動脈硬化を促進させる「小型LDL」とは
栗原先生は、サイズの小さい「小型LDL(超悪玉)コレステロール」の危険性についても注意を促しています。
「これまで、LDL(悪玉)コレステロールが動脈硬化の原因といわれてきました。ですが、小型LDL(超悪玉)コレステロールこそが動脈硬化の元凶であることが分かっています。小型LDL(超悪玉)コレステロールは、通常のLDL(悪玉)コレステロールの生成が不安定になって小型化すると考えられていますが、その仕組みはまだ解明されていません」
通常、LDL(悪玉)コレステロールの直径は25.5ナノメートル以上ですが、25.5ナノメートル未満のものを「小型LDL(超悪玉)コレステロール」と呼びます。
小さいので血液中に長く留まって血管壁に入り込みやすく、また、酸化しやすいため、動脈
硬化を促進させます。
一般的な健康診断では、この小型LDL(超悪玉)コレステロールの検査はまだ普及していません。
ですが、増えているかどうかは、次の3つの検査結果で分かるそうです。
①中性脂肪の数値が300mg/dL以上、②HDL(善玉)コレステロールの数値が40mg/dL以下、③過去1カ月以内の血糖値の平均を表すHbA1cの数値が7%以上、となった場合です。
「小型LDL(超悪玉)コレステロールは中性脂肪との関係が深く、中性脂肪の数値が高いと小型LDL(超悪玉)コレステロールも増えている可能性があります。また、増えた中性脂肪は肝臓にたまって脂肪肝になります。脂肪肝になるとHDL(善玉)コレステロール値が下がるほか、血糖値をコントロールするインスリンの効きが悪くなり、血糖値も上がりやすくなります。LDL(悪玉)コレステロール値だけでなく、この①②③の数値にも注意しましょう。LDL値だけが高い状態が続く場合は、甲状腺の病気が潜んでいることもあります」
構成/岡田知子(BLOOM) 取材・文/安達純子 イラスト/堀江篤史