彩り豊かな食卓が「認知症のリスク」を抑える!? 「食」の多様性と「認知機能」の関係

「食から認知機能について考える会」と「日本認知症予防学会」は5月7日、加齢に伴い低下する認知機能に対し「食」がどう影響するのか、「食」や食成分が持つ認知機能の改善や低下予防に対する可能性を発表しました。そこで今回は、国立長寿医療研究センター老化疫学研究部長の大塚 礼(おおつか・れい)先生に「食事と認知機能」についてお聞きしました。

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いろいろなものを食べるほど認知機能は保てます

地域住民を対象とした調査研究から、魚類や豆類、乳製品などを含む多様性のある食事は、認知機能の低下予防に有効だという可能性が示されました。

特に、中高年期にさまざまな食品を摂取することは、認知機能低下リスクを抑制するといわれています。


●食品摂取の多様性と認知機能低下リスクの関係

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※認知機能はMMSE(Mini-Mental State Examination)という方法で判定。

出典:大塚礼先生らの論文の情報

●1日の食事例

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食の多様性指標が低い群、高い群それぞれに該当する人における、ある1日の食事例。実際の調査では3 日分の食事内容を記録。

出典:国立長寿医療研究センターNILS-LSA 活用研究室


近年、食事と認知機能には何らかの関連性があるという研究が進んでいます。

「地域住民を対象に、20年以上の長期にわたる老化に関する研究によると、多様性のある日本人の食事が、認知機能の低下を予防する可能性があると分かりました(上記「食品摂取の多用性と認知機能低下リスクの関係」参照)。特に、中高年期にさまざまな食品を食べることは、リスクの抑制につながると期待されます」と、大塚礼先生。

併せて、MRI検査による検討も行われています。

「海馬や灰白質(※)は加齢に伴い萎縮(小さくなること)しますが、アルツハイマー病などの認知症では、早期から海馬が萎縮することが知られています。MRI検査で2年間の海馬容積の変化を比較したところ、食事の多様性が高い人ほど海馬の萎縮が抑制されており、灰白質でも同様の傾向が認められました」

生活習慣病と認知機能についても興味深い研究結果があると大塚先生。

「糖代謝の指標であるHbA1cの初期値が高いほど、その後10年間の認知機能が低下傾向を示すと分かっています。このことからも、認知機能の低下を抑制するには、若い頃から食生活を介した生活習慣病予防に取り組むとともに、季節折々の多種多様な食品を摂取することが効果的だと考えられます」

普段の食事にいろいろな食材を使い、彩り豊かな食卓を目指すことが認知機能の低下予防の一助になりそうです。

※灰白質は、脳や脊髄など中枢神経系の組織の中で、神経細胞が集まるところ。

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取材・文/オフィス・エム(寳田真由美)イラスト/坂木浩子

 

<教えてくれた人>

国立長寿医療研究センター老化疫学研究部長
大塚 礼(おおつか・れい)先生
東京水産大学(現・東京海洋大学)水産学部食品生産学科卒業。2007年、名古屋大学大学院医学系研究科博士課程修了、国立長寿医療研究センター勤務、21年より現職。

この記事は『毎日が発見』2021年7月号に掲載の情報です。

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