アラフィフ女性にとって、身近なテーマである「更年期」。でも、更年期に起こる心身の不調の症状や程度、改善法は本当に人それぞれですよね。そこで、専門家に、漢方で更年期症状が快方に向かった方のケースを詳しくお聞きする「更年期『漢方』相談室」を連載形式でお届け。第9回は、漢方薬・生薬認定薬剤師の清水みゆきさんに「更年期の動悸」についてお聞きしました。
こんにちは、「あんしん漢方(オンラインAI漢方)」で薬剤師として働いている、 清水みゆきです。
40代になってから、急にドキドキして息苦しくなる、動悸で眠れないなどのお悩みをお持ちではありませんか?
それはもしかしたら更年期のせいかもしれません。
45~55歳の閉経前後の10年間は更年期と呼ばれており、この時期は、ホルモンバランスの影響で動悸を生じることがあります。
私の対応したお客様でも、ちょうど更年期の年代の方で、急にドキドキすると動悸や息苦しさを感じるようになり、ぐっすり眠れない、外出が怖いと悩みの方がいらっしゃいました。
週末ごとにお出かけする仲のよいご夫婦だったのに、動悸が原因で夫婦仲も険悪になってしまったそうです。
そんなGさん(47歳)が漢方で動悸を改善できた事例を通して、更年期の不調の改善方法をお伝えいたします。
1.更年期の動悸の原因
更年期やプレ更年期の不調は、卵巣の老化による女性ホルモンの減少や、ストレスが原因です。
ホルモンバランスの乱れによって、自律神経系のバランスが崩れて拍動や呼吸をコントロールできなくなり、動悸や息切れなどの症状が引き起こされます。
東洋医学的には、動悸は心悸(しんき)といいます。
五臓の「心」のはたらきが乱れたときに動悸が生じると考えます。
(「心」には血液循環や精神活動をする役割があります。)
心のエネルギーである心気と心の血液である心血の量的な不足、また、気(生命エネルギー)や血(血液)、水(水分)の巡りが悪くなると、<心>のはたらきに悪影響して動悸を引き起こす原因となります。
2.ドッカンドッカンと動悸があっても異常なし・・・夫婦の危機にまで発展!?
47歳の女性、Gさんのエピソードをご紹介します。
Gさんはご主人と二人暮らし。
Gさん夫婦はとても仲が良く、週末になると夫婦でショッピングを楽しんだり、話題のお店に行ったりして楽しんでいました。
Gさんは半年ほど前から生理不順があったそうですが、2ヶ月ほど前からは、夜寝ようとして布団に入ると、急に心臓がドキドキして眠れないことが多くなったそうです。
最近では、日中も急に息苦しさを感じることがあり、「何か重い病気なんじゃないか...」と不安でいっぱいに。
動悸を意識すると、「このまま倒れたらどうしよう」など焦りや不安感が強くなり思い悩む日々が続いていらっしゃいました。
そんな時、さらに、追い打ちをかけるような事態が起きてしまった、というのです。
「あるとき、夫と一緒に電車で出かけることになり、駅の階段をのぼっていたら、突然『ドッカンドッカン!』と、急にそれまでに感じたことがないような激しい動悸を感じて息がうまくできなくなり、その場で座り込んでしまったんです。
夫が急いで病院に連れて行ってくれて、レントゲンや心電図の検査をしてもらいました。
でも、お医者さんには『異常はないですよ』と言われただけで、薬もなし。結局、不安な気持ちだけが残ったまま帰宅しました。
私自身は『あんなに激しい動悸だったのだから、異常がないわけない!』と感じていて、医師に不信感を持つまでになっていました。
それからは、動悸が怖くて夫婦で出かけることもなくなってしまいました。
夫は次第に私をおいて自分1人だけで出かけたり、友人と遊ぶようになり、私はそんな夫にイライラするように。
『どうしていつも誘ってくれないの!自分ばかり遊び歩いて!』と言っても、『また外で倒れられたら、たまったもんじゃない。こっちの心臓も止まりそうだよ!』と言われると、返す言葉もなく・・・。
夫が私のことを心配してくれているのは分かっているんです。でも、いつ起きるかわからない動悸への不安、さらに寝不足や出かけられないイライラが溜まって、私の心も体も限界でした。何よりつらいのは、あんなに仲が良かったのに夫婦の間もすっかり険悪になってしまったことでした。」
なんとか動悸を改善したいGさんは、お友達から「セカンドオピニオンで別の病院に行ってみたら?」と勧められて、前回とは違う病院を受診してみました。
「別の病院でもう一度検査をしましたが、やっぱり結果は異常なし。でも、セカンドオピニオンで受診したお医者さんが『検査で異常がない40~50代女性の動悸は、更年期が原因の可能性がある』と教えてくれて、漢方外来を紹介されました。
そこで処方された漢方薬を服用すると、2週間程度で動悸や息切れの頻度が減ってきました。夜も眠れるようになって、不安やイライラを感じることも少なくなくなってきました。あんなに思い悩んでいたのが嘘のようです。そのまま服薬を続けて3か月後には動悸や息切れはほとんど気にならなくなりました。夫も安心してくれて、また以前のように夫婦そろって外出して楽しく過ごせるようになりました。諦めないで本当に良かったです。」
嬉しそうにお話ししていたGさんの笑顔が印象的でした。
3.更年期の動悸は漢方で根本的に改善
女性ホルモンの変化は目に見えないので気がつきにくいですが、40代に入り、以下のような症状が見られる場合は、更年期の影響による動悸かもしれません。
<これって更年期の肩こり?チェックリスト>
□ 動悸だけでなく、のぼせやほてりもつらい
□ 動悸とともにイライラや情緒不安定も感じている
□ 夜寝ている時や何も活動していない時に急に動悸がする
ただし、動悸が長引く場合は、原因を自己判断せずに循環器内科や呼吸器内科などを受診して検査してもらいましょう。
「この動悸はもしかして更年期のせい?」
「体質改善して若いころの快適さを取り戻したい!」
そんな方におすすめなのが、漢方です。
更年期の不調には漢方が効くことが多く、更年期障害をきっかけに漢方を飲み始めたという女性は多くいらっしゃいます。
一般的に西洋薬よりも副作用が少ないとされておりますし、対症療法ではなく、体質の改善に働きかけることで根本的な解決を目指すものですので、同じ症状を繰り返したくない方に最適です。
また、健康的な食事やセルフケアを毎日続けるのは苦手という方も、医薬品として効果が認められた漢方薬なら、症状や体質に合ったものを毎日飲むだけなので、手間なく気軽に継続できます。
今回Gさんが服用した漢方は「加味逍遙散(かみしょうようさん)」という更年期の動悸の症状によく使われる漢方でした。
加味逍遙散は、気のバランスの乱れや血の滞りを解消しつつ、体にこもった過剰の熱をおさえ、精神の興奮を和らげ動悸を改善します。
更年期の動悸の改善には、他にも以下の漢方が使われることがあります。
●柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
強い不安感や不眠が伴う方向けの漢方。
乱れた気のバランスを整えつつ、体にこもった熱や炎症を鎮めつつ渇きを潤し、精神を安定させて動悸や息切れを改善します。
●苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
めまいやふらつき、頭重感が伴う方向けの漢方。
気を補いつつ、余分な水を取り除いて、水分代謝をよくして動悸や息切れを改善します。
なぜ何種類もあるのかというと、同じ冷えであっても、体質や体型などによって、有効な漢方が異なるためです。
体質に合っていない場合は、効果が出ないことや、副作用が出ることもあります。購入時にはできる限り漢方に精通した医師、薬剤師等にご相談ください。
自分に合った漢方薬が知りたい。コスパ良く漢方を飲んでみたい。という方には、「あんしん漢方(オンラインAI漢方)」などの、スマホで気軽に頼めるサービスもおすすめです。
4.動悸や息切れの悩みを解消して更年期を笑顔で過ごしましょう!
「急にドキドキして眠れない」
「何もしていないのに、突然胸がドキドキして息苦しくなる」
その動悸の症状は更年期障害かもしれません。
漢方で心と体のバランスを整えて、更年期も元気な笑顔で過ごしていきましょう!