アラフィフ女性にとって、身近なテーマである「更年期」。でも、更年期に起こる心身の不調の症状や程度、改善法は本当に人それぞれですよね。そこで、薬剤師やジャーナリストの方に、漢方で更年期症状が快方に向かった方のケースをお聞きする「更年期『漢方』相談室」を連載形式でお届け。第11回は、漢方薬・生薬認定薬剤師の清水みゆきさんに「更年期の便秘」についてお聞きしました。
こんにちは、「あんしん漢方(オンラインAI漢方)」で薬剤師として働いている、 清水みゆきです。
40代になってから、急に便秘がちになった、便秘でお腹がはってつらい、太った気がするなどのお悩みをお持ちではありませんか?
それはもしかしたら更年期のせいかもしれません。
45~55歳の閉経前後の10年間は更年期と呼ばれており、この時期は、ホルモンバランスの影響で便秘になることがあります。
私の対応したお客様でも、更年期の年代の方で、便秘が続いてつらいとお悩みの方がいらっしゃいました。
もともとおしゃれ好きだったのに、ぽっこりお腹が気になって好きな洋服も着れないし、便秘に加えて頭痛やイライラも続いて、気が滅入る日々を過ごしていたそうです。
そんなJさん(49歳)が漢方で便秘を改善できた事例を通して、更年期の不調の改善方法をお伝えいたします。
1.更年期の便秘の原因
更年期の不調は、卵巣の老化による女性ホルモンの減少や、ストレスが原因です。
ホルモンバランスの乱れにより、腸のはたらきをコントロールする自律神経が不安定になって、便秘を引き起こします。
また、女性ホルモンの減少により腸内の潤いが少なくなるのも更年期の便秘の原因と考えられています。
漢方では、気(生命エネルギー)の不足により腸を動かす力が弱まって起きる便秘、胃腸に熱がこもり体液を消耗することによる便秘、血(栄養を与える血液)の不足によりうるおいが足りずに起きる便秘、緊張やストレスにより気が滞ることで起きる便秘があると考えます。
更年期では特に、ストレス過多で気の巡りが悪くなって起きる便秘が多くみられます。
2.おばさんみたいな恰好だね...ジーンズのボタンが閉まらずショック!
49歳の女性、Jさんのエピソードをご紹介します。
大学生の息子さんは県外にお住まいで、現在Jさんはご主人と二人暮らしです。
165センチの長身にスキニージーンズが似合う、ファッション大好きなおしゃれな女性です。
これまでダイエットや便秘とは縁がなかったのに、2か月ほど前から急に便通が悪くなってきたそうです。
毎朝快便だったので、便の回数なんて気にしたこともなかったそうですが、気付くと、4~5日に1回くらいしか便が出ないように...。
便秘が続きお腹がはって苦しいだけでなく、イライラや頭痛も頻繁になり、つらかったそうです。
そんな時、さらにショックな出来事があったということでした。
「主人と食事に出かける時に、お気に入りのスカートを着ようとしたら、チャックが上がらなかったんです。半年ほど前は問題なく着ることができたのに...。『あれ?あのお気に入りのスカートじゃないの?』と主人に言われましたが、その場は笑ってごまかしました。
お腹周りのサイズはもちろんですが、便秘でスッキリしないことや、お腹が張って苦しいのもつらかったので、毎日ヨーグルトを食べたり、水分を取ったりしていました。それでもなかなか便秘が改善しません。市販の便秘薬も試してみたのですが、すると今度は逆にひどい下痢になってしまいました。
いつの間にか体重も2kgも増えてしまいましたし、以前よりお腹のラインが出ているのが気になって、好きな洋服もきれいに着こなせなくなってしまいました。
そのうち、愛用しているジーンズのボタンまでしまらなくなってしまったんです。しょうがなく、代わりにワンサイズ上のウエストゴムのジーンズを購入しました。着ていると楽ですがおしゃれとは言えず...。
久しぶりに帰省した息子から『いつものジーンズはやめたの? なんだかおばちゃんっぽくなったね』と言われて大ショック。便秘のせいで、気持ちまで暗くなりがちでした」
たかが便秘で病院に行くのも...と躊躇していたJさん。
あるとき、偶然手にとった女性雑誌の更年期障害の特集で、便秘やイライラ、頭痛も更年期の症状の一つと知りました。
「私の便秘も更年期が原因かもしれない」とさらにネットで検索。
更年期障害は漢方で改善することを知り、ネットでオーダーできる漢方薬を試してみることにしました。
「自分で選んだ市販の便秘薬でひどい下痢になってしまった経験があるので、薬の副作用が怖くて心配だったんです。漢方も恐る恐る飲んでみたのですが...下痢にはならずにスッキリと便が出て驚きました。やっぱり自分にあった薬を選ぶことが大切なんですね。つらかったお腹のはりもなくなって、以前のサイズのジーンズがまたはけるようになりました!
そうそう、便秘だけでなくイライラや腰の痛みもいつの間にか気にならなくなったんです。私の変わりぶりに夫もびっくりしています(笑)。おしゃれも日々の暮らしも、また自信をもって楽しめるようになって本当にうれしいです」
そうお話しいただいたJさんの眩しい笑顔が印象的でした。
3.更年期の便秘は漢方で根本的に改善
女性ホルモンの変化は目に見えないので気がつきにくいですが、40代に入り、以下のような症状が見られる場合は、更年期の影響による便秘かもしれません。
<これって更年期の便秘?チェックリスト>
・40歳に入った頃から急に便秘がちになった、もしくは便秘が悪化するようになった
・便秘だけでなく、イライラや気持ちが不安定で落ち着かない
・ひどい肩こりや頭痛を伴う便秘がある
ただし、黒い便が出る、残便感があるなど他の症状がある場合は、自己判断せずに内科や消化器内科を受診しましょう。
「西洋薬は副作用が心配」「飲み続けなくてはいけないのか不安」
そんな方には漢方薬がおすすめです。
一般的に、漢方薬は自然にある植物や鉱物などの生薬を組み合わせて作られており、西洋薬よりも副作用が少ないと言われております。
また、症状の緩和、苦痛を和らげるための対症療法ではなく、体質の改善に働きかけることで根本的な解決を目指すので、同じ症状を繰り返したくないという思いに応えてくれます。
バランスの取れた食事や運動などを毎日続けるのは苦手という方も、症状や体質に合った漢方薬を毎日飲むだけなので、手間なく気軽に継続できます。
今回Jさんが服用した漢方は「通導散(つうどうさん)」という更年期女性の便秘によく使われる漢方でした。
通導散は、気血水の巡りをよくして、体格がよい方の頭痛や生理痛、高血圧、肥満を伴う便秘を改善します。
更年期の便秘の改善には、他にも以下の漢方が使われることがあります。
●加味逍遙散(かみしょうようさん)
ホットフラッシュ(のぼせやほてり、汗)やイライラ、肩こりもつらい方向け
乱れた気のバランスや血の巡りをよくして、ストレスによる便秘を改善する漢方薬です。
●桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
体格がよく、月経不順や生理痛、イライラも気になる方むけ
滞った血や気の巡りをよくして体にこもった熱を取り除き便秘を改善する漢方薬です。
ただし、漢方薬を選ぶ際には自分の体質に合ったものを選ぶ事が大切です。
体質に合っていない場合は、効果が出ないだけでなく、副作用がおきることもあります。
購入時には、できる限り漢方に精通した医師、薬剤師等にご相談ください。
自分に合った漢方薬が知りたい。コスパ良く漢方を飲んでみたい。という方には、「あんしん漢方(オンラインAI漢方)」などの、スマホで気軽に頼めるサービスもおすすめです。
4.便秘をスッキリ解消して更年期を笑顔で過ごしましょう!
「最近、便秘がちですっきりしない」
「たくさん寝たはずなのに疲れがとれない、朝からからだがだるい」
その便秘は更年期が原因かもしれません。
漢方で体の内側から便秘を解消して、更年期も元気な笑顔で過ごしていきましょう!