今までと同じ生活を送っているのに、疲れやすい、気分が落ち込む、急に体重が増加する......40代からのそんな不調の原因は、実は卵巣機能の低下によるものです。日常のちょっとした体の使い方を意識するだけで、卵巣機能を活発化させ、不調を防ぐのが、整体トレーナー奥谷まゆみさんの提案する「卵巣活」。今日からはじめてみませんか。
※この記事は『女40代 不調を感じたら始める「卵巣活」』(奥谷まゆみ/KADOKAWA)からの抜粋です。
前の記事「勇気を出して「座る・立つ・歩く」を客観視。40代からは努力した人だけがキレイになる/卵巣活(4)」はこちら。
卵巣トラブルの一番の原因は「座り方」だった!
自分の動画を見てどうでしたか? 「体がこんなに歪んでいたなんて」と愕然とした人もいるかもしれません。
それでは、さっそく動作を見直していきましょう!
まず「座る」からです。
「座る」「立つ」「歩く」の中で、一番楽だと感じられる「座る」という姿勢ですが、実は最も腰と卵巣に負荷がかかる姿勢なのです!
なぜなら、座るという姿勢は、重たい頭部を含め、上半身の重みがすべて腰にかかってきてしまうからです。特に負荷が大きいのは、腰を丸めた座り方。この座り方が、子宮や卵巣トラブルをつくっている大きな原因になっているの。
丸まった腰の部分に重みがかかるために腰痛になり、骨盤の中にある臓器が圧迫されて卵巣はぺちゃんこ! 便秘にもなりがちです。
さらに、脚の付け根にある「鼠蹊(そけい)リンパ」という大きなリンパ節を圧迫してしまうため、下半身の血行が悪くなり、冷えやむくみの原因にもなってしまいます。腰が丸まると、子宮も傾いてしまいます。経血の排泄不良も招きやすくなるので、生理痛の原因にもなります。
デスクワークの多い現代の女性。じっとして長く座る仕事は、女性の体には本当は不向きなの。家事が重労働だった昔は、むしろ女性のほうが肉体労働者。座っている暇などなく、「立ち働く」という動作が日常のほとんどでした。
特に低い姿勢から立ったり、そしてしゃがんだりすることが多かった日本の女性は、骨盤を支える筋肉が日常の中で自然と鍛えられ、その動作が元気な体をつくっていたのです。
座り方を変えると、気持ちも変わる
腰が丸まると、筋肉の動きも悪くなります。腹筋や背筋、インナーマッスルが使えなくなってしまうので、筋力が低下し、ますます内臓下垂が起こりやすくなります。
また、体のバランスを取ろうとして首が前に飛び出し、肩も引っ張られて上がってきたり、猫背になってきたりします。
そうなんです。猫背や悪い姿勢というのは、実は、この腰の丸まりが原因なんです!
腰を立てれば、背中は自然に伸びていきます。逆に、いくら頑張って背筋を伸ばしても、腰が丸まっていると、背筋を伸ばすのは難しくなります。
実はこの座り方、気持ちにも作用しているんですよ。腰を丸めて座ると、明るい発想がしにくくなるの。
ちょっと実験してみましょう。腰を立てた姿勢で、楽しいプランを想像してみてください。「長い休みが取れたら、どこに行こうかな?」といったことでかまいません。今度は、腰と背中を丸めて、同じことを考えてみて。
不思議なことに「どうせ無理......」というような気持ちになりませんか? 座り方だけでこんなに損してるなんて、もったいないですよね!
「座骨立て座り」で不調を一掃してしまおう!
卵巣のことを考えると、本当は座る時間は少なくしたほうがいいんです。とはいえ、デスクワークが多い私たちの職場。座らないわけにはいかないですよね。そこで提案したいのが座り方の改善です。
「座骨立て座り」を紹介しましょう。座骨は左右のお尻の奥にあります。
この座り方に変えるだけで、腰への負担がなくなり、内臓の圧迫が改善されるので、卵巣の働きが改善されます。さらに、便秘が治ったり、子宮の傾きも改善されたりして、生理がスムーズになります。
そして、自然とインナーマッスルのスイッチが入るので、じっと座っているだけで、体を支える筋肉が鍛えられます。血行もよくなるので、冷えにくくなります。
さらに、首や肩の凝りもなくなり、偏頭痛のある人は改善されることも多いようです。
また、おもしろいのは、腰を立てておなかが伸びると、満腹感をちゃんと感じられて、過食しづらくなるんですよ!
気持ちも落ち込みづらくなり、いいこといっぱい、人生を変えるくらい劇的な効果のある、座骨立て座り。
難しいことはありませんが、大切なポイントがいくつかあります。そこを間違えると効果がないの。そのために、私たちのスタジオではマンツーマンで指導していますが、本を読んでいるみなさんにもちゃんとできるように、丁寧にやり方を紹介しましょう。
座り方 1:腰を立てる
座った体が横から写せる鏡か窓ガラスがあったら、自分の姿を横から確認しながらやってみましょう。
1. 一番大切なのは、腰を立てることです。
左右のお尻の奥には「座骨」という骨があります。名前のとおり、座るための骨。この座骨を座面に突き刺すように立てて座ります。お尻の大きな筋肉に包まれている骨なので、普段は存在を忘れがち。なので、この座り方をするときは、まず座骨を思い出しましょう。
お尻をモジモジするように椅子に前後左右に押し付けながら揺さぶっていると、座骨の存在がだんだんはっきり感じられるはずです。
2. そうしたら、一度腰を丸めて座ってみてください。
「あれ? 座骨が消えた?」と座骨の存在がわからなくなると思います。
今度は腰を立ててみて。座骨の下部の固さが感じられるはずです。
3. 腰を丸めた姿勢と、腰を立てた姿勢をさらに何度も交互に試してみてください。腰を立てただけで、腰が少し軽くなる感じや、おなかが伸びる感じがわかると思います。
座り方2:座骨の上に頭を載せる
座骨のとんがりを座面に刺すような気持ちで立てると、たいていの人は上体が少し前傾していると思います。
今度は、頭の重さが、座骨の上にずしっと感じられるくらい、頭を後ろに引いてみてください。
「こんなに頭を後ろにしたら、反りかえっちゃって変じゃない?」と思うかもしれませんが、もし鏡があったら横から見てみてください。
おそらく後頭部から、背中、腰のラインがきれいに一直線になって、椅子に垂直になっていると思います。これがきれいな姿勢なのですね。でも腰を丸めて座る癖がついていると、まっすぐ座っても反り返った感覚になってしまうのです。
このとき、おなかが飛び出して腰の反りが強めだったら、内臓を支える筋力が少し足りないサイン。ほんのちょっとだけ、ほんのり腹筋を使っておなかを引っ込めると腰が自然と立ちます。
さて、その状態で自分の上半身にちょっと意識を向けてみてください。腰を立てただけなのに、いつもより首がすっと伸びて、肩が下がっている感じがしませんか?
ちょっと実検してみましょう。そのままバンザイをするように手を上げ下げしてみて。その後に腰を丸めた姿勢になって、もう一度手を上げ下げしてみてください。腰を丸めると、とたんに腕が重たくなるのが感じられましたか?
これが「姿勢を変えると、使う筋肉が変わる」ということなのです。同じ動きですが、腰を立てたときは背中の大きな筋肉を使えるので、腕が軽く感じられるのです。
座り方 3:下半身を使う
「座骨立て座り」の姿勢をキープするために助けてくれるのが脚です。座っているときの脚の使い方って、「脚を組まない」「膝を開かない」くらいしか聞いたことがないかもしれませんが、実はすごく重要です。
1. 1つ目のポイントは「膝」です。
膝を開いたり寄せたりせず、正面に向けましょう。そしてつま先も正面に向けます。そうすると2本の脚が平行になると思います。
2. 2つ目のポイントはかかと。
実はかかとって、卵巣活とすごーく関係があるのです。
詳しくは次の項目で説明しますが、座るときもかかとをしっかりとつける! 軽くかかとに体重を載せて踏むような感じです。かかとをきゅっと踏むと体がぐっと少し持ち上がって、腹筋が張り、股関節に「すき間」ができるような感じがするの、わかりますか? この「すき間」にあるのが卵巣です。座骨を立てて、膝を正面に向けてかかとをきゅっと踏むと、体中のインナーマッスルのスイッチが入って、重たい内臓を持ち上げてくれるのです。
椅子が高くてかかとが踏めないようなら、床に雑誌を重ねたりして、台にしましょう。床に対して、脚のスネが垂直、モモが平行になるようにすると、かかとが踏みやすく、座骨を立てやすくなります。
次の記事「立ち方、歩き方を見直して卵巣を元気に!「卵巣活ウォーキング」にトライ/卵巣活(6)」はこちら。