現象」なのだそう。そこで、先生の著書『ビジュアル解説でわかる! 白内障手術のすべて』(赤星隆幸/KADOKAWA)より、白内障の基礎知識から、「50代から受けるのが最適」といわれる手術まで、抜粋してご紹介します。
水晶体の構造
水晶体は、直径約9mm、厚さ約4.5mm
水晶体は、「嚢(のう)」というセロファンのように薄い透明な膜で包まれており、中央の硬い部分を「核」、周囲のやわらかい部分を「皮質」といいます。
また嚢の中の水晶体は、ほとんどが水と透明なたんぱく質で構成されています。
嚢部分は、角膜側が「前嚢」、硝子体側を「後嚢」といいます。
ピントを合わせるには、水晶体と毛様体の連携が必要
【遠くを見るとき】
毛様体が収縮すると水晶体が薄くなる
【近くを見るとき】
毛様体が緩むと水晶体が厚くなる
白内障は水晶体のにごりです
光を屈折させながら、ピントを合わせて網膜に画像を映し出す役割を担う水晶体。
白内障とは、この水晶体が「にごる」病気です。
白内障はなぜ全員に発症するの?
目の中でもカメラのレンズにあたる水晶体の老化は、他の部位より比較的早く訪れます。
水晶体は本来透明ですが、加齢により、水晶体を構成するたんぱく質が変質し、にごることできれいに光を通さなくなっていきます。
この状態が白内障です。
一度にごった水晶体は元には戻せないため、加齢とともに白内障になる人が増えていきます。
水晶体の変化
水晶体のにごり方により白内障はタイプが分かれ、光の通し方も変わります。
白内障は進行性の病気です
白内障は、たいてい数年単位で進むために、なかなか悪化に気づきません。
しかし確実に進行していく進行性の病気なので、老眼が始まる年代となったら「白内障予備軍」と自覚しましょう。
ちなみに老眼は、本来弾力性に富んで水晶体の厚みを調節する毛様体が、加齢によって衰えることで、ピントを合わせづらくなる老化現象です。
老眼は、毛様体の筋肉の老化。白内障は、水晶体の老化
近くを見るときは水晶体は厚くなる
遠くを見るときは水晶体は薄くなる
手元のピントが合いづらくなる理由
老眼になると、水晶体をひっぱったり、緩めたりしている筋肉である「毛様体」が衰え、さらに水晶体自体も硬くなるため、レンズの厚みの調節がしにくくなります。
白内障について、カラーイラストを用いて名医がわかりやすく解説! 4章に渡って「執刀ドクターの見極め方」や「手術後のケア」など、「最新の白内障治療」の情報が紹介されています。