寝ることの理由、効果を知ると日頃の生活習慣も意識が変わる。生き生きと過ごしたい人のための「睡眠の新常識」

最近は「睡眠ファースト」という言葉が流行っています。ようするに、きちんと寝ることは脳や体の機能を休め、日中のパフォーマンス向上につながるのだそうです。そこで、睡眠の専門家・白濱龍太郎さんの著書『ぐっすり眠れる×最高の目覚め×最強のパフォーマンス が1冊で手に入る 熟睡法ベスト101』より、「快眠へ導く生活習慣」や「睡眠の新常識」など質の高い眠りを作るためのヒントをご紹介します。

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なぜ「寝ないといけないのか」を理解する

「なぜ人は寝ないといけないか」、正確に答えることができますか?

この問いに、答えられない人は意外に多いようです。

身体を動かしたときと同様、脳も活発に働くと多くのエネルギーを消費して、その際に熱を発します。

体温はそれにともない、起床してからお昼までの時間にグングンと上昇。

その結果、シャキッと覚醒したコンディションになります。

しかし、脳細胞はとても熱に弱いので、ずっとそのままではオーバーヒートしてしまいます。

ですから、夜にはその働きを低下させてクールダウンする必要がある。

これが、睡眠が必要である最たる理由です。

日中は高かった体温が、夕方以降は徐々に低下。

それにつれて脳の働きも低下していって、眠気が訪れます。

そして眠りに落ちるわけですが、その間にも脳はまた別の働きをしています。

そのひとつが記憶の定着で、人間は日中に覚えたことをしっかりと記憶させています。

同様に、深い睡眠のなかでしか行われないのが、日中のエネルギッシュな活動で損傷した神経ネットワークの回復です。

短時間の浅い睡眠ではこの機能がうまく働かないので、得た情報が脳のなかでうまく整理されなかったり、記憶力が低下したりすることになる。

つまり、脳は夜の睡眠によってクールダウンしながら、日中に得た記憶情報を整理しているということです。

また、睡眠は「脳の老廃物を排出する時間」でもあります。

例えば、アルツハイマー型認知症の発症に深くかかわっているとされる、アミロイドβという特殊なタンパク質。

これが脳内で蓄積されると、脳の神経ネットワークが阻害されて、最終的に記憶障害などを引き起こすといわれています。

アミロイドβは、睡眠中にリンパ系の働きによって体外に排出されることがわかっています。

こういった意味でも、良質な睡眠は人間にとって必要不可欠なものなのです。

レム睡眠がストレスを激減させる

十分な睡眠時間が確保されているならば、身体疲労の回復効果だけでなく、ストレスの解消効果にも期待がもてます。

ここで、睡眠の仕組みを思い出してください。

睡眠には、レム睡眠とノンレム睡眠というふたつの状態があります。

レム睡眠は眠りが浅く、身体は休んでいるけれど脳は働いている状態のこと。

そしてノンレム睡眠は、眠りが深く、身体と脳の両方が休んでいる状態。

ノンレム睡眠のなかでもとくに深い眠りを、深睡眠や徐波睡眠といいます。

このうち、身体の疲労回復効果が大きいのは、身体と脳の両方が休むノンレム睡眠のほう。

たとえ短時間であっても、しっかり深睡眠が取れているならば、身体の疲労はそれなりに回復するものです。

しかし、ストレスの場合はそうはいきません。

ストレスの解消効果があるのはレム睡眠のほうで、その状態にある時間を十分に確保するには、短時間の睡眠では足りません。

レム睡眠の状態にある時間は、一晩の睡眠の後半になればなるほど増えるからです。

レム睡眠の状態にある脳では、日中に得た情報の整理や定着が行われています。

気持ちの面でなかなか整理のつかなかった事柄が、翌日になると不思議なほどスッキリしていたりしますよね。

これも、レム睡眠中の脳の働きによるものです。

これと似たかたちで、脳はストレスに対する処理をレム睡眠のなかで行っているわけですが、それには身体の疲労を回復するよりも時間がかかります。

具体的には、7~8時間の良質な睡眠がほしいところです。

もちろん、大きなストレスを抱えないようにするのも重要です。

自律神経の乱れから不眠などの睡眠障害が出て、さらにストレスが解消できなくなる──という悪循環に陥るケースも十分にあり得るでしょう。

高血圧を解消する睡眠のコツ

睡眠不足の生活を続けていると、平常時の血圧は確実に高くなります。

なぜなら、寝ているときに副交感神経よりも交感神経が優位になりやすく、本来であれば休息モードに入るはずの身体が休まらず、血管も活発に動いてしまうからです。

日中にダメージを負った血管は睡眠時に修復されるものなのですが、それができずに、血管がどんどん弱ってしまう。

その積み重ねが、高血圧症をまねきます。

健康的な生活を送れていれば、日中は交感神経が働いて血圧は高い状態ながらも、夕方以降は副交感神経が優位になって徐々に血圧の数値は低下。

睡眠中もその状態がキープされます。

しかし、そこに睡眠不足という要因が重なると、寝ているにもかかわらず血圧が高くなってしまうのです。

わたしが実際に診たある患者さんは、睡眠時無呼吸症候群を発症し高血圧状態だったのですが、治療を行い、睡眠時間を2時間増やすようにアドバイスしたところ、半年後には血圧が上下ともに10下がり、動脈硬化も改善されました。

なお、寝るときのコツとして、あお向けに寝るのではなく、横向き寝をするようにしましょう。

血圧の改善につながる可能性があります。

ただ、左側を下にした横向き寝は心臓を圧迫するので、右側を下にしたほうがよいでしょう。

【まとめ読み】『熟睡法ベスト101』記事リストはこちら!

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快眠のための生活習慣や、睡眠の正しい知識などを全6章にわたって解説しています

 

白濱龍太郎(しらはま・りゅうたろう)
睡眠、呼吸器内科、在宅医療の専門クリニック「RESM新横浜」院長/東京共済病院、東京医科歯科大附属病院を経て、2013年に「RESM新横浜」を開設。睡眠の質や無呼吸症候群などの睡眠にまつわる病気を適切に診断するために最新の医療機器を導入し、日本睡眠学会認定施設として専門医療を提供している。

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『ぐっすり眠れる×最高の目覚め×最強のパフォーマンス が1冊で手に入る 熟睡法ベスト101』

(白濱龍太郎/アスコム)

睡眠不足はマイナスの感情をもたらすことが明らかになり、日々のパフォーマンスと深く関係していることがわかっています。たとえば、イライラしてストレスがたまり、人間関係に敏感になって睡眠不足に陥る。そんな日頃の負の連鎖も、実は睡眠が関係しているかもしれません。朝昼夜の生活習慣を変えて快眠に導く方法、専門家が解説してくれる睡眠の新常識など、眠りの質を向上させるための情報が詰まった一冊です。

※この記事は『ぐっすり眠れる×最高の目覚め×最強のパフォーマンス が1冊で手に入る 熟睡法ベスト101』(白濱龍太郎/アスコム)からの抜粋です。

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