更年期以降に起きやすい、手や指の腫れや痛みなどの病気。今回は、手や指が痛くなったり腫れたりする3つのタイプについてご説明します。
手や指の痛みや腫れに関するチェックリストで該当する項目があった人は、早めに受診しましょう。
平瀬雄一(ひらせ・ゆういち)先生
四谷メディカルキューブ手の外科・マイクロサージャリーセンター長。東京慈恵会医科大学卒業。埼玉手の外科研究所形成外科部長などを経て、2010年より現職。
手や指の痛み、腫れを起こす代表的な関節症3タイプ
【へバーデン結節】
手の指の第一関節(指先から数えて1番目の関節)に起こる関節症。手の指の第一関節が赤く腫れたり曲がったりして動きが悪くなります。痛みを伴うこともあり、手を強く握ることが困難になります。
第一関節が腫れる、曲がる、痛む
水ぶくれのようになることもあります
<へバーデン結節になりやすい人とは?>
・一般に40歳代以降の女性に多くみられますが、原因はよく分かっていません。
<へバーデン結節の治療法は?>
・安静に保つ
医療用テープなどで手の指の第一関節を固定し、安静を保ちます。日常生活の中でそれほど不便を感じなければ、慌てて治療を進めず様子を見ます。
・薬物療法
症状が強いときは、ステロイド薬と局所麻酔薬を手の指の第一関節に注入します。
・手術
痛みがひどい場合や、変形が進んで日常生活に困る場合は、手の指の第一関節を真っすぐに固定する関節固定術が多く行われます。
【ブシャール結節】
手の指の第二関節(指先から数えて2番目の関節)に起こる変形性関節症。へバーデン結節と同じように、手の指に痛みや変形、腫れが起こります。特に強い痛みを感じる場合があります。
第二関節が腫れる、曲がる、痛む。第二関節が曲がらなくなると日常生活に支障が起こります。無理のない範囲で指を動かして、動かせる範囲を保つようにしましょう。
<ブシャール結節になりやすい人とは?>
・一般に40歳代以降の女性に多くみられますが、原因はよく分かっていません。
<ブシャール結節の治療法は?>
・薬物療法
痛みを抑える薬(塗り薬、貼り薬、飲み薬)を使用。また、可能な範囲で痛みのある手の指の第二関節を動かすように意識し、関節の可動域を保つことが大切です。ただし、痛みが強い場合は、安静が必要なこともあるので必ず医師に相談しましょう。
・手術
痛みがひどい場合や、手の指の第二関節の変形が進んで日常生活に困る場合は、手術を検討します。主に手の指の第二関節を人工関節に置き換える人工関節置換術が行われます。関節の動きは保たれます。
●【母子CM関節症】
手の親指の付け根の関節(CM関節)に起こる変形性関節症です。進行して重症になると、親指が開きにくくなったり、親指の付け根の関節(CM関節)の変形が見た目にも分かるようになります。
「物をつまむ」「瓶のふたを開ける」「雑巾を絞る」「ドアのノブを回す」など、親指に力が必要な動作で、手首の親指の付け根あたりに痛みを感じます。
<母子CM関節症になりやすい人は?>
・更年期以降の女性
・家事や仕事などで手をよく使う人
・CM関節を脱臼したり、骨折した人
<母子CM関節症治療とは?>
・安静
固定装具で手の親指の動きを制限します。
・薬物療法
NSAIDs(エヌセイズ/非ステロイド性消炎鎮痛薬)など消炎鎮痛作用のある飲み薬、貼り薬、塗り薬を使用。痛みが強い場合は、局所麻酔薬とステロイド薬を、手の親指の付け根の関節に注射します。
・手術
痛みが強い場合や変形が激しい場合は、手の親指の付け根の関節を固定する手術や、関節の可動性を温存する関節形成術を検討します。
更年期以降の手や指の痛みの主な原因は6つあり、今回ご紹介した以外の3つ(手根管症候群、ばね指、ドケルバン病は「夜間や明け方にしびれが強くなる」「指が腫れてきた」その手指の症状はこんな病気!/手指の痛み改善法(2)で紹介しています。
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