骨粗鬆症の予防に!毎日コツコツできる「骨を強くする4つの生活習慣」

「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」は、骨の強度が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。転倒して手をついたり、くしゃみをしたり、ささいなことで骨折することがあります。今回は、原宿リハビリテーション病院名誉院長の林 泰史 先生に「骨を強くする生活習慣」について教えてもらいました。

1 適度な日光浴で紫外線を浴びる

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毎日気軽にできるのが、日光浴です。

カルシウムの吸収を助けるビタミンDは、魚やきのこ類などの食物から摂るほか、紫外線を浴びることで体内で作ることができます。

日光浴をする時間は、季節や地域によって異なり、「夏季なら沖縄で6分、東京で10分、東北で20~30分ほどです」と林先生。

冬季ならこの倍程度の時間が目安だそうです。紫外線を浴び過ぎると皮膚や目に悪影響を与えるので、適度に行いましょう。

2 つまずいたり転んだりしない家づくりを

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65歳を過ぎると家の中でも転倒事故が多くなり、つまずいて手をついただけでも骨折することがあります。

大切な骨を守るために、外出時はもちろん、家にいるときも転倒しないように気を付けましょう。

部屋を区切っている床の段差をなくすほか、マット類は外したり、床にモノを置かないのも効果的。

また、スリッパも転倒の原因の一つに。脱げそうになってバランスを崩したりもするので、履かないのもおすすめです。

3 軽いウオーキングや 適度な日光浴で紫外線を浴びる

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運動は、栄養、日光浴と並んで骨粗鬆症を予防する大切な要素。つらい運動でなくても、散歩や家事、階段の昇降などで日常の運動量を増やすことが大切です。
「体を動かすことによって骨がたわんで圧力が加わると、骨の中にある小さな穴(骨細管)に充満している骨組織液が動き出します。これが骨芽(こつが)が 細胞を刺激し、骨を作る命令が発せられるのです」(林先生)。
まずは1日7,000~8,000歩を歩くことを目指しましょう。

4 毎日の食事に牛乳1杯をプラス

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カルシウムは骨に必要な栄養素ですが、日々の献立を大きく変えてまで摂るのは大変。林先生は、1日の食事に牛乳1杯を加える習慣をすすめています。

1日の摂取推奨量は650㎎ですが、骨粗鬆症予防には700~800㎎を。

牛乳1杯で約220㎎を補えます。牛乳は成分無調整や低脂肪などがありますが、どれもカルシウム量はほぼ同じ。牛乳が苦手な人は、ヨーグルト(100gで約120㎎)やチーズ(6Pチーズ1個で103㎎)でもよいでしょう。

骨粗鬆症に関係する症状に注意!

骨粗鬆症が直接原因となって大きな病気を引き起こすことはありませんが、多くの影響を体に与えます。

林先生によると、「背骨を骨折して背中が曲がると、胃や肺が圧迫され、逆流性食道炎を引き起こすことも。肺活量も少なくなり、歩いたり動いたりするのが面倒になれば、運動機能が衰えるロコモティブシンドローム(運動器症候群)やフレイル(心身・認知機能が低下する虚弱状態)につながるリスクが高まります。また、背骨や足を骨折して変形すると直立が難しいので、バランスをとるために前屈みになり、ひざを曲げて小刻みに歩く『小歩症(しょうほしょう)』に。さらに転倒率が上がります」

また、糖尿病や慢性腎臓病の人は、骨粗鬆症になりやすいとも。

「インスリン作用の低下や分泌量不足が骨の形成やカルシウムの吸収を妨げることに関係するので、注意しましょう」(林先生)。

取材・文/岡田知子(BLOOM) 写真/PIXTA イラスト/やまだやすこ

骨の仕組みを知って「骨粗鬆症」を予防しましょう。その他の記事はこちら

 

<教えてくれた人>

原宿リハビリテーション病院 名誉院長

林 泰史(はやし・やすふみ)先生

医学博士。京都府立医科大学医学部卒。専門はリハビリテーション医学、整形外科学、老年病学。近著に『80歳現役医師が教える! つまずかないカラダの動かし方(日東書院本社』ほか。

この記事は『毎日が発見』2019年10月号に掲載の情報です。

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