「最近、なんだか眠れない」と悩んでいませんか? 1万人を治療した睡眠専門医の白濱龍太郎さんは、眠りを妨げる原因の一つは「いびき」だと、言います。その白濱さんが新提案する「いびき改善メソッド」が集約された著書『睡眠専門医が考案した いびきを自分で治す方法』(アスコム)から、いびきを治す方法をご紹介します。
不眠がメンタルの不調をまねく
睡眠時無呼吸症候群による弊害はまだまだあります。
とくに見過ごせないのが、うつ病との関連性です。
うつ病と診断された患者の大半が「睡眠障害」を訴えているというデータがあり、そのなかには当然、睡眠時無呼吸症候群も含まれます。
また、企業などが行うストレスチェックにおいても、うつ病のおそれがある人の多くが、不眠状態にあるという結果が、厚労省の調査によって明らかになりました。
これは逆から考えると、睡眠時無呼吸症候群が引き金になって、うつ病を発症するケースがあるということ。
そう、両者は密接につながっているのです。
睡眠時無呼吸症候群になると、ノンレム睡眠が妨げられ、脳が満足に休息をとれないことは先述した通りです。
それだけでなく、無呼吸状態が続くことによって十分な量の酸素が脳に送り込まれなくなり、脳機能の低下も導きます。
熟睡できなかったことから生じる倦怠感。
脳機能が低下したことによってもたらされる精神バランスの乱れ。
これらが、無気力やマイナス思考を発生させる源みなもととなり、悪化するとうつ病につながってしまうのです。
そしてやっかいなことに、うつ病を治療する目的で服用する薬が、睡眠時無呼吸症候群の症状を促進させてしまうこともあります。
うつ病にともなう不眠を改善するために用いられるベンゾジアゼピン受容体作働性の睡眠薬があります。
これを飲むと舌の筋肉が緩んでのどの奥のほうに落ちる舌根沈下になり、気道が狭くなって、いびきをかきやすくなり、ひいては無呼吸状態に陥りやすくなるのです。
うつ病は、しっかりと休息をとり、できるだけ心に負担をかけないような生活を送り、時間をかけてじっくりと治療すれば治る病気です。
しかしその一方で、症状が悪化すると最悪の場合、人によっては自殺という道を選択してしまうこともあります。
脅かすつもりはありませんが、これは疑いようのない事実です。
いびきを野放しにしておくと、睡眠時無呼吸症候群になる。
睡眠時無呼吸症候群は、循環器系ならびに代謝系の病気の発症率を高める。
さらには、うつ病になるリスクも抱えている。
というように、いびきを軽く考えていると、取り返しのつかない状況をまねくこともなきにしもあらず、なのです。
「たかが、いびき」ではないのだということを、しっかりと認識していただきたいと思います。
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